Strymon Cloudburst は、コンパクトサイズながら、Strymon らしい高品位なアンビエント・リバーブを詰め込んだ空間系ペダルです。シンプルなノブ構成で使いやすく、Ensemble 機能をオンにすれば、ギターからストリングスのようなパッドが立ち上がる独自のサウンドも構築可能。クリーンの後ろに「一枚、上質な空間レイヤーを敷く」感覚で使える、ボードの主力リバーブ候補です。
[Strymon] Cloudburst|ペダマニレビュー
どんなペダル?
Cloudburst は、Strymon のフラッグシップ級リバーブのテイストを、コンパクト筐体に落とし込んだアンビエント寄りリバーブです。単なるホール/プレート系ではなく、残響がじわっと広がる“クラウド(雲)”的なテクスチャを持ち、単音でもコードでも、奥行きのある空間に包み込むことができます。
DECAY、MIX、TONE、MOD、PRE-DELAY といった基本コントロールに加え、Ensemble スイッチで「OFF/MILD/FULL」とパッド成分を切り替え可能。Ensemble を入れると、ピッキングに追従してストリングスのようなアンサンブルが立ち上がり、ギター1本でもトラック全体を埋められるような厚みを簡単に作れます。
サイズは Strymon のコンパクトシリーズ準拠で、ボードの空きスペースにも収まりやすく、電源も一般的な 9V センターマイナスで運用可能。スタジオクオリティのアンビエント空間を、ライブボードの実用的なサイズに凝縮した一台です。
サウンドの特徴(立体的な残響とストリング・アンサンブル)
Cloudburst の基本サウンドは、「輪郭は残しつつ、周囲を柔らかい霧で包む」ような立体的リバーブです。残響が単に広がるだけでなく、奥行き方向にふわっと伸びていくため、クリーン単音でもコードでも、簡単に“映画的”な空間感が作れます。
MIX を低めにすると、アンプのルーム感を少し広げたような自然な空間系として運用可能。DECAY を伸ばしていくと、残響がロングテールになり、ポストロック/アンビエント系の長い余韻が得られます。TONE と MOD によって、きらびやかなハイを足したり、揺らぎを増やしたりといった微調整も行えます。
最大の特徴が Ensemble 機能です。これを MILD~FULL に設定すると、ギター信号から解析されたハーモニック成分を元に、ストリングスのようなシンセパッドが後ろに重なります。普通にコードを弾いているだけでも、鍵盤とギターが一緒に鳴っているような質感になり、ワンテイクでトラックの密度を一気に上げることができます。
使い勝手・セッティングのイメージ
日常使いの“広めルーム/ホールリバーブ”
DECAY:9〜10時
MIX:9〜10時
TONE:11〜12時
MOD:最小〜9時
PRE-DELAY:少なめ
Ensemble:OFF
アンプの素のサウンドをベースに、少し広めのルーム/ホール感を足す、常時オン寄りのセッティングです。クリーンカッティングやアルペジオの後ろにさりげなく空間がつき、歌モノやポップス系の現場でも違和感なく使える“普通に良いリバーブ”として機能します。アンビエントに振り切らず、日常使いのメインリバーブにしやすいゾーンです。
ポストロック/アンビエント用のロングテール・クラウド
DECAY:13〜15時
MIX:11〜13時
TONE:12〜14時(きらびやかにしたい場合はやや上げる)
MOD:11〜13時(揺らぎを加える)
PRE-DELAY:中程度
Ensemble:MILD
ロングテールのリバーブを活かして、ポストロックやアンビエント向きの“広がりすぎる空間”を狙うセッティングです。単音リードやオクターブフレーズを弾くだけで、音が背後に大きく広がり、バンド全体を覆うような雰囲気を作ることができます。Ensemble は MILD にしておくと、パッド感は出しつつもギターの輪郭を残せます。
ギター1本で完結させる“パッド+メロの二役”セッティング
DECAY:12〜14時
MIX:12〜14時
TONE:11〜12時(明るすぎない程度)
MOD:11〜13時
PRE-DELAY:中〜やや多め
Ensemble:FULL
ソロギターやデュオなど、編成が少ない場面で「背景のパッド」と「メロディ」を一台で兼任するためのセッティングです。Ensemble を FULL にすると、コードの後ろにストリングスのようなパッドが立ち上がり、その上から単音メロを弾いても自然に溶け込みます。空間系のルーパーやディレイと組み合わせると、1人でもかなり厚みのあるサウンドスケープを構築できます。
ペダマニ的「ここが魅力!」
- コンパクトなのに“メインリバーブ+アンビエント”を両立できる
Cloudburst は、サイズ感としてはコンパクトペダルでありながら、「普通に使えるメインリバーブ」と「振り切ったアンビエント空間」の両方をカバーできるのが大きな強みです。DECAY と MIX を絞れば日常使いのリバーブ、上げていけば映画的なサウンドスケープ、と1台で役割を切り替えやすく、ボード内での居場所がハッキリしています。 - Ensemble 機能で“ギターだけでは埋めきれない隙間”を埋めてくれる
Ensemble を使うと、ギタリスト一人では埋めづらいミッド〜ハイの“面の情報”を自然に補ってくれます。鍵盤やシンセがいない編成でも、ギタリストがコードを弾くだけで空間がリッチになり、トリオ編成や少人数編成のバンドでもサウンドのスケール感を大きく見せやすくなります。 - Strymon らしい高解像度の残響とノイズの少なさ
Strymon らしく、残響の解像度とノイズの少なさは非常に高く、歪みペダルと組み合わせても音が濁りにくいのが実戦的です。リバーブのテイルがきれいに伸びていくため、録音でもライブでも「とりあえず Cloudburst に任せておけば空間が決まる」という安心感があります。
注意しておきたいポイント
- あくまで“クラウド系アンビエント寄り”で、スプリング等の再現は守備範囲外
Cloudburst はクラウド/アンビエント寄りのリバーブに特化した設計で、プレート/スプリング/ルームなどを細かく切り替えるマルチリバーブではありません。クラシックなスプリングの揺れや、実在空間のシミュレーションを細かく選びたい場合は、他の Strymon リバーブ(blueSky や BigSky 系)や別種のマルチリバーブと役割分担する必要があります。 - Ensemble を強くかけすぎると“ギター感”が薄れることがある
Ensemble を FULL 寄りにすると、ストリングス的なパッド成分が前に出すぎて、ギターそのもののアタックや輪郭がやや後ろに押し込まれることがあります。バンドアンサンブルで埋もれやすくなる場合は、MILD に落とすか MIX を控えめにするなど、状況に応じた調整が必要です。 - 多機能系に比べるとモード切替の自由度はあえて絞られている
操作系はシンプルにまとまっている一方で、細かいアルゴリズム選択やプリセット切替を求めると、少し物足りないと感じるかもしれません。Cloudburst は「アンビエント寄りのクラウド系リバーブ+Ensemble に特化した1台」と割り切り、他のマルチリバーブと棲み分ける前提で考えるのが現実的です。
機種の仕様
| メーカー | Strymon |
| 製品名 | Cloudburst Ambient Reverb |
| エフェクトタイプ | デジタルリバーブ(アンビエント/クラウド系) |
| コントロール | DECAY:リバーブテイルの長さを調整 MIX:原音とリバーブのブレンド量 TONE:残響の明るさ/ダークさ MOD:リバーブテイルのモジュレーション量 PRE-DELAY:原音から残響が立ち上がるまでのディレイタイム ENSEMBLE スイッチ:OFF/MILD/FULL(パッド的アンサンブル成分の量) フットスイッチ:エフェクト ON/OFF(長押しで一部機能切替などの拡張操作が設定されている場合あり) |
| 接続端子 | INPUT:標準フォーン(ギター/ライン入力) OUTPUT:標準フォーン(アンプ/次段エフェクターへ) EXP / MIDI 端子:外部コントロール用マルチ端子(機能は公式仕様に準拠) DC IN:9V DC アダプター用ジャック(センターマイナス) |
| 電源 | AC アダプター(センターマイナス) |
| 消費電流 | おおよそ 250 mA(DC 9V 時) |
| 入出力レベル/インピーダンス | 入力インピーダンス:1 MΩ 出力インピーダンス:100 Ω |
| 外形寸法・重量(目安) | 幅:69 mm 前後 奥行:117 mm 前後 高さ:56 mm 前後 質量:約 280 g 前後(電池含む) |