TC Electronic Ditto Looper は、「ルーパーに欲しいことだけ」を極小筐体へ凝縮した1ノブ1スイッチの定番モデルです。最長5分のループ、無制限オーバーダブ、Undo/Redo、そしてトゥルーバイパス+アナログ・ドライスルーという“音の土台を崩しにくい”仕様が揃っており、練習からライブまで「思いついたら即ループ」に持ち込めます。複雑な機能を足さず、操作の迷いを削って演奏時間を増やす方向に振り切った、実戦的なルーパーです。
[TC Electronic] Ditto Looper|ペダマニレビュー
どんなペダル?
Ditto Looper は、ギター/ベース向けに設計されたコンパクト・ルーパーです。ルーパーって便利な反面、「録音・再生・停止・消去」が分かりにくい機種も多いですが、Ditto はそこを1スイッチに集約して、操作のストレスを極限まで減らしています。ツマミも Loop Level の1つだけなので、初見でも“とりあえず使える”のが強みです。
ループは最長5分、オーバーダブは無制限。さらに Undo/Redo が入っているので、直前に重ねたフレーズだけを消してやり直す、という“練習で一番欲しい動き”がきちんとできます。停止はダブルタップ、停止+消去はダブルタップ長押し、といった定番操作に整理されているため、慣れるとかなりスピーディに回せます。
音まわりも実用本位で、トゥルーバイパスに加えてアナログ・ドライスルー(原音はアナログのまま通す思想)が前提。ループだけが再生されるので、直列に入れても「原音の鮮度が落ちにくい」方向で組み込みやすいです。電源は9Vセンターマイナスのアダプター専用で、電池駆動はできません。ここは割り切りポイントですが、逆に言えばボードに固定して“いつでも即ループ”に向いています。
サウンドの特徴(原音を崩さないドライ感と、ループのまとまり)
Ditto Looper の音の印象は、良くも悪くも「足し算しない」タイプです。ルーパー自体のキャラクターで派手に色付けするというより、弾いた音をそのままループとして置ける方向性。特にアナログ・ドライスルー前提なので、オフ時だけでなくオン運用でも“原音の芯”を保ちやすいのが安心材料です。
ループ側は、積み重ねていったときに破綻しにくいバランスにまとまる印象です。もちろん無制限オーバーダブなので、重ねすぎれば飽和していきますが、その挙動が極端に崩れるというより「レイヤーが増えるほど整理が必要になる」という普通の現場感に落ち着きます。要は、ルーパーが勝手に音を盛ったり暴れたりしないぶん、出音は演奏と音量設計の責任範囲に収まります。
もう一つ大事なのが Loop Level の効き方。ルーパーの音量を上げすぎると“過去の自分”が現役の自分を押しのけますし、下げすぎると練習の意味が薄れる。Ditto はその調整が1ノブで済むので、現場での微調整が速い。地味ですが、これが「結局いつも使う」ルーパーになりやすい理由です。
使い勝手・セッティングのイメージ
基本の音量(原音と馴染ませる)
- LOOP LEVEL:12時
ループと生音が同じくらいの存在感になる基準位置です。まずここを出発点にして、演奏環境(アンプの音量、歪み量、バンドの音量)に合わせて微調整すると迷いにくいです。
練習用(ループを少し小さくして上に乗る)
- LOOP LEVEL:10〜11時
ループを“伴奏”として扱い、自分のリアルタイム演奏を上に乗せたいときのバランスです。フレーズのリズムやピッチのズレが分かりやすくなります。
ソロ用途(ループを気持ち大きめに)
- LOOP LEVEL:13〜14時
ループそのものを聴かせたい、あるいはループを“土台として押し出したい”ときの設定です。上げすぎると全体が団子になりやすいので、歪み量が多いほど控えめが安全です。
操作の最短手順(覚えるのはこれだけ)
- 録音:スイッチ1回
- 再生:スイッチ1回
- オーバーダブ:再生中にスイッチ1回
- 停止:ダブルタップ
- 停止+消去:ダブルタップして長押し
- Undo/Redo:長押し(直前のテイクを消す/戻す)
ポイントは「停止のダブルタップだけ先に身体に入れる」ことです。ここが固まると、ライブでも練習でも安心感が一段上がります。
ペダマニ的「ここが魅力」
- 1ノブ1スイッチで迷いが消える
“ルーパーの操作で手が止まる”時間を削って、演奏の時間に還元できます。機能を増やすより、失敗しない導線を作る設計が実戦向きです。 - Undo/Redoが練習効率を底上げする
直前の重ね録りだけを取り消せるので、失敗テイクを引きずりません。アイデア出しでも「一旦乗せて、ダメなら戻す」が高速です。 - 小型でも“ボード常設”の価値がある
省スペースで置けるうえに、ループ音量は1ノブで完結します。結果として、ルーパーが“特別な機材”ではなく、いつもの練習道具として定着しやすいです。
注意しておきたいポイント
- ループは1つだけで、保存運用は前提外
多トラックやメモリーに保存して曲ごとに呼び出すタイプではありません。“その場で作って、その場で回す”運用が最もハマります。 - 電池駆動不可で、電源品質がそのまま安定性になる
9Vアダプター必須なので、ボードのパワーサプライ設計が重要です。出力不足やノイズのある電源だと、気持ちよく回す前にストレスが勝ちます。 - 停止のダブルタップは慣れるまで事故りやすい
ライブでの誤操作はだいたいここで起きます。クリックなし運用なら特に、最初に停止だけ反復して“足癖”にしておくのが安全です。
機種の仕様
| メーカー | TC Electronic |
| 製品名 | Ditto Looper |
| エフェクトタイプ | ルーパー(フレーズループ) |
| コントロール | LOOP LEVEL:ループ再生音量 FOOTSWITCH:録音/再生/オーバーダブ/停止/消去/Undo/Redo |
| 接続端子 | INPUT:標準フォーン(モノTS) OUTPUT:標準フォーン(モノTS) USB:Mini-B(ファームウェア更新用) DC IN:9V AC アダプター用ジャック(センターマイナス) |
| 電源 | AC アダプター ※電池駆動不可 |
| 消費電流 | おおよそ 100 mA(DC 9V 時) |
| 入出力レベル/インピーダンス | 入力インピーダンス:1 MΩ 出力インピーダンス:100 Ω |
| 外形寸法・重量(目安) | 幅:48 mm 前後 奥行:93 mm 前後 高さ:48 mm 前後 質量:約 77 g 前後 |