Strymon Iridium は、アンプ・キャビIR・ルーム感(Room)を1台にまとめたアンプ/キャビシミュレーターです。3種類のアンプタイプ(Round/Chime/Punch)と、それぞれに最適化されたキャビネットIRを切り替えるだけで、ペダルボードの出音を“アンプで鳴らした完成形”にまとめやすいのが魅力。ステレオ入出力・ヘッドホン端子・USB(IR管理)・FAVスイッチ(お気に入り呼び出し)まで揃っているため、ライブの直出しから宅録、深夜練習まで、運用の基準点を作れる実戦的な一台です。
[Strymon] Iridium|ペダマニレビュー
どんなペダル?
Iridium は「アンプ+キャビ(IR)+部屋鳴り」を足元に固定するためのペダルです。いわゆるマルチのようにモジュレーションやディレイが大量に入っている機材ではなく、アンプ周りに特化しているのがポイント。つまり、ボード内の歪み・空間系・スイッチャー等はそのまま活かしつつ、最後段で“アンプの受け皿”だけを用意できる設計です。
基本運用はシンプルで、AMPスイッチでアンプタイプ、CABスイッチでキャビの組み合わせを選び、DRIVE/LEVEL/EQで整えます。さらにROOMノブで「マイク録りっぽい自然な空気」を足せるので、直出し特有のドライさを最短で埋められます。
現場目線で強いのは、用途に応じて“必要な部分だけ”使える点です。
- 直出し(PA/FRFR/IF)=アンプ+キャビ+ROOMで完成
- アンプのリターンへ=キャビをバイパスして「プリアンプ」的に使う
- 既存プリアンプの後段に=アンプをバイパスして「IRキャビ」専用にする
この切り分けができるので、「いつものボード」を状況に合わせて崩さずに持ち出せます。
サウンドの特徴(アンプの“弾き心地”とIRのリアリティが両立しやすい)
Iridium の音の核は、弾いた瞬間の“アンプっぽい反応”が出しやすいことです。単にEQカーブでそれっぽくするのではなく、ピッキングの強弱で歪み方やコンプ感が変わる、という「演奏に追従する気持ちよさ」が残ります。ここにキャビIRが合わさることで、直出しでも耳当たりが自然になり、音が“前に出る位置”が作りやすいです。
アンプタイプはキャラが分かりやすい3系統。どれも「外部ペダルで作った歪みを受け止める」前提で使えるので、既存ボードの資産を活かしやすいのが実務的です。
- Round:クリーン〜軽いブレイクアップが作りやすく、ペダルのノリが良い
- Chime:明るさと抜けが出しやすく、カッティングやアルペジオが立つ
- Punch:ミッドが強く、ロックの押し出しや太い歪みの土台に向く
ROOMは地味に見えて、直出し運用の勝敗を分けます。小さく足すだけで“スピーカー前で鳴っている感”が出るため、リバーブを深くしなくても成立しやすい。曲によってはROOMだけで十分、というケースもあります。
使い勝手・セッティングのイメージ
王道クリーン〜ペダル前提の土台
- AMP:Round
- CAB:a(まずは定番系から)
- DRIVE:10〜12時
- LEVEL:ユニティ(音量が揃う位置)
- BASS:11〜12時
- MIDDLE:12時
- TREBLE:12〜13時
- ROOM:9〜11時
ペダルの歪みを前に置く運用で強い基準点。まずはROOM薄めで“乾き”だけ取ると、現場で扱いやすいです。
抜けの良いカッティング/アルペジオ
- AMP:Chime
- CAB:a〜b
- DRIVE:9〜11時
- LEVEL:ユニティ
- BASS:10〜12時
- MIDDLE:11〜12時
- TREBLE:12〜14時
- ROOM:9〜10時
Chimeは明るさが武器なので、TREBLEを上げすぎないのがコツ。刺さる場合はTREBLEを下げるより、ROOMを少し足して角を丸める方が上手くいくことがあります。
ロックの押し出し・歪みの母艦
- AMP:Punch
- CAB:b〜c
- DRIVE:12〜14時
- LEVEL:ユニティ〜少し上
- BASS:11時
- MIDDLE:12〜14時
- TREBLE:11〜12時
- ROOM:9〜11時
Punchは中域が前に出るので、まずMIDDLEでバンド内の居場所を作ると早いです。ローが膨らむならBASSを少し引き、キャビ側で締めるイメージが安定します。
アンプのリターンに挿す(キャビ不要のプリアンプ運用)
- CAB:バイパス(キャビを使わない設定)
- AMP:好み(Round/Chime/Punch)
- ROOM:0〜9時(基本は薄め)
アンプのキャビネットを鳴らす前提なので、キャビIRは切るのが基本。現場では「LEVELを上げすぎない」「ROOMを盛らない」が事故防止です。
IRキャビ専用として使う(外部プリアンプの後段)
- AMP:バイパス(アンプを使わない設定)
- CAB:好み
- EQ:必要最小限
手持ちのプリアンプ/アンプインアボックスの“最後”に置くと、直出しの完成度が上がります。アンプ側で作り込みすぎず、Iridium側はキャビと最終整音として使う方が再現性が出やすいです。
ペダマニ的「ここが魅力!」
- ボードの最後に置くだけで“完成音”になりやすい
アンプ+キャビ+ルームが一体なので、直出しの弱点(乾き・耳当たり・押し出し)を短時間で整えられます。会場や環境が変わっても「基準点」が作れるのは、運用上かなり大きいです。 - 外部ペダルの良さを殺しにくい、アンプ特化設計
マルチで全部完結させるより、「いつもの歪み・空間系」をそのまま活かして最後だけ整える運用が組みやすいです。ボード資産を活かせる=乗り換えコストが低いのも現実的な利点です。 - 宅録・直出し・ヘッドホンを一本化できる
練習〜制作〜ライブで音の基準が揃うと、調整の手戻りが減ります。地味ですが「弾く回数が増える」タイプの機材で、結果としてアウトプットが速くなります。
注意しておきたいポイント
- これは“アンプ周り特化”。空間系や揺れは別途ボードで用意する
ROOMはありますが、いわゆるディレイ/リバーブ/モジュレーションの代替ではありません。Iridiumは最後段の母艦として割り切り、時間系は外部で組む方が満足度が高いです。 - 入力レベルと音量設計を曖昧にすると、良さが出にくい
インスト/ラインの設定や、前段のブースト量次第で挙動が変わります。最初に「どこへ出すか(PA/IF/FRFR/アンプリターン)」を決め、その前提でユニティとEQを作るのが安全です。 - 電源は余裕が必須。ボード電源計画に組み込む
消費電流が大きいクラスなので、分岐で雑に取ると不安定要因になります。安定供給できる出力を確保して、電源を先に固めるのが堅実です。
機種の仕様
| メーカー | Strymon |
| 製品名 | Iridium |
| エフェクトタイプ | アンプシミュレーター/IRキャビネット(デジタル) |
| コントロール | DRIVE:ゲイン量(入力段+アンププリアンプの歪み量。上げるほど歪みとコンプ感が増える) LEVEL:出力レベル(ON時の全体音量。ヘッドホン出力にも反映) BASS:低域調整 MIDDLE:中域調整(アンプタイプにより効き方が“アンプらしく”変化) TREBLE:高域調整 ROOM:ルームアンビエンス量(小/中/大のルームサイズ選択に対応) AMP:アンプタイプ切替(Round / Chime / Punch) CAB:キャビネットIR切替(各アンプにつきa/b/c) ON フットスイッチ:エフェクトON/OFF FAV フットスイッチ:お気に入り(Favorite)呼び出し/保存 |
| 接続端子 | IN:標準フォーン(モノ入力/設定によりTRSステレオ入力対応) OUT L:標準フォーン(左/モノ出力) OUT R:標準フォーン(右出力) EXP:TRS(エクスプレッション/外部スイッチ/MIDI制御用) USB:USB端子(IR管理ソフト接続) PHONES:ステレオミニ(ヘッドホン出力) DC IN:9V DC アダプター用ジャック(センターマイナス) |
| 電源 | AC アダプター(センターマイナス) |
| 消費電流 | おおよそ 500 mA(DC 9V 時) |
| 入出力レベル/インピーダンス | 入力インピーダンス:1 MΩ 出力インピーダンス:100 Ω |
| 外形寸法・重量(目安) | 幅:102 mm 前後 奥行:114 mm 前後 高さ:61 mm 前後 質量:約 429 g 前後 |