Decimator IIは、ハイゲイン環境で増えるヒス/ノイズを、演奏のニュアンスを潰さずに抑え込むことに特化したノイズリダクション・ペダルです。操作はTHRESHOLDひとつで、追い込みも速い。さらにLINK IN/OUTにより、2台運用で「片方がギター入力をトラッキングして、もう片方(ループ側など)も自然に追従」させる構成も組めます。ノイズゲートを“音作り”ではなく“現場の安定化”として導入したい人に向く、実務的な1台です。
[ISP] Decimator II|ペダマニレビュー
どんなペダル?
Decimator IIは、いわゆる「ガツンと門を閉めるゲート」よりも、演奏していない瞬間のノイズフロアをスッと下げて“静けさを作る”タイプです。特に歪みを深くした時、シングルコイルや長いケーブル、ボードの電源事情などでノイズが増えても、演奏中のトーンを大きく変えずに収めやすいのが持ち味。
使い方はとてもシンプルで、基本はギター(もしくは歪みの後段)→ Decimator II → アンプ/次段、の直列。THRESHOLDを上げていき、弾いていない時のノイズが気にならなくなるポイントで止めます。上げすぎると、音の減衰が不自然になったり、クリーンで余韻が短く感じたりするので、「ノイズを消す」ではなく「必要なぶんだけ下げる」を狙うのがコツです。
もう一つの特徴がLINK IN/OUT。2台をリンクすると、2台目の検出(トラッキング)を“ギター入力側”に同期でき、ループ側や後段のゲートも自然に開閉しやすくなります。アンプのFXループにゲートを入れたい人、ステレオ運用を組みたい人にとって、ここが導入価値になります。
サウンドの特徴(音を殺さず、ノイズだけが後ろに下がる)
Decimator IIの強みは、ゲートを入れた時にありがちな「アタックが丸くなる」「弾き心地が硬くなる」「歪みの密度が変わる」方向が出にくいことです。設定が適正なら、演奏中はほぼ気配を消し、止めた瞬間の“シー…”を自然に引っ込める。ハイゲインで特に効くのは、音を伸ばした後やミュートの合間の静けさで、アンサンブルの輪郭が締まります。
THRESHOLDを高くしすぎると、クリーンや弱いピッキングで「ゲートが早く閉じる」挙動が目立ちます。逆に言えば、ハイゲインでノイズが多い時ほど相性が良い。クリーン〜クランチ中心なら、ゲート感を出さない程度に薄くかける運用が正解です。
また、ディレイ/リバーブなど“残響が伸びる系”は、ゲートの後段に置くとテイルが不自然に切れにくくなります。ノイズは先に抑えて、余韻は最後まで残す。ここを守るだけで、ゲートの印象はかなり良くなります。
使い勝手・セッティングのイメージ
Decimator IIは「置き場所」と「THRESHOLDの止め方」がすべてです。ノブ沼がない分、現場の再現性は高いです。
基本:歪み(ブースター含む)の後ろに置く
ギター → 歪み(OD/Dist/Preamp)→ Decimator II → アンプ入力
この並びが最も分かりやすく、ノイズも落ちやすいです。まずはこの構成で、THRESHOLDをゼロから上げていき、ミュート時のノイズが気にならなくなるところで止めます。
アンプのFXループで使う
アンプ Send → Decimator II IN → Decimator II OUT → アンプ Return
プリアンプ由来のノイズ(ハイゲインアンプの“サー”)を抑えたい時に有効です。ループに入れる場合、前段の歪み量やマスターボリュームでノイズ量が変わるので、現場での再調整が発生しやすい点は押さえておくと安心です。
ディレイ/リバーブはゲートの後段へ
ノイズ対策はゲートで、余韻は空間系で。テイルを切らないための定番セオリーです。
2台リンク運用(上級だけど実務的
1台目をギター入力側に置いて“演奏の開閉”を検出し、2台目をループ側や後段に置いてノイズを処理。LINK OUT → LINK INで同期させると、2台目もギターの動きに追従しやすくなります。構成が決まれば、ゲートの違和感を最小化したままノイズだけ落とせるのがメリットです。
ペダマニ的「ここが魅力!」
- ノブ1つで“現場に必要な静けさ”へ最短で着地する
ノイズゲートは調整項目が多いほど迷います。Decimator IIはTHRESHOLDだけで完結するので、リハや箱で「とりあえず成立する状態」を作るのが速い。音作りより運用に強いタイプです。 - ハイゲインでも“音が変わった感”が出にくい
適正設定なら、演奏中は違和感が少なく、止めた瞬間だけ静かになる。ハイゲインのノイズ対策で一番欲しい挙動に寄せやすいのが魅力です。 - LINKで2台運用の道がある
アンプのループ側まで含めてノイズを抑えたい、ステレオ運用を組みたい、といった“次の課題”が出た時に、リンクで拡張できるのは強いです。買い替えではなく増設で対応できます。
注意しておきたいポイント
- THRESHOLDを上げすぎると、減衰が不自然になりやすい
ノイズを消し切ろうとすると、クリーンや弱い入力で音の余韻が痩せます。「ノイズが気にならない最低限」で止める方が、結果として音楽的です。 - 空間系のテイルを守るなら“ゲートの後段”に配置する
ディレイやリバーブをゲートの前に置くと、テイルが切れて不自然になりがちです。ノイズを先に抑え、余韻は最後に流す。ここを守るだけで印象が大きく改善します。 - ループ運用は“ノイズ量が変わる要因”が多い
アンプ側のゲインやマスター、ペダルのブースト量でノイズフロアが動きます。現場での再調整が起きる前提で、THRESHOLDの基準位置を把握しておくとトラブルに強いです。
機種の仕様
| メーカー | ISP Technologies |
| 製品名 | Decimator II |
| エフェクトタイプ | ノイズリダクション |
| バイパス方式 | バッファードバイパス |
| コントロール | THRESHOLD:ゲートが動作する基準レベル(上げるほどノイズは減るが、上げすぎると音の減衰が早くなる) |
| 接続端子 | INPUT:標準フォーン(ギター/ライン入力) OUTPUT:標準フォーン(アンプ/次段エフェクターへ) LINK IN:ミニ端子(リンク入力。別機の検出信号を受けて追従させる) LINK OUT:ミニ端子(リンク出力。別機に検出信号を送る) DC IN:9V DC アダプター用ジャック(センターマイナス) |
| 電源 | 9V 角型電池 AC アダプター(センターマイナス) |
| 消費電流 | おおよそ 35 mA(DC 9V 時) |
| 入出力レベル/インピーダンス | 入力インピーダンス:500 kΩ |
| 外形寸法・重量(目安) | 幅:76 mm 前後 奥行:152 mm 前後 高さ:64 mm 前後 質量:約 820 g 前後(電池含む) |