One Control Iguana Tail Loop MKIII は、5ループのトゥルーバイパス・ループスイッチャーに、Tuner Out(チューナーアウト/ミュート運用可)とBJF Buffer(ON/OFF可)を統合した超薄型モデルです。ボード上段のペダル操作を手前に集約し、踏み間違い・戻し忘れを減らしつつ、信号劣化の原因も切り分けしやすいのが魅力。さらにDCアウトで最大6台のペダル+チューナーへ給電でき、電源と配線のごちゃつきまで一気に整理できます。「音作り」より先に「運用の勝率」を上げたい人に効く1台です。
[One Control] Iguana Tail Loop MKIII|ペダマニレビュー
どんなペダル?
Iguana Tail Loop MKIII は、いわゆる“プログラマブル(プリセット一発切替)”ではなく、手動で確実にON/OFFしていくタイプのスイッチャーです。5つのループにペダルをまとめておけば、ライブ中の操作は「ペダル個別を踏む」から「ループを踏む」に単純化され、事故率が下がります。特に、歪みの切替や「ソロでブースト+ディレイを同時ON」みたいな場面で効きます。
ループはすべてトゥルーバイパスなので、オフのペダルは信号経路から外せます。バイパス時に音が変わりやすいヴィンテージ系や、チェインに入れっぱなしにしたくない癖の強いペダルを“必要なときだけ登場させる”運用が組みやすいのがポイントです。
さらに入力段にはBJF Bufferを内蔵し、スイッチでON/OFFが可能。加えてTuner Outを独立装備し、チューナーをシステムから切り離せます。チューナー未接続時はTUNERスイッチをミュートとして使えるので、曲間・ギター持ち替え・トラブル時の保険にもなります。
サウンドの特徴(BJFバッファ+ループ隔離で、音のブレ要因を減らす)
MKIII自体が音を派手に変える機材ではありません。価値が出るのは「音が変わってしまう原因」を減らし、再現性を上げるところです。ボードが大きくなるほど、ケーブル総延長やペダルのバッファ品質、バイパス回路の癖などが重なって「なんとなく輪郭が丸い」「反応が遅い」「日によって感じが違う」が起きやすくなります。ループスイッチャーは、ここに手を入れるための道具です。
まず、トゥルーバイパスのループで“使わないペダルを経路から外せる”のが強い。特にヴィンテージ系など、オフでも音に影響するペダルをループに入れると、必要な場面だけそのキャラクターを呼び出せます。ボード全体の基準音(全ループOFF)を固定しやすいので、スタジオや会場が変わっても調整の出発点がブレにくいです。
次にBJF Buffer。バッファは好みや相性が出る要素ですが、MKIIIはON/OFFできるのが実務的です。長いケーブルや多段ボードでハイ落ちや反応の鈍さが気になるならON、ファズフェイス系など入力段がシビアなペダルを先頭に置きたいならOFF、という逃げ道が作れます。結果として「このボード、今日は妙に抜けない」を潰しやすく、現場のストレスが減ります。
使い勝手・セッティングのイメージ
基本(まずは“役割分担”で迷子を防ぐ)
- LOOP 1:常用枠(軽い歪み/ブースト)
- LOOP 2:メイン歪み(曲の核)
- LOOP 3:モジュレーション(コーラス等)
- LOOP 4:ディレイ(必要曲だけ)
- LOOP 5:リバーブ/飛び道具(オクターブ等)
まずは「踏む頻度」と「役割」で分けると、足元の判断が速くなります。
ライブ向け(“同時踏み”を1発にする)
- LOOP 2:リード用(メイン歪み+ブーストを同一ループ)
- LOOP 4:ソロ用(ディレイを同一ループ、もしくはLOOP 2と併用)
同時に入れることが多い組み合わせは、同一ループにまとめるのが勝ち筋です。踏み替えが減る=ミスが減る=演奏に集中できます。
ボードが長い/音が不安定(バッファの使い分け)
- BJF BUFFER:ON(基本)
- ファズ系を先頭に置きたい場合:BJF BUFFER:OFF(相性優先)
「いつもより抜けない」「反応が鈍い」を感じたら、まずバッファON/OFFを切り替えて挙動を確認するのが最短です。
曲間の無音化(チューナーアウト/ミュート運用)
- TUNEROUT/MUTE:曲間・持ち替え・トラブル時にミュート
“音を出したくない瞬間”は必ず来るので、ミュートを足元導線に組み込めるのは現場で効きます。
ペダマニ的「ここが魅力」
- 踏み替えが減るだけで、ライブの成功率が上がる
ペダル個別のON/OFFをやめて、必要な塊をループで呼び出すだけにすると、踏み間違い・戻し忘れ・同時踏みの事故が減ります。結果として演奏に集中でき、音作り以上に“成果”が安定します。 - トゥルーバイパスのループで、音の原因切り分けが速い
全ループOFFの基準音を作り、必要なループだけ足していけるので、ボード全体の音が崩れたときに「何が犯人か」を特定しやすいです。地味ですが、現場で一番助かる性能です。 - BJFバッファON/OFFが“ボードの相性問題”を救う
長尺ケーブルや多段ボードで起きやすい反応の鈍さを補正しつつ、相性がシビアなペダルがある場合はOFFで回避できます。自由度が上がる=ボードの完成度が上がります。
注意しておきたいポイント
- プリセット一発切替はできない(手動運用のスイッチャー)
MKIIIは“まとめて踏みやすくする”設計で、プログラマブルのように複数ループを記憶して一発切替するタイプではありません。セットリストの切替を完全自動化したい人は別カテゴリが向きます。 - ループ数は5なので、まとめ方の設計が前提
多段ボードだと「1ループ=役割の塊」でまとめる方が運用が安定します。便利だからと詰め込みすぎると、逆に曲ごとの微調整がしにくくなるので、役割分担を先に決めるのがおすすめです。 - DCアウト給電は“消費電流”を必ず合算する
電源をまとめられるのは強みですが、デジタル系や消費電流が大きい機材を混ぜると不足やノイズの原因になります。アナログ中心でまとめ、重いデジタルは別電源に逃がすとトラブルが減ります。
機種の仕様
| メーカー | One Control |
| 製品名 | Iguana Tail Loop MKIII – 5 loop with T.O. and BJF Buffer – |
| エフェクトタイプ | ループスイッチャー(5ループ)/チューナーアウト(ミュート運用可)/バッファ(BJF Buffer)/DC分岐 |
| コントロール | BJF BUFFER:入力バッファのON/OFF TUNEROUT/MUTE:チューナーアウト/ミュート(チューナー未接続時はミュートとして使用可) LOOP 1〜5:各ループのON/OFF |
| 接続端子 | IN:入力 OUT:出力 SEND 1〜5:各ループのセンド RETURN 1〜5:各ループのリターン TUNER OUT:チューナーアウト DC IN:9V DC(センターマイナス) DC OUT:9V DC(電源端子から分岐) |
| 電源 | AC アダプター(センターマイナス) |
| 消費電流 | おおよそ 15 mA(DC 9V 時) |
| 入出力レベル/インピーダンス | 入力インピーダンス:500 kΩ(Buffer ON) 出力インピーダンス:60 Ω(Buffer ON) |
| 外形寸法・重量(目安) | 幅:376 mm 前後 奥行:41 mm 前後 高さ:46 mm 前後 質量:約 450 g 前後 |