シンプル一発のクリーンブースター定番
MXR M133 Micro Amp は、1ノブ構成でシンプルに音量だけを持ち上げるクリーンブースターの定番ペダルです。クリーン〜クランチのソロブースト、ギターの出力補正、バイパスロスの補填など、ボード全体の“ベースゲイン”をコントロールするユーティリティとして、ジャンルを問わず長く愛用されています。
[MXR] M133 Micro Amp|ペダマニレビュー
どんなペダル?
Micro Amp は、その名の通り 「小さなアンプ」的にゲインを一段押し上げる」 ためのブースターです。
コントロールは GAIN ノブひとつだけ。このツマミを回すことで、原音を保ったまま全体のレベル(と僅かなゲイン感)を上げていきます。
使い方の代表パターンは大きく3つです。
- クリーン/クランチのソロ時に一段前へ出すブースター
- 出力の低いシングルコイル/ヴィンテージPUを、他ギターと音量感を揃えるための補正
- FXループやボード終端での「全体マスターボリュームアップ」
ペダル自体に強いキャラクターは持たせず、「アンプや他ペダルの美味しいところをもう一段押し出す」ためのツール、という位置付けです。
サウンドの特徴(素直に押し出すクリーン寄りブースト)
Micro Amp のサウンドは、「原音寄り+ほんの少しだけ太さ/コンプ感」 という印象です。
- EQ カーブ
完全フラットというより、ごくわずかに中域が残るバランス感。ローやハイが極端に変化することはなく、アンプ側のキャラクターをほぼそのまま押し出す方向です。 - ゲイン感
GAIN を 12時程度まで上げると、アンプや後段ペダルの入力段をしっかりプッシュし始めます。クリーンアンプなら「少しだけ押し付けの強いクリーン」、歪んだアンプなら「歪み量とサチュレーションが増える」方向に働きます。 - レベルアップ量
かなりのブースト幅を持っているので、「あと少し」というレベルアップはもちろん、「ここだけガッツリ前に出したい」というシーンにも十分対応できます。
色付けが少ない分、クリーンのまま音量だけ上げたい人、もともとのアンプのトーンが気に入っていて、そのまま“拡大”したい人に向いたキャラクターです。
使い勝手・セッティングのイメージ
GAIN ひとつしかないので、用途ごとに「どこに置くか」と「どれくらい上げるか」がポイントになります。
クリーン/クランチのソロブースト(前段)
- 配置:ギター → Micro Amp → オーバードライブ/ディストーション → アンプ
- GAIN:11〜13時
クランチ程度の歪みを基準にしている場合、ソロ時だけ Micro Amp をオンにして一段前へ。TS系やODでミッドを変えたくないときに、「音色はそのまま、音量とサチュレーションだけ上げる」用途で機能します。
ハイゲインアンプのブースト(前段)
- 配置:ギター → Micro Amp → ハイゲインアンプ
- GAIN:9〜11時
ハイゲインチャンネルの前に置き、軽くプッシュして歪みの密度とサステインを増やす使い方です。TS系ほどローを削らないので、「音色はアンプ主体、ブーストは控えめに」という運用に向いています。
マスターレベルアップ(後段/ループ内)
- 配置:エフェクトチェーンの最後、またはアンプの FX ループ内
- GAIN:10〜14時(シーンに応じて調整)
歪みまで含めた「出来上がった音」をまとめて持ち上げるセッティングです。クリーンも歪みもまとめてボリュームアップしたいときや、ソロだけ全体音量を上げたい場合に分かりやすく効きます。
ベース用としては、軽めのブースト+ピッキングニュアンスの強調にも使えますが、必要以上に GAIN を上げるとローがアンプ側で歪みやすくなるので、9〜11時あたりの控えめ設定が現実的です。
ペダマニ的「ここが魅力!」
- 1ノブで「とりあえずいい感じに持ち上がる」実戦性
パラメータをぐだぐだ考えず、「ちょっと欲しいだけ上げる」感覚で使えるのが最大の魅力。現場での音量調整が圧倒的に楽になります。 - アンプや他ペダルのキャラクターを崩しにくい
TS系ブースターのようにミッドを大きくいじらないので、「アンプの音が気に入っている/他ペダルで作った音をそのまま押し出したい」というケースに非常に相性が良いです。 - ボード全体の“ベースゲイン調整ツマミ”として機能
ボード終端に置いておけば、「今日はバンド全体がうるさい」「会場がデッドで抜けにくい」といった状況で、全体の出力を一括で微調整できます。 - ギター/ベースを持ち替える現場でも便利
出力差の大きい楽器を持ち替えるとき、Micro Amp 側で簡易的にレベルを合わせる用途にも使えます。リハ中にシビアなアンプ再セッティングをしなくて済むのは大きなメリットです。
注意しておきたいポイント
- EQ が無いので、音色を整える用途には向かない
あくまで「レベルアップ」が主目的。ローを削りたい、ハイを丸めたい、といったニーズがある場合は、EQ や TS 系ブースターとの組み合わせが前提になります。 - GAIN を上げすぎるとアンプ側で歪みすぎることも
クリーンのまま音量だけ上げたいつもりでも、アンプのヘッドルームを超えると結局歪みが増えます。クリーン維持したい場合は、アンプのマスターボリュームやヘッドルームも含めてバランスを見る必要があります。 - バッファ/ブーストによる“わずかなキャラクター変化”はある
完全に何も変えないわけではなく、若干のコンプ感や中域の感じ方に変化があります。超シビアな「完全原音主義」の人には、好みが分かれる可能性があります。 - 電源設計は一般的だが、安定した9V供給が前提
ブースター系は電源品質の影響を受けやすいので、安価な不安定アダプターより、信頼できるパワーサプライと組み合わせた方がノイズ面でも安心です。
機種の仕様
| メーカー | MXR |
| 製品名 | M133 Micro Amp |
| エフェクトタイプ | クリーンブースター |
| 搭載モード | 単一モード 最大 +26dB 程度までのブースト |
| コントロール | GAIN:ブースト量(出力レベル) |
| 接続端子 | INPUT:標準フォーン(ギター/ライン入力) OUTPUT:標準フォーン(アンプ/次段エフェクターへ) DC IN:9V DC アダプター用ジャック(センターマイナス、2.1mm) |
| 電源 | 9V 角型電池 AC アダプター(センターマイナス) |
| 消費電流 | おおよそ 2.5 mA(DC 9V 時) |
| 入出力レベル/インピーダンス | 入力インピーダンス:1 MΩ 出力インピーダンス:470 Ω |
| 外形寸法・重量(目安) | 幅:61 mm 前後 奥行:110 mm 前後 高さ:53 mm 前後 質量:約 460 g 前後(電池含む) |