MXR M116 Fullbore Metal は、超ハイゲイン領域を想定して設計されたメタル専用ディストーションです。3バンドEQ+スイープ可能なミッド、Scoopスイッチ、ノイズゲートまでを1台にまとめており、7弦やドロップチューニングのモダンメタルからハードコアまで、高速リフ向けのタイトでアグレッシブな歪みを作り込めるペダルです。
[MXR] M116 Fullbore Metal|ペダマニレビュー
どんなペダル?
Fullbore Metal は、「アンプがクリーンでもとにかくハイゲインなメタルサウンドを作りたい」というニーズに真正面から応える MXR のフラッグシップ級メタルディストーションです。小さな筐体に、GAIN・VOLUMEの基本系に加えて、LOW / MID / HIGH の3バンドEQ、MIDの中心周波数を動かせる FREQ ノブ、Scoop スイッチ、そしてフットスイッチ連動のノイズゲートまで詰め込んでいます。
キャラクターとしては、クラシックなマーシャル系ディストーションというより、モダンでタイトなハイゲインアンプをペダルサイズに凝縮したイメージです。7弦ギターやドロップC〜Bといった低いチューニングでも輪郭を保ちやすく、パームミュートの刻みを「カチッ」と前に出したいプレイヤー向けの設計になっています。
サウンドの特徴(タイトで攻撃的なモダン超ハイゲイン)
Fullbore Metal のサウンドは、一言でいうと「ローが締まったタイトなメタルディストーション」です。GAIN を12時前後にしても既にかなり歪んでおり、13〜14時以上に上げると、モダンメタル〜デスコア級のハイゲイン領域に入っていきます。
ローエンドは基本的にタイト目の設計で、パームミュート時のローが「ドン」と膨らむというより、「ダダダ」と粒立ちよく刻める方向です。LOW ノブを上げれば重心は下がりますが、それでもローがルーズになりにくく、速いリフを弾いたときに音程が見えやすいのが強みです。
中域は EQ と FREQ の組み合わせでかなり表情が変わります。MID と FREQ を上げていくと、ミッドフォーカスなリードトーンや、90年代ハイゲインアンプ的な「ゴリッ」とした中域を作りやすくなります。一方、Scoop スイッチをオンにすると、いわゆるV字カーブ寄りのドンシャリ方向にシフトし、モダンメタル/メタルコア系の刻みリフに合う「ギターは低域と高域で存在感を出す」方向のサウンドになります。
高域は、GAIN と HIGH のバランスによってはかなりアグレッシブになります。HIGH を上げすぎると耳に痛い帯域が強調されるため、アンプやキャビシミュとの組み合わせを見ながら、必要以上に持ち上げないのがポイントです。うまく決めると、ザクザクしたプレゼンスを保ちつつ、リフのアタックが抜けてくる気持ちいいゾーンに入ります。
内蔵ノイズゲートは、超ハイゲイン設定でも不用意なハウリングやノイズを抑え、手を離した瞬間に「スッ」と音を切ることができます。ブレイクダウンやストップ&ゴーの多いモダンメタルでは、リズムのキレに直結する要素です。
使い勝手・セッティングのイメージ
実務的には、「ローの量」「ミッドの位置」「ゲートの効き具合」を先に決めてから、GAIN と HIGH でキャラクターを追い込むと作りやすいです。
モダンメタル・リズム用セッティングのイメージ
ギターはハムバッカー、アンプは基本クリーン〜クランチにしておき、Fullbore Metal 側でメインの歪みを作ります。GAIN は12〜13時程度、LOW を12〜13時、MID は10〜11時、FREQ は中域やや高め側、HIGH は11〜12時あたりから調整すると、刻みが見えやすいモダンメタル系のサウンドが作りやすくなります。Scoop はオフから試し、もう少しモダン寄りにしたい場合にオンを試す流れが扱いやすいです。
リードトーン・ソロ用セッティングのイメージ
リードを弾くときは、MID と FREQ を少し持ち上げて中域のフォーカスを増やします。例えば MID を12〜13時、FREQ を少し高めに設定し、LOW はやや抑えめ、HIGH をほんの少しだけ上げる程度にすると、ザクザクしつつもミッドに芯のあるリードトーンが得られます。GAIN は12〜14時の間で、ピッキングニュアンスとサステインのバランスをみながら調整します。
ノイズゲート設定のコツ
Fullbore Metal 内蔵のノイズゲートは、強くかけすぎるとサステインやスラーの途中をもぎ取ってしまうことがあります。超ハイゲインでブレイクの多い曲をやる場合でも、「ストップした瞬間に綺麗に切れる」程度にとどめ、ピッキングの余韻まで全部殺してしまわないようにセッティングするのがポイントです。もしそれでも足りなければ、前後段で別途ゲートを加えることも検討余地があります。
ペダマニ的「ここが魅力!」
- ペダル1台で“完結型”のモダンメタル歪みを作れる
Fullbore Metal は、ハイゲイン/3バンドEQ/スイープミッド/ノイズゲートまでを1台に収めているため、クリーンアンプと組み合わせるだけで、メインのメタルディストーションとして完結した歪みシステムを構築できます。アンプ依存度を下げつつ、どの現場に行っても自分のメタルサウンドを持ち込めるのは、バンドマンにとって大きな武器になります。 - 低チューニングや7弦に対応したタイトな設計
ローがルーズになりにくい設計と、ゲート/EQの組み合わせにより、7弦やドロップC〜Bといった低いチューニングでも輪郭を保ちやすいのが大きな強みです。特にパームミュート多めの楽曲では、刻みの粒立ちとリズムの見えやすさがバンド全体のタイトさに直結します。 - ノイズゲート内蔵でボードをコンパクトにできる
超ハイゲイン運用に必須になりがちなノイズゲートを内蔵しているため、「歪み+ゲート」を1ペダル枠で確保できます。ミニマムなボード構成を組みたいメタルギタリストにとって、限られたスペースの中で必要要素を詰め込めるのは実務的なメリットです。
注意しておきたいポイント
- セッティング次第では“ドンシャリで薄い”と感じることがある
Scoop を入れすぎたり、MID と FREQ を下げすぎると、中域が足りない“ドンシャリで存在感の薄い音”になりがちです。単体で弾くと気持ちよくても、バンドミックスの中ではギターの居場所がなくなるパターンなので、実際のアンサンブルを想定してミッドの量と位置を調整する必要があります。 - 高域を上げすぎると耳に痛い質感になりやすい
HIGH と GAIN を両方高くすると、ハイエンドのザラザラした成分が強くなり、耳に刺さる質感になりやすいです。特にトレブリーなアンプやシングルコイルと合わせる場合は、HIGH は控えめにし、必要があればアンプ側のプレゼンスやトレブルで微調整する方が現実的です。 - ノイズゲートの効きすぎに注意が必要
内蔵ゲートを強めに設定すると、ブレイク時の切れ味は良くなりますが、サステイン中のニュアンスや、レガート・スラーのつながりが途中で切れてしまうことがあります。ハイゲインの抜けと弾き心地の両方を確保するためには、ゲートは「必要最低限」のラインを探る意識が重要です。 - クリーン〜ローゲイン用途には不向き
Fullbore Metal は設計思想からして超ハイゲイン寄りなので、クランチや軽い歪みを作る用途には向きません。ギター側のボリュームを絞っても、基本は「メタル用ハイゲイン」と割り切った方がよく、クリーン〜ローゲインはアンプや他のペダルに任せる前提でボードを組む必要があります。
機種の仕様
| メーカー | MXR |
| 製品名 | M116 Fullbore Metal |
| エフェクトタイプ | ハイゲイン・ディストーション(ソリッドステート) |
| コントロール | VOLUME:出力レベル調整 GAIN:歪み量調整 LOW:低域EQ MID:中域EQ(ブースト/カット) HIGH:高域EQ FREQ:MIDの中心周波数調整 GATE(スイッチまたはミニノブ):ノイズゲートのオン/スレッショルド調整 SCOOP スイッチ:中域を削ってドンシャリ方向にするプリセットEQ |
| 接続端子 | INPUT:標準フォーン(ギター/ライン入力) OUTPUT:標準フォーン(アンプ/次段エフェクターへ) DC IN:9V DC アダプター用ジャック(センターマイナス) |
| 電源 | 9V 角型電池 AC アダプター(センターマイナス) |
| 消費電流 | おおよそ 18 mA(DC 9V 時) |
| 入出力レベル/インピーダンス | 入力インピーダンス:1 MΩ 出力インピーダンス:10 kΩ |
| 外形寸法・重量(目安) | 幅:61 mm 前後 奥行:110 mm 前後 高さ:53 mm 前後 質量:約 380 g 前後(電池含む) |