Flashback 2 Delay は、2290系のクリアなデジタルから、アナログ/テープの温かい揺らぎ、Dynamic、Reverse、そしてシマー系のCrystalまでを1台にまとめた多機能ディレイです。3つのTonePrintスロットで“使う音だけ”を現場用に固定でき、さらにMASH(感圧フットスイッチ)でリピート量やミックス、モジュレーションなどを足元からリアルタイム操作できるのが最大の売り。ディレイを「かける」から「演奏する」側へ寄せられる、実戦向きの定番機です。
[TC Electronic] Flashback 2 Delay|ペダマニレビュー
どんなペダル?
Flashback 2は、コンパクト筐体に“複数キャラのディレイ”+“ルーパー”+“TonePrint”を詰め込んだデジタル・ディレイです。基本の操作は、DELAY(タイム)/FEEDBACK(リピート回数)/LEVEL(ディレイ音量)を中心に直感的。ディレイタイプは2290、Analog、Tape、Dynamic、Mod、Crystal、Reverseなどの定番を押さえつつ、TonePrintスロットを3つ持っているので、アプリやエディターで作り込んだ音色を「TonePrint 1〜3」に置いておけば、現場ではツマミ操作を最小で回せます。
もうひとつの主役がMASHです。一般的なディレイは“踏んでON/OFF”で終わりがちですが、Flashback 2はスイッチの踏み込み圧に応じてパラメータが動くため、エクスプレッション的な演奏が可能になります。例えば、ソロの最後だけフィードバックを増やして余韻を伸ばす、サビ頭だけミックスを上げて広げる、モジュレーション量を足元でうねらせる――といった「曲の中の一瞬」を作りやすいのが、旧Flashbackからの大きな進化点です。
加えて、アナログ・ドライ・スルー設計で原音はアナログのまま通し、ディレイ成分だけを加える思想。ライン運用でもアンプ前でも、タッチの気持ちよさを残したい人に向いています。
サウンドの特徴(“万能ディレイ”なのにキャラが立つ)
Flashback 2の良さは「1台で何でもできます」だけで終わらず、各モードの“使い分けがそのまま役割になる”ところです。2290系は輪郭が明瞭で、バンド内でもディレイが埋もれにくい方向。カッティングやアルペジオの粒を保ったまま空間だけ足せるので、まず最初に作る“基準ディレイ”に向きます。
Analog/Tape系は、リピートに丸さや揺れが付くことで、前に出すというより「後ろに奥行きを作る」方向。歪みの後段に置いてもリピートが耳に痛くなりにくく、歌モノのバッキングで使いやすいタイプです。Dynamicは入力に応じてディレイ感が前後するため、弾いている最中は邪魔になりにくく、フレーズの隙間で“残響だけが仕事をする”感じが作れます。リードのディレイが濃すぎて音価が潰れる人に刺さりやすいモードです。
Crystalは、いわゆるシマー寄りの華やかさを足せるので、アンビエントやイントロの演出に強い。Reverseは“分かりやすい仕掛け”として、間奏やアウトロで一気に景色を変えられます。
そして最終的に強いのがTonePrint運用。自分のボード、アンプ、出力環境に合わせた「勝ち設定」を3枠に固定できるので、現場では“迷い”が減り、再現性が上がります。
使い勝手・セッティングのイメージ
王道の基準(2290系で、粒立ち重視のディレイ)
- DELAY:曲テンポに合わせて(まずは付点8分も試す)
- FEEDBACK:10〜12時
- LEVEL:原音より少し下〜同じ
- Subdivision:付点8分(または8分)
粒がきれいに残るので、バンドの中で“邪魔しないのに聴こえる”落とし所を作りやすいです。最初はLEVEL控えめで、必要な場面だけ上げる方が安定します。
歌モノのバッキング(Tape/Analogで、奥行きだけ足す)
- DELAY:300〜450ms目安
- FEEDBACK:9〜11時
- LEVEL:9〜10時
リピートを目立たせず、空気感を作る設定です。歪み後段でも耳に痛くなりにくいので、常時ON運用の候補になります。
リードの“邪魔しない残響”(Dynamicで、隙間にだけ残す)
- DELAY:350〜550ms目安
- FEEDBACK:10〜12時
- LEVEL:10〜12時
弾いている最中の輪郭を守りつつ、フレーズ終わりでだけ余韻が出やすい方向。リードの音価が潰れがちな人ほどハマります。
演出枠(Crystal/ReverseをMASHで“操作する”)
- DELAY:曲に合わせて
- FEEDBACK:12時前後(やや多め)
- LEVEL:11〜1時
- MASH割当:FEEDBACKやLEVEL(ミックス)を推奨
演出系は“かけっぱなし”より、「踏み込みで増減」できる方が現場で事故りにくいです。MASHにフィードバックやミックスを割り当てておくと、必要な瞬間だけ派手にできます。
ペダマニ的「ここが魅力」
- “使う音だけ”を3枠に固定できるTonePrint運用が強い
多機能ディレイは、現場で選択肢が多すぎると逆に迷います。Flashback 2はTonePrintスロットが3つあるので、基準(2290)/奥行き(Tape)/演出(Crystal)のように「役割で固定」しやすい。結果として、セッティングの再現性と切替スピードが上がります。 - MASHでディレイが“演奏できる”エフェクトになる
ディレイはON/OFFだけだと曲の中で使いどころが限られがちですが、MASHなら踏み込み圧でリピート量やミックスを動かせます。ソロ終わりだけ余韻を伸ばす、サビ頭だけ広げるなど、曲の一瞬に対して手数を増やさずに演出できるのが実戦的です。 - アナログ・ドライ・スルーで“原音の手触り”を守りやすい
デジタルディレイでも、原音のタッチ感が変わるのが嫌な人は多いです。Flashback 2は原音をアナログで通し、ディレイ成分を加える設計なので、アンプ前でもラインでも“弾き心地”を残しやすい。地味ですが、長く使うほど効いてきます。
注意しておきたいポイント
- MASHは“踏み込み圧”の作法に慣れが必要
便利な反面、最初は思ったより踏み込む必要があったり、狙いの量が出なかったりします。導入直後は「MASHで何を動かすか」を1つに絞り、踏み込みの感覚を先に身体に入れると、現場で事故りにくいです。 - 多機能ゆえに、最初は“基準音”を先に決めた方が速い
Delay Typeが多いので、全部を触り始めると音作りが終わりません。最初は2290(基準)+Tape/Analog(奥行き)+演出1つ、のように3枠だけ作ってTonePrintに固定し、必要になったら追加する運用が結果的に強いです。 - 電源は余裕を見て確保しておくのが安全
公称の消費電流は100mAクラスですが、販売店表記で大きめの値が記載されるケースもあります。ボード電源は余裕のあるポートを割り当て、分岐やギリギリ運用を避ける方がトラブル耐性は上がります。
機種の仕様
| メーカー | TC Electronic |
| 製品名 | Flashback 2 Delay |
| エフェクトタイプ | ディレイ(デジタル)/ルーパー |
| バイパス方式 | トゥルーバイパス/バッファード切替 |
| コントロール | DELAY:ディレイタイム(遅延時間) FEEDBACK:リピート回数(フィードバック量) LEVEL:ディレイ音量(ミックス/リピートレベル) DELAY TYPE:ディレイタイプ選択(各アルゴリズム+TonePrint枠) SUBDIVISION:リズム分割(例:4分、8分、付点8分、組み合わせ等) FOOTSWITCH:エフェクトON/OFF、タップ(操作方式により)/長押しでMASH操作 MASH(機能):踏み込み圧に応じて割当パラメータをリアルタイム制御 USB:TonePrint編集/ファームウェア更新用 |
| 接続端子 | INPUT:標準フォーン(ギター/ベース入力) OUTPUT:標準フォーン(アンプ/次段エフェクターへ) DC IN:9V DC アダプター用ジャック(センターマイナス、2.1mm) DC OUT:他のコンパクトペダル用電源供給端子 USB:Mini-B(編集/更新用) |
| 電源 | 9V角型電池 AC アダプター(9V DC センターマイナス) |
| 消費電流 | おおよそ 100 mA(DC 9V 時) |
| 入出力レベル/インピーダンス | 入力インピーダンス:1 MΩ 出力インピーダンス:100 Ω |
| 外形寸法・重量(目安) | 幅:72 mm 前後 奥行:122 mm 前後 高さ:45 mm 前後 質量:約 300 g 前後 |