Ernie Ball VP Jr は、ペダルボードに収まるサイズ感で「演奏のニュアンスを音量で作る」ための定番ボリュームペダルです。踏み込み量に応じて音量を連続的にコントロールでき、バッキングの帯同、ソロの前進、曲間の無音化、そして“バイオリン奏法”のようなボリュームスウェルまで1台で担当できます。ポイントは、VP Jr には用途別に 250K(パッシブ向け)と 25K(アクティブ向け)があること。自分のシステムに合う抵抗値を選べば、シンプルな機材なのに現場の安定感が一段上がります。
[Ernie Ball] VP Jr|ペダマニレビュー
どんなペダル?
VP Jr は、足元で音量を“つまみ”のように連続操作できるボリュームペダルです。ON/OFFで切り替えるエフェクターとは違い、踏み込み量そのものが表現になります。例えば、バンド内でギターが前に出過ぎる瞬間だけ少し下げる、サビだけ気持ちよく持ち上げる、曲間を完全にミュートする、といった「弾き方では解決しにくい現場の調整」を、演奏を止めずに処理できるのが最大の価値です。
また、VP Jr は“サウンドメイクの中心”というより、“音量管理の基盤”です。歪みの手前に置けば、ギター側のボリュームを絞るのと近い動きになり、歪み量も一緒にコントロールできます。逆に歪みの後ろに置けば、歪み量はそのままに最終音量だけを調整できるので、ソロの前進や曲全体の帯同が作りやすい。置き場所だけで役割が変わるのが、ボリュームペダルの面白さです。
そしてVP Jrにはモデル違いがあります。一般的なパッシブ(普通のギター/ベース)なら 250K、プリアンプ内蔵などアクティブ回路の出力や、バッファ後の低インピーダンス信号なら 25K が基本線。ここを間違えると“踏んだときに高域が痩せる”“レンジが狭く感じる”など、評価がブレやすいので、最初に自分の信号がどちらかを決めておくのが勝ち筋です。
サウンドの特徴(音量カーブで演奏のダイナミクスをデザインできる)
VP Jrの本質は、音色を足すことではなく「音の出方」を作ることです。踏み込み量に応じて音量をなめらかに変化させられるため、ピッキングだけでは作れない“伸び方”や“入り方”が表現できます。典型例がボリュームスウェルで、アタックを消して音の立ち上がりだけを残すと、パッドのような質感になります。ディレイ/リバーブと組み合わせると、音が前に出るというより“空間に溶けていく”方向にまとまり、アンビエントの基礎体力になります。
一方、音質面で覚えておきたいのは、パッシブ・ボリュームペダルは接続位置で印象が変わることです。ギター直後(バッファ前)に置くと、回路的にピックアップの負荷が変わりやすく、踏み込み位置によって高域が少し丸くなるケースがあります。これは欠点というより“性格”で、ヴィンテージ寄りの落ち着きに寄ることもあります。高域の変化を抑えたいなら、バッファやチューナーの後段、もしくはアンプのFXループなど、低インピーダンス信号の位置に置くと安定しやすいです。
さらにVP Jrには内部のテーパー(カーブ)切替があり、スウェルの立ち上がり方を2パターン選べます。ここを変えるだけで「ゆっくりフェードインが作りやすい」「通常の音量調整がしやすい」が入れ替わるので、用途がはっきりしている人ほど効きます。
使い勝手・セッティングのイメージ
バッキングの帯同(常に少しだけ引っ込める)
- 設置位置:歪み後段(最終音量の調整用)
- 踏み込み:80〜90%を基準にキープ
- 狙い:ギターの存在感は残して、歌やスネアの居場所を空ける
“弾き方を変えずに混ざる”のが目的です。踏みっぱなし運用でも疲れにくいのがボリュームペダルの実務的な強みです。
ソロ前進(音量だけ上げて抜けを作る)
- 設置位置:歪み後段(歪み量を変えない)
- 踏み込み:バッキング時70〜80% → ソロ時100%
- 狙い:音色を変えずに前に出す
ブースターだと帯域が変わる場合がありますが、VP Jrは“音量だけ”を上げられるので、バンド内のバランスが崩れにくいです。
歪み量もコントロール(ギターVol的に使う)
- 設置位置:歪み前段
- 踏み込み:低めでクリーン寄り、上げると歪む
- 狙い:曲中に歪みの濃淡を作る
踏み込みで歪みの量感まで変えられるので、1台で表情を作りたい人に向きます。
アンビエント・スウェル(アタックを消して空間だけ出す)
- 設置位置:ディレイ/リバーブの手前(またはFXループ)
- 踏み込み:ヒールで無音 → トウで音を出す
- 内部テーパー:スウェル向き側に設定
- 狙い:弾いた瞬間のアタックを消し、余韻だけを出す
スウェルは“音量の立ち上がりが気持ちいいか”が勝負なので、内部テーパー切替の恩恵が大きいです。
ペダマニ的「ここが魅力」
- 足元でミックスができる
バッキングの帯同やソロの前進を、音色を変えずに処理できます。PAやスタジオの環境が変わっても「音量で整える」という打ち手が残るので、現場対応力が上がります。 - 置き場所で役割が切り替わる
歪み前なら歪み量を含めたダイナミクス管理、歪み後なら最終音量のコントロールに徹します。1台で複数の仕事を持てるので、ボードの“基礎機能”として強いです。 - 内部テーパーでスウェルの気持ちよさを作れる
ボリュームスウェルはカーブ次第で難易度が変わります。VP Jrは内部でテーパーを切り替えられるため、演奏スタイルに合わせて“踏みやすい正解”へ寄せられます。
注意しておきたいポイント
- 250Kと25Kの選択で評価が変わる
パッシブ向けの250Kと、アクティブ/バッファ後向けの25Kは、想定している信号が違います。合わないモデルを選ぶとレンジ感や踏み心地の印象がブレるので、まず自分の出力がパッシブかアクティブかを整理して選ぶのが安全です。 - バッファ前に置くと高域が丸くなることがある
パッシブ回路ゆえ、ギター直後に置くと負荷の変化で高域が落ち着く場合があります。高域の変化を抑えたいなら、バッファやチューナーの後、またはFXループなど低インピーダンス位置で使うと安定します。 - “紐とスプリング”は消耗品として割り切る
VP Jrはケーブル駆動構造のため、長期運用では伸びや劣化が起こり得ます。踏み心地が重い/戻りが不自然などの症状が出たら、交換で復調するケースが多いので、現場機材としては予備パーツ前提で考えると安心です。
機種の仕様
| メーカー | Ernie Ball |
| 製品名 | VP Jr(Volume Pedal Jr.) ※VP Jr 250K(パッシブ向け)/VP Jr 25K(アクティブ向け) |
| エフェクトタイプ | ボリュームペダル |
| バイパス方式 | 常時信号経路内(パッシブ・ボリューム回路) |
| コントロール | フットペダル:踏み込み量で音量を連続制御 TAPER(内部マイクロスイッチ):スウェルカーブを2種類から切替 |
| 接続端子 | INPUT:標準フォーン(入力) OUTPUT:標準フォーン(出力) TUNER OUT:標準フォーン(チューナー用アウト) |
| 電源 | 不要 |
| 消費電流 | 不要 |
| 入出力レベル/インピーダンス | ポット抵抗値:250 kΩ(パッシブ向け)/25 kΩ(アクティブ向け) ※ボリュームペダルは抵抗値と接続位置で負荷感・レンジ感が変化します |
| 外形寸法・重量(目安) | 幅:90 mm 前後 奥行:255 mm 前後 高さ:53 mm 前後 質量:約 1 kg 前後 |