Two Notes Torpedo C.A.B. M+は、ペダルボードの末端に置いて「キャビネット+マイク+部屋鳴り」までをまとめて作れる、スタジオ発想のキャビシム/IRローダーです。Two Notes独自のDynIR(バーチャルキャビ)を核に、クリーン・プリアンプ、パワーアンプシミュ、EQ、リバーブ、ノイズゲート等を統合。PA直やIF録音で“毎回同じ着地点”を作りやすいのが最大の武器です。
一方で重要なのは、C.A.B. M+はロードボックスではない点。アンプのスピーカーアウトを入れる運用では、必ずスピーカー(またはロード)をスピーカーアウト側に接続する前提になります。
[Two Notes] Torpedo C.A.B. M+|ペダマニレビュー
どんなペダル?
Torpedo C.A.B. M+は「キャビネットシミュ/IRローダー」という枠に収まりません。実態は、ペダルボードの最後に置いて“アンプを持ち込まないで成立する音”を作るための土台です。DynIRのキャビネットを選び、最大2本のマイクを立て、ルーム成分を足し、EQで整え、必要ならノイズゲートで締める。レコーディングの工程を、足元の箱に凝縮したイメージです。
運用も2系統で考えると整理しやすいです。1つは「ペダルボード完結でPA/IFへ直」。歪みやコンプなど“手前の質感”は普段のペダルで作り、C.A.B. M+で“キャビ~空間”を作って提出する。もう1つは「アンプの音をPAへ渡すためのAMP DI」。アンプのスピーカーアウトを入力して、スピーカーアウト(THRU)に実キャビを繋ぎつつ、DI/ラインで“マイキング済み相当”を出す発想です。
サウンドの特徴(DynIRで“録り音の奥行き”が作れる)
この機種の芯はDynIRです。一般的な静的IRが「ある一点のマイク位置」を切り取るのに対し、DynIRは“マイク位置の移動感”を扱える設計で、耳に入ってくる情報量が増えやすい。結果として、PA直でも「平面で貼り付く感じ」が出にくく、前後感や空気感の作り込みがしやすいです。
また、クリーン・プリアンプ+パワーアンプシミュを絡めると、いわゆる“素のIRローダー”よりも弾き心地が整いやすいです。歪みペダルのノリが良くなり、ピッキングの強弱に対する返りが自然になりやすい。ここが「最終段に置くと急に全体がまとまる」系の気持ちよさに直結します。
空間系も“仕上げ用途”として優秀です。深くかけて幻想を作るというより、ルーム・プレート系を薄く足して、ライン直の乾き(=生々しさの逆)を消す方向で使うとハマりやすい。EQは「最終提出の整音」と割り切って、ローカット/ハイカット+中域の微調整だけでも、会場やモニターが変わった時の事故率が落ちます。
使い勝手・セッティングのイメージ
操作は2つのエンコーダー中心で、プリセット選択と各パラメータ編集を切り替えていく方式。現場で重要なのは“入れた信号に対して入力段を適正化すること”です。IN LEVELスイッチがかなり実務的で、ソースに応じて+12dB/0dB/-24dBを選び、表示上でクリップしない最大入力に寄せるのが基本になります。
ペダルボード完結 → PA/FRFR(王道)
- 接続:歪み/コンプ等の後 → C.A.B. M+ → XLR DI/ライン → PA
- IN LEVEL:0dB(まずここから。入力が弱い時だけ+12dBへ)
- プリアンプ:ON(クリーン土台を作る)
- パワーアンプ:ON(弾き心地の“芯”を作る)
- EQ:ローカット 10時/ハイカット 13時
- リバーブ:9時
アンプのスピーカーアウト → C.A.B. M+(AMP DI運用)
- 接続:アンプSP OUT → C.A.B. M+ 入力 → C.A.B. M+ スピーカーアウト → 実キャビ
- IN LEVEL:-24dB推奨(小出力アンプなら0dBも検討)
- プリアンプ:OFF(アンプ側が主役)
- パワーアンプ:OFF(アンプ側が主役)
- Cab/Mic/Room:ON(PAへ“マイキング相当”を提出)
ロードボックスのラインアウト → C.A.B. M+(サイレント構成)
- 接続:アンプ → ロード → ラインOUT → C.A.B. M+
- IN LEVEL:0dB(ロード側出力で上下)
- Cab/Mic/Room:メイン(ここで完成)
- ノイズゲート:必要時のみ
ペダマニ的「ここが魅力」
- 「直出しの弱点」をまとめて潰せる
IRローダー単体だと、音は良くても“仕上げ工程”が別途必要になりがちです。C.A.B. M+はプリアンプ/パワーアンプ/EQ/リバーブ/ノイズゲートまで同居しているので、最終段で音を成立させやすい。PA直・IF直で「毎回同じ着地点」を作れるのは、プレイヤーにもPAにも正義です。 - DynIRの作り込みが“そのまま使える音”に直結
マイク位置やルームの扱いが整理されているので、細かい調整が実用に繋がりやすいです。いわゆる“気持ちいい範囲で追い込める”設計。音作りに時間を使っても、ゴールが見えやすいタイプの機材です。 - アンプあり/なし両方に居場所がある
ペダルボード末端のキャビ出口としても、アンプのAMP DIとしても成立します。機材の変遷に合わせて役割を変えられるので、長く使いやすい。結果として「買い替えで死なない投資」になりやすいのが強みです。
注意しておきたいポイント
- ロードボックスではない(接続ミスは高くつく)
アンプのスピーカーアウトを入力する運用では、スピーカーアウト側に必ず負荷(実キャビまたはロード)が必要です。ここを誤ると、音の問題では済みません。運用ルールをボードに貼り紙したいレベルで重要です。 - 基本はモノラル設計(ステレオ運用は割り切りが必要)
後段の空間系をステレオで広げたい気持ちは分かりますが、本体はモノラル前提で、ステレオで入れても最終的にモノへ集約されます。ステレオを活かすなら、C.A.B. M+の後にステレオ空間を組むなど、システム設計から考えるのが安全です。 - IN LEVELの設定が“音の良し悪し”を決める
入力が低すぎるとS/Nが悪化し、上げすぎるとクリップで台無しになります。C.A.B. M+は入力段を選べるのが長所なので、逆にここを雑にすると損をします。導入直後は、プリセットより先に入力レベルの最適化を終わらせるのがおすすめです。
機種の仕様
| メーカー | Two Notes |
| 製品名 | Torpedo C.A.B. M+ |
| エフェクトタイプ | キャビネットシミュレーター/IRローダー/アンプDI(クリーン・プリアンプ/パワーアンプシミュ/EQ/リバーブ/ノイズゲート搭載) |
| バイパス方式 | トゥルーバイパス |
| コントロール | PARAM/PRESET(エンコーダー):プリセット選択/項目選択(押し込みで決定) VALUE/VOLUME(エンコーダー):値の調整/出力ボリューム IN LEVEL:入力ゲイン切替(+12dB / 0dB / -24dB) GROUND LIFT:XLR DIのグランドリフト |
| 接続端子 | AMP/INST/LINE IN:標準フォーン(TRS) SPEAKER OUT:標準フォーン(TS、スルー出力) LINE OUT:標準フォーン(TRS、バランス) DI OUT:XLR(バランス) PHONES:ステレオミニ AUX IN:ステレオミニ(モノラルへダウンミックス) USB:Remote接続用 DC IN:電源入力 |
| 電源 | 9V 角型電池 AC アダプター |
| 消費電流 | おおよそ 200 mA(DC 9V 時) |
| 入出力レベル/インピーダンス | 入力インピーダンス:1 MΩ 出力インピーダンス:300 Ω |
| 外形寸法・重量(目安) | 幅:121 mm 前後 奥行:100 mm 前後 高さ:60 mm 前後 質量:約 450 g 前後 |