SP Compressorは、名機Ross Compressorをベースにしたコンパクト・コンプレッサーです。最大の特徴は、BLEND(原音とコンプ音の混ざり具合)で“潰しすぎないコンプ”を作れること。さらにSustain/Compressionの3段(HI/MID/LO)で効き方の大枠を素早く決められ、VOLUMEで最大+15dB相当の持ち上げも可能です。内部DIPでアタック感やフィルターも詰められるので、「常時ONで音を整える」から「リードの伸びを作る」まで、実戦の守備範囲が広い1台です。
[Xotic] SP Compressor|ペダマニレビュー
どんなペダル?
SP Compressorは、“小さくて簡単”なのに、現場で困りにくい要点を押さえたコンプです。使い方はシンプルで、まずトグル(HI/MID/LO)で圧縮の強さを選び、BLENDで原音の量を混ぜて自然さを調整、最後にVOLUMEで全体の出力を整える、という流れが基本になります。
コンプは「効かせるほど上手く聴こえる」反面、「効かせるほど弾き心地が死ぬ」ことも多いですが、SPはBLENDがあるおかげで、その中間を作りやすい。たとえば、LOで軽く整えてBLENDを原音寄りにすると“音量差だけ均して弾き心地は残す”方向に寄せられます。逆にHIでしっかり潰してBLENDを上げれば、粒立ちとサステインを前に出す“分かりやすいコンプ”にもできます。
もう一歩詰めたい人は、裏蓋を開けると内部DIPがあります。アタック/リリースの感触やハイ落ち、入力パッド(強いハム対策)まで触れるので、ギターやピックアップの出力差にも合わせやすいのが実務的です。
サウンドの特徴(原音を残して“輪郭だけ整う”ナチュラル感)
SP Compressorの美味しさは、コンプをかけた時に「コンプっぽさ」より先に“弾きやすさ”が来るところです。BLENDを原音寄りにしておくと、アタックの生々しさやピッキングのニュアンスを残したまま、音量差だけが均されていきます。結果として、クリーンのカッティングやアルペジオが揃い、バンドの中で音がまとまりやすい。
一方で、トグルをMID〜HIに上げてBLENDをコンプ寄りにすると、音の立ち上がりが整って粒が揃い、サステインも伸びます。リードで“前に出る”感覚が作りやすく、歪みの前に置いても後ろに置いても役割が持てるタイプです。
注意点として、HIは回路の性質上ノイズフロアも持ち上がりやすいので、効かせるほど「音が伸びる」代わりに「静けさは減る」傾向があります。ここはBLENDとVOLUMEで“必要な分だけ”に落とすのがコツです。
使い勝手・セッティングのイメージ
常時ONのナチュラル整音
- Sustain/Comp:LO
- BLEND:10〜12時(原音多め)
- VOLUME:原音と同じ
コンプ感を出すというより、弾きムラだけを整えて“音が良くなった感”を作る設定です。常時ON運用の出発点に向きます。
カッティング/アルペジオの粒立ち
- Sustain/Comp:MID
- BLEND:12〜14時
- VOLUME:原音と同じ〜少し上
アタックが揃って音像が前に出やすくなります。バンド内で埋もれる時は、VOLUMEをほんの少し上げる方が“上手く聴こえる”方向に効きます。
リードのサステイン
- Sustain/Comp:HI
- BLEND:14時〜全開寄り(コンプ多め)
- VOLUME:バンド内で一歩前
HIは効きが強いぶん、まずBLENDを少し戻して原音を混ぜ、音の生々しさを残すと破綻しにくいです。
ハムバッカーで歪む/飽和する場合
- 内部DIP:INPUT PADを活用(必要に応じて)
- Sustain/Comp:LO〜MID
- BLEND:原音寄り
- VOLUME:原音と同じ
強い入力でコンプが歪む時は、トグルを下げるより先に“入力側の対策”を取る方がキレイに収まります。
ペダマニ的「ここが魅力!」
- BLENDで“潰しすぎないコンプ”が作れる
原音を混ぜられるので、コンプの恩恵(音量差の整音・粒立ち)だけ取りつつ、弾き心地やニュアンスを残しやすいです。常時ONで使っても破綻しにくいのが強みです。 - HI/MID/LOで現場の調整が速い
コンプはセッティング沼になりがちですが、SPはトグルで効き方の大枠を即決でき、BLENDとVOLUMEの2点だけで実戦の着地点まで持っていきやすい設計です。 - 内部DIPで“ギターに合わせる余地”が残っている
アタック感やフィルター、入力パッドまで触れるので、シングルとハムの出力差や、明るすぎる/硬すぎるといった個体差にも合わせやすいです。
注意しておきたいポイント
- HIはノイズも一緒に持ち上がりやすい
強い圧縮は小さい信号も持ち上げるため、ノイズフロアも上がりやすいです。HIは“必要な場面だけ”にして、普段はMID/LO+BLENDで自然に整える方が安定します。 - VOLUMEを上げると、次段の歪み方が変わる
ブーストが効く分、後段のOD/Distの入力が上がり、歪み量やコンプ感が変化します。狙い通りなら武器ですが、音が詰まる時はVOLUMEを先に戻すのが切り分けとして有効です。 - ハムバッカーやアクティブ系は入力対策が前提
強い入力で不自然な歪みや飽和が出る場合があります。その際は内部DIPの入力パッドや、トグルを下げる運用で“気持ちいい範囲”に収めると失敗しにくいです。
機種の仕様
| メーカー | Xotic |
| 製品名 | SP Compressor |
| エフェクトタイプ | コンプレッサー(トゥルーバイパス) |
| コントロール | VOLUME:出力レベル(最大+15dB相当の持ち上げが可能) BLEND:原音とコンプ音のミックス(左で原音100%、右でエフェクト100%) SUSTAIN/COMPRESSION(HI/MID/LO):圧縮量の切替(効き方の大枠を選ぶ) 内部DIP 1/2:アタック/リリースのキャラクター調整(組み合わせで感触を変更) 内部DIP 3:ハイカットの効き(高域のロールオフ量を調整) 内部DIP 4:入力パッド(強い入力の歪み対策、用途によりローカット的にも使用) |
| 接続端子 | INPUT:標準フォーン(ギター/ライン入力) OUTPUT:標準フォーン(アンプ/次段エフェクターへ) DC IN:9V DC アダプター用ジャック(センターマイナス) |
| 電源 | 9V 角型電池 AC アダプター(センターマイナス) |
| 消費電流 | おおよそ 5 mA(DC 9V 時) |
| 入出力レベル/インピーダンス | 入力インピーダンス:1 MΩ 出力インピーダンス:10 kΩ |
| 外形寸法・重量(目安) | 幅:38 mm 前後 奥行:89 mm 前後 高さ:38 mm 前後 質量:約 260 g 前後(電池含む) |