ユーティリティ系は、ギターの音を「安定させる装置」です。
歪みや空間系みたいに派手に気持ちよくなるタイプではありませんが、これが整うと 演奏が上手く聴こえる・現場で事故らない・練習が回る の3点が一気に改善します。
とはいえ市場には星の数ほどモデルがあり、「音が変わらないなら後回しでいいか」と放置されがち。結果、スタジオやライブでこうなります。
- チューニングがズレているのに気づかない(=全員にバレる)
- 踏み替えで音が出ない/音量が跳ねる(=自分だけパニック)
- 練習が続かない(=結局、上達が遅い)
原因は難しくありません。多くの場合、機材選びの前に 「ユーティリティの役割」が整理できていない だけです。
ユーティリティで失敗する人は、機種の問題というより「目的」を勘違いしがちです。
- 「チューナー=ピッチ確認」だけではなく、実際は “ミュート/信号の基準点”
- 「ボリューム=音量を下げる」ではなく、実際は “演奏の表現/ノイズ管理”
- 「ルーパー=遊び」ではなく、実際は “練習効率のブースター”
- 「スイッチャー=上級者用」ではなく、実際は “踏み替え事故を消す保険”
このあと紹介する10台は、どれも定番ですが、選ぶ基準は「有名かどうか」ではありません。あなたが欲しいのは、次のどれ? ここを先に決めると、読んだ瞬間に答えが出ます。
まず押さえるべき「ユーティリティ系の4タイプ」
1) チューナー(Tuner)
ピッチの確認に加え、ミュート/音作りの基準として重要。最初の1台で一番“損しない”枠です。
2) ボリュームペダル(Volume Pedal)
音量の上げ下げだけでなく、無音化(ミュート)/揺れのないフェードができます。置き場所で役割が変わります。
3) ルーパー(Looper)
短いフレーズを録って再生しながら練習できる、練習効率の最終兵器。上達スピードが変わります。
4) スイッチャー(Switcher)
複数ペダルのON/OFFをまとめて管理して、踏み替え事故を消す装置。音色の切り替えが“演奏”になるタイプです。
この4分類を知っておくだけで、商品説明の見え方が変わります。自分は“正確に音の表現をしたい”のか、“ライブ中のミスを無くしたい”のか、が分かるだけで、買い物が一気に楽になります。
初心者がユーティリティ系で失敗する原因
初心者が見落としがちなポイントがこれです。
1) 「音が変わらない=後回し」で、現場で詰む
ユーティリティは“音色”より先に、運用の安定を作ります。後回しほど失敗コストが高いです。
2) 置き場所を間違える(特にボリューム/スイッチャー)
- ボリュームを歪み前に置く→歪み量が変わる(表現向き)
- 歪み後に置く→音量だけ変わる(全体コントロール向き)
目的が違うのに同じつもりで買うと「思ってたのと違う」になります。
3) レベル合わせをしない(ルーパーが特に事故る)
録音したフレーズと生音の音量差が大きいと、練習も本番も崩壊します。最初にやるべきは音作りより レベル合わせです。
まず結論(迷ったらこの3つでOK)
「選ぶのが面倒」「1台目で外したくない」なら、ここから入るのが堅いです。
- とにかく定番・安定(チューナー):BOSS TU-3
- 表現にもミュートにも使える(ボリューム):Ernie Ball VP Jr
- 練習が一気に回る(ルーパー):BOSS RC-5
ここから先は「目的別」に選べば、買い物は失敗しない
このあと紹介する10台は、単なる人気順ではなく、
- まず“基準点”を作りたい人向け(チューナー)
- 音量とノイズをコントロールしたい人向け(ボリューム)
- 練習/作曲を加速したい人向け(ルーパー)
- 踏み替え事故をゼロにしたい人向け(スイッチャー)
という“使いどころ”で整理してあります。あなたの目的に一番近いところから読めば、最適な1台が見つかるはずです。
[BOSS] TU-3 Chromatic Tuner(迷ったら最初の1台になれる“基準機”)
TU-3は「チューナーはこれでいい」と言える定番。反応が安定していて、暗い現場でも見やすく、ミュート(無音)→チューニング→復帰がスムーズにできます。初心者がまず欲しいのは“高機能”より毎回ちゃんと使えることですが、TU-3はその条件を外しません。
- 特徴:視認性・安定性が高い/ミュート運用がしやすい
- 向く環境:自宅〜スタジオ〜ライブ(最初の1台に最適)
- おすすめの使い方
- 曲間のチューニングを「無音で」済ませる(現場力が上がる)
- まずはA=440Hz固定でOK
- 初期セッティング:キャリブレーション A=440Hz(固定)
- 落とし穴:チューナーを“常時ONで眺める”と演奏が止まります。曲間だけ使う、で十分です。
[TC Electronic] Polytune 3(速い・見やすい・バッファも使える“現場型”)
Polytune 3は、反応の速さと表示の分かりやすさで人気のチューナー。初心者にとってありがたいのは「合わせる作業が短くて済む」こと。チューニングは意外と集中力を削るので、速い=演奏が途切れにくいのは大きな価値です。
- 特徴:反応が速い/表示が直感的/運用が軽い
- 向く環境:ライブ、踏み替えが多い人、サッと合わせたい人
- おすすめの使い方
- 曲間チューニングを最短で終わらせる
- チューナーを“基準点”としてボードの先頭に置く
- 初期セッティング:キャリブレーション A=440Hz(固定)
- 落とし穴:合わせ込みに時間をかけすぎると、全体の流れが止まります。ズレを早く潰すのが正義です。
[Ernie Ball] VP Jr(ボリュームペダルの王道。“音量=表現”が分かる)
VP Jrは、ボリュームペダルの定番。初心者がこれを入れて実感できるのは、音量操作が“調整”ではなく演奏表現になることです。フェードイン、フェードアウト、曲間の無音化まで、手元のノブより確実にコントロールできます。
- 特徴:踏み心地が自然/表現が作りやすい/“弾き方以外の表現”が増える
- 向く環境:バラード、アンビエント、曲間ミュートをきれいにしたい人
- おすすめの使い方
- 歪み前:踏み込みで歪み量も変わる(表現向き)
- 歪み後:音量だけ変わる(全体音量コントロール向き)
- 初期セッティング:まずは“最小=完全OFF”運用(ミュート兼用)
- 落とし穴:どこに置くかで役割が変わります。「音量だけ下げたい」のか「歪みも含めて変えたい」のか、先に決めると失敗しません。
[BOSS] FV-500H(頑丈で扱いやすい“現場仕様ボリューム”)
FV-500Hは、踏み心地が安定していて、現場で雑に扱っても壊れにくい“仕事道具”系。ボリュームペダルは意外と外装ダメージが効くので、スタジオやライブで使うほど頑丈さが価値になります。音量を“一定に抑える”用途にも向きます。
- 特徴:頑丈/踏み心地が安定/現場向き
- 向く環境:スタジオ・ライブ、踏み込みが激しい人
- おすすめの使い方
- 歪み後段で“全体音量”をコントロール
- 曲間の無音化を確実に(ミュート運用)
- 初期セッティング:まずは“最小=完全OFF”運用(ミュート兼用)
- 落とし穴:ボリュームペダルは「踏みしろ」が大事。置き場所と姿勢(足元スペース)まで含めて選ぶと満足度が上がります。
[BOSS] RC-5 Loop Station(練習が回る。“基準ルーパー”)
RC-5は、初心者がルーパーで欲しい要素(録りやすい・戻せる・音量が揃えやすい)を押さえた定番。ルーパーを入れると練習の質が変わります。自分のフレーズを外から聴けるので、リズムのズレやピッキングの粗が可視化されます。これは上達への近道です。
- 特徴:操作が分かりやすい/練習効率が上がる/“自分を客観視できる”
- 向く環境:自宅練習、フレーズ作り、リズム矯正
- おすすめの使い方
- まずは8小節のコード進行だけ録る→その上でソロ練習
- ループ音量は控えめにして、生音を主役にする
- 初期セッティング:Loop Level 11〜12時(生音より少し小さめ)
- 落とし穴:録音レベルが大きすぎると、全部が“ループに引っ張られる”練習になります。最初はループを小さめが正解です。
[TC Electronic] Ditto Looper(1ノブで迷子にならない“最初のルーパー”)
Dittoは、操作がシンプルで「録る→重ねる→戻す」が直感的。初心者がルーパーでやりがちな“機能が多すぎて使わない”を回避しやすいのが強みです。練習に必要なのは、実はこの最小限だけ。まずは“録って聴く”習慣がつくと勝ちです。
- 特徴:シンプル/迷子にならない/練習用に強い
- 向く環境:初ルーパー、フレーズ練習、コード進行作り
- おすすめの使い方
- 4〜8小節のバッキングを録って、リズムを矯正
- 1回録ったら、まずは“弾かずに聴く”
- 初期セッティング:Loop Level 12時→大きければ11時へ
- 落とし穴:最初から長尺を録るとミスが増えます。短いループで成功体験を積むのが最短です。
[NUX] Loop Core Stereo(ステレオ対応で“練習も作曲も回せる”コスパ枠ルーパー)
Loop Core Stereoは、ステレオ入出力に対応した実用派ルーパーで、練習からフレーズ作りまで幅広く使えるコスパ枠。初心者がルーパーで欲しいのは「失敗しても戻れる」「繰り返せる」「音量が揃う」ですが、その“必要十分”を現実的に満たしやすい選択肢です。
- 特徴:コスパ良/ステレオ対応/練習〜作曲まで幅広い
- 向く環境:自宅練習、ステレオ空間系を活かしたい人、予算を抑えてルーパーを“ちゃんと使いたい”人
- おすすめの使い方
- まずはコード進行を録って、メロディ作り・ソロ練習に使う
- ループ音量を一定にして“弾き方の差”を確認する
- ステレオ空間系は後段で薄く(広がりを気持ちよくする)
- 初期セッティング:Loop Level 11〜12時(生音より少し小さめ)
- 落とし穴:機能が増えるほど迷子になります。最初は 録音/再生/アンドゥ だけ使うでOKです。
[One Control] Iguana Tail Loop MKIII(踏み替え事故を消す“現行入門スイッチャー”)
Iguana Tail Loop MKIIIは、「スイッチャー=難しい」を崩してくれる現行の実戦型ループスイッチャー。複数ペダルのON/OFFをまとめて管理できるだけで、踏み替え事故が一気に減ります。特に歪みを2台以上使う人は“踏み外し”が起きやすいので、早めに導入すると現場がかなり楽になります。
- 特徴:踏み替えが減る/事故が激減/現場で強い
- 向く環境:ライブ、曲数が多い、切り替えが多い、歪み2台以上のボード
- おすすめの使い方
- まずは「歪みセット」だけをループにまとめる(ここだけで効果が大きい)
- 使う組み合わせは2〜3個に絞る(増やしすぎない)
- チューナーを含めて“無音チューニング”の導線を作る
- 初期セッティング:最初は2〜3ループだけ運用(全部繋がない)
- 落とし穴:最初から全部を一括管理すると逆に混乱します。事故が起きる箇所からが成功率高いです。
[BOSS] ES-5 Effects Switching System(現場で事故らない“実戦プリセットスイッチャー”)
ES-5は、スイッチャーの中でも「現場で確実に回す」ための設計が強いタイプ。音色をプリセット化して、1踏みで切り替えられるようになると、踏み替えが“作業”から“演奏”になります。初心者がいきなりフル活用する必要はありません。まずは2〜3パターン作れれば十分です。
- 特徴:プリセット運用が強い/踏み替え事故が激減/現場向き
- 向く環境:ライブ、曲数が多い、切り替えが多い人
- おすすめの使い方
- 「クリーン」「リズム」「リード」だけ先に作る
- チューナーも含めて“無音チューニング”を仕込む
- 初期セッティング:最初はプリセット3つ(Clean / Rhythm / Lead)だけ
- 落とし穴:プリセットを増やすほど迷子になります。最初は3つ固定、が最速です。
[Joyo] PXL-8(とにかく安く“踏み替え”を減らすコスパスイッチャー)
PXL-8は、低予算でスイッチャー運用を始めたい人の現実的な選択肢。完璧を狙うより、まず「踏み替えが減る」「一発で戻れる」のメリットを体感するのに向きます。初心者がスイッチャーで得るべきは、まず事故率の低下です。
- 特徴:コスパ良/踏み替えが減る/導入しやすい
- 向く環境:予算重視、まずスイッチャーを体験したい人
- おすすめの使い方
- よく使う歪みセットだけまとめる
- ループ数を使い切らず、必要最低限から始める
- 初期セッティング:2〜4ループだけ運用(残りは空ける)
- 落とし穴:配線が増えるほどノイズ要因も増えます。電源とケーブルを整理してから組むと安定します。
最後に:結局どれを選べばいい?
ユーティリティ系は「これが正解!」というより、あなたの “目的が合うか” に合うかが勝ち筋です。なので最後に、この記事を“買う前の最終チェック表”にして締めます。
1台目の選び方(失敗しにくい順)
まず“基準点”を作って、現場の事故を減らしたい(チューナー) → TU-3 / Polytune 3
チューナーは「音が変わらない」ではなく、全体運用の基準です。1台目の満足度が高い枠。。
音量操作で表現したい/曲間を無音にしたい(ボリューム) → VP Jr / FV-500H
歪み前なら表情、歪み後なら全体音量。置き場所=役割で決まります。
練習効率を上げたい/作曲を進めたい(ルーパー) → RC-5 / Ditto / Loop Core Stereo
ループは生音より少し小さめが鉄則。短いループで成功体験を作ると続きます。
踏み替え事故をゼロにしたい(スイッチャー) → Iguana Tail Loop MKIII / ES-5 / PXL-8
最初は「クリーン/リズム/リード」の3パターンだけで十分。増やすのは慣れてから。
以上、あなたに合った最高のペダルが見つかることを願っております。