Mad Professor Sweet Honey Overdrive は、ローゲイン帯での“アンプライクな押し出し”を、ピッキングとギター側ボリュームでコントロールしやすいオーバードライブです。DRIVE と VOLUME という王道の軸に加え、要となるのが FOCUS。歪みやすさと全体のEQ傾向をまとめて動かせるため、同じゲイン量でも「クリーン寄りでメロウ」「明るく抜けるクランチ」まで狙いを素早く切り替えられます。歪みを“足す”というより、原音のニュアンスを保ったまま“弾き心地と前に出る帯域”を整えるタイプなので、常時ONで土台を作る用途、クリーン〜クランチの基準音作り、歪みアンプの前段での質感調整まで、ボードの中核として働く1台です。
[Mad Professor] Sweet Honey Overdrive|ペダマニレビュー
どんなペダル?
Sweet Honey Overdrive は「強く弾けば歪み、弱く弾けばクリーン寄りに戻る」タッチセンシティブなローゲインODです。いわゆる“歪ませてキャラを作る”というより、アンプのクリーン〜クランチを“気持ちよくドライブさせる”方向が得意で、コードのまとまりと単音の粘りを、弾き方で自然に行き来できます。ピッキングの強弱やPU出力の違いがそのまま歪み量に反映されやすいので、手元の表現を残したい人ほどハマりやすい設計です。
操作は 3ノブで、初見でも迷いにくい構成です。VOLUME と DRIVE は直感通りですが、このペダルの“勝ち筋”は FOCUS の扱いにあります。FOCUS は歪みやすさ(反応の速さ)と全体のEQ傾向をまとめて調整するため、つまみ1つで「メロウで大人しい」「明るく抜ける」「歪みが立ち上がる」の方向性を決められます。まず 11時あたりを基準にして、出力先(アンプ/PA/モニター)とギターに合わせて寄せると、短時間で“使える土台”が作りやすいです。
バイパスはトゥルーバイパス仕様なので、オフ時の原音を素直に残したいボードにも組み込みやすいタイプです。ローゲインODは「結局いつもON」の運用になりがちですが、そういう使い方でも音作りが破綻しにくいのが Sweet Honey の強みです。
サウンドの特徴(タッチで表情が変わるアンプライク・クランチ)
Sweet Honey の核は、音が潰れすぎないのに“前に出る”ところです。歪みの粒は細かすぎず荒すぎず、ピッキングの芯を残したまま、軽いコンプレッションと艶を足す方向にまとまります。クリーンに薄くかけると、コードの輪郭が整って“まとまりが良くなる”印象が出やすく、クランチ寄りにすると、単音が自然に伸びてフレーズが前へ出ます。ローゲイン帯で音が痩せにくいので、バンド内で埋もれがちなクリーントーンの底上げにも向いています。
FOCUS を左に寄せると、歪みの立ち上がりが遅くなり、よりメロウで落ち着いたトーンになりやすいです。ジャズ寄りのクリーンやブルースの“甘いクランチ”を作りたいときに有効で、弾き方のニュアンスも残りやすい。一方、FOCUS を右に寄せると高域がわずかに持ち上がり、歪みも早めに立ち上がる方向へ行きます。これにより、同じDRIVE量でも抜けが作りやすく、クラシックロック的な気持ち良いクランチや、ペダルボード全体の“輪郭の基準”を作る用途で強いです。
このペダルは「歪みを増やして勝つ」より「質感を整えて勝つ」タイプです。派手なゲインを求めると別機材が必要になりますが、逆に言えば、ローゲインの気持ち良いポイントを外しにくい。常時ONで“普段の音を一段上げる”使い方が最も得意で、ギターやアンプが変わっても FOCUS を中心に短時間でリカバリーできるのが実戦的です。
使い勝手・セッティングのイメージ
常時ONの土台
- DRIVE:9〜11時
- FOCUS:10〜12時(まずは11時基準)
- VOLUME:原音と同じ〜少し上
クリーンに“艶とまとまり”を足す基本形です。歪み感が足りないときはDRIVEを上げる前に、FOCUSを少し右へ寄せると、抜けと立ち上がりが整いやすいです。
ブルース〜ロックのクランチ
- DRIVE:11〜13時
- FOCUS:11〜13時
- VOLUME:バンド内で埋もれない程度
タッチでクリーン寄りにも戻せる“生っぽいクランチ”を作る設定です。FOCUSを上げすぎると明るくなりすぎることがあるので、まずは12時付近で“抜けと耳当たり”のバランスを取ると失敗しにくいです。
明るめで抜けるクランチ
- DRIVE:10〜12時
- FOCUS:13〜15時
- VOLUME:原音より少し上
FOCUSを右寄りにして、アタックと輪郭を前に出す方向です。バンドの中でギターが奥に下がる場合は、この方向が効きやすいです。
歪みアンプの前段で“整音ブースト”
- DRIVE:9〜10時
- FOCUS:11〜13時
- VOLUME:13〜15時
歪みを増やすというより、ピッキングの芯と抜けを作る運用です。歪みアンプ側が明るい場合はFOCUSを控えめにして、耳に痛い帯域が出ないように寄せると安定します。
ペダマニ的「ここが魅力!」
- “常時ON”で土台が強くなるローゲイン設計
派手に歪ませるより、普段のクリーン〜クランチを一段上げるのが得意です。コードのまとまり、単音の艶、ピッキングの芯が整いやすく、ボード全体の基準音として置いておくと「今日は音が決まらない」を減らせます。 - FOCUSで、フィールとEQの方向性を短時間で決められる
ローゲインODは環境差で評価が割れやすいですが、FOCUSが“方向性のつまみ”として機能します。メロウ寄りにも、抜けるクランチにも寄せやすく、リハでの修正が速いのが実務的です。 - タッチニュアンスがそのまま音色に出る
強く弾けば歪み、弱く弾けばクリーン寄りに戻る挙動が気持ちいいタイプです。ギター側ボリュームとも相性が良く、手元で曲のダイナミクスを作る人ほど“演奏がラクになる”ペダルです。
注意しておきたいポイント
- “歪み量で勝つ”タイプではない
あくまでローゲインの質感調整が主戦場です。ハイゲイン領域まで1台で完結させたい人には物足りない可能性があります。逆に、クリーン〜クランチの完成度を上げたい用途なら強いです。 - FOCUSの影響が大きいので、まず基準点を作る
FOCUSは歪みやすさと全体の傾向をまとめて動かすため、いきなり大きく回すと方向性が変わって迷子になりがちです。まずFOCUSを11時付近に置き、DRIVEとVOLUMEで基準を作ってから、最後にFOCUSで“抜け・明るさ・立ち上がり”を微調整すると安定します。 - 出力先が明るいと、抜けを作りすぎて硬く感じることがある
FOCUSを右に寄せたときの明るさは武器ですが、アンプやスピーカーが明るい環境だと硬さが目立つ場合があります。その場合はFOCUSを少し戻し、代わりにVOLUMEで前に出す量を稼ぐと、耳当たりを崩さずに存在感を作りやすいです。
機種の仕様
| メーカー | Mad Professor |
| 製品名 | Sweet Honey Overdrive |
| エフェクトタイプ | オーバードライブ |
| バイパス方式 | トゥルーバイパス |
| コントロール | VOLUME:出力レベル DRIVE:歪み量 FOCUS:歪みやすさ(フィール)と全体EQ傾向の調整 |
| 接続端子 | INPUT:標準フォーン(ギター入力) OUTPUT:標準フォーン(アンプ/次段エフェクターへ) DC IN:9V DC アダプター用ジャック(センターマイナス) |
| 電源 | 9V 角型電池 9V DC アダプター(センターマイナス) |
| 消費電流 | おおよそ 5 mA(DC 9V 時) |
| 入出力レベル/インピーダンス | 入力インピーダンス:260 kΩ 出力インピーダンス:25 kΩ |
| 外形寸法・重量(目安) | 幅:59 mm 前後 奥行:111 mm 前後 高さ:50 mm 前後 質量:約 260 g 前後 |