Nano Q-Tron は、エレハモの定番エンベロープフィルター(オートワウ)をペダルボードに収まるNano筐体に凝縮したモデルです。DRIVE(感度)とQ(ピークの鋭さ)で“反応の強さ”と“喋り方”を決め、MODE(LP/BP/HP)で帯域キャラクターを切り替える設計。弾き方の強弱に追従してフィルターが自動で動くため、ファンクのカッティングはもちろん、クリーンのアルペジオやベースのグルーヴにも“動き”を足せます。ワウを踏まずにワウ感を出したい人に、実戦的な選択肢です。
[Electro-Harmonix] Nano Q-Tron|ペダマニレビュー
どんなペダル?
Nano Q-Tron は、弾いた瞬間の音量(=エンベロープ)に反応してフィルターが動き、トーンが自動でスイープする“エンベロープフィルター”です。いわゆるワウの「喋る感じ」を、足ではなく右手のニュアンスで作れるタイプ。ピッキングを強くすれば派手に、弱くすれば控えめに効くので、プレイがそのまま表現になります。
コントロールは4系統に整理されています。
- DRIVE:反応のセンシティビティ(どれだけフィルターが動くか)
- Q:ピークの鋭さ(クワッの濃さ)
- MODE:通す帯域(LP/BP/HPでキャラを決める)
- VOL:最終音量(エフェクトON時の音量差を合わせる/ブーストする)
使いどころとしては、ファンクのカッティングだけが正解ではありません。クリーンのアルペジオに“うねり”を足したり、ベースでアタックの輪郭を前に出したり、シンセでフレーズに躍動感を付けたりと、実は使える場面が多い。逆に「いつも同じ効き方」を求めるより、曲中で右手の強弱を意識して“動かす”方が、この手のペダルはハマります。
サウンドの特徴(弾き方で決まる“クワッ”と、3モードの守備範囲)
Nano Q-Tron の核は、アタックに反応してフィルターが上方向へ跳ね、そこから音の減衰に合わせて戻っていく“オートワウらしい動き”です。設定が合うと、ミュートのカッティングは歯切れよく、単音は喋るようにニュアンスがつきます。ワウと違って足のタイミング調整が要らないので、バッキングに混ぜても破綻しにくいのがメリットです。
MODE は LP / BP / HP の3種類で、ここが音作りの方向性を決めます。
- LP(ローパス):低域寄りが太く、丸い“粘り”が出やすい。ベースやクリーンの太さを残したいときに強い。
- BP(バンドパス):中域が前に出て、いわゆる“ファンクのクワッ”が作りやすい。ギターの定番ど真ん中。
- HP(ハイパス):高域寄りで切れ味が出る。アタックが立ち、リズムがシャープに抜ける。歪みと組み合わせると鋭い表情が作りやすい。
DRIVE は“効きの深さ”そのものです。低めなら控えめに揺れて上品、上げるほど大きく跳ねて派手になります。ただし上げすぎると、フィルターが高域側に張り付いたような挙動になり、狙った“クワッ”より「ずっと明るいまま」になりがち。まずは12時付近から始めて、楽器出力に合わせて微調整するのが最短です。
Q はピークの鋭さで、上げるほど“鼻にかかった強い発声”になります。ファンクなら気持ちいい反面、上げすぎると耳に刺さったり、バンド内で帯域が邪魔になることもあるので、最初は中域から詰めるのが安全です。
使い勝手・セッティングのイメージ
エンベロープフィルターは「DRIVEを合わせたら8割勝ち」です。以下は迷いにくい出発点(24H表記)です。
王道ファンク・カッティング
- MODE:BP
- DRIVE:12〜14時
- Q:13〜15時
- VOL:原音と同じ(ユニティ)
BPで“真ん中のクワッ”を作る基本形です。DRIVEを上げるほど派手になりますが、上げすぎると弾かなくても開きっぱなしになりやすいので、まず12〜13時で反応を合わせ、足りない分だけ上げるのが安定します。
クリーンのアルペジオに“揺れ”を足す
- MODE:LP
- DRIVE:10〜12時
- Q:11〜13時
- VOL:原音と同じ
LPで太さを残しつつ、動きは控えめに。派手さより「曲の中で気づくか気づかないか」のラインを狙うと、使える場面が一気に増えます。
歪みと合わせて攻撃的に
- MODE:HP(合わなければBP)
- DRIVE:11〜13時
- Q:12〜14時
- VOL:原音と同じ〜少し上
歪み前段に置くと、ワウ的なキャラが歪みに乗って派手に出ます。刺さる場合は、HP→BPに戻すか、Qを下げると整いやすいです。歪みの後段に置くと“動き”が強く出ますが、帯域が暴れやすいので上級者向けです。
ベースでグルーヴを立てる
- MODE:LP
- DRIVE:9〜11時(ベースは出力が大きいことが多い)
- Q:10〜12時
- VOL:ユニティ
低域を残しつつ、アタックでニュアンスを付ける方向。DRIVEを上げすぎると常時開きっぱなしになりやすいので、まず低めから合わせるのがコツです。
“固定ワウっぽく”使う小技
- MODE:BP
- DRIVE:9〜11時
- Q:13〜15時
- VOL:ユニティ
あえてDRIVEを控えて動きを浅くし、Qで“ピーク”だけ立てると、オートワウが暴れずにキャラ付けとして使いやすくなります。バッキングで使うときに効きます。
ペダマニ的「ここが魅力!」
- 弾き方がそのまま表現になる“オートワウの正攻法”
足でタイミングを作らなくても、右手の強弱でニュアンスが付くので、バッキングに混ぜても破綻しにくいです。フィルター系が「曲で使えない」で終わらず、“使いどころが増える”タイプの設計です。 - LP/BP/HPの3モードで、ギター以外にも寄せやすい
BPの王道クワッだけでなく、LPで太さを残す、HPで切れ味を出すといった方向性を即決できます。ギター、ベース、シンセと役割が変わっても、MODEで入口が作れるのは実戦的です。 - Nano筐体で“あの系統”をボードに入れやすい
エンベロープフィルターは欲しいけど、スペースと運用のハードルで見送られがちです。Nano Q-Tron はサイズと操作系が軽く、導入コスト(手間)が低いのが強みです。
注意しておきたいポイント
- DRIVEを上げすぎると“開きっぱなし”になりやすい
出力の大きいピックアップやブースト後段では、DRIVE過多でフィルターが張り付いたような挙動になりやすいです。まず12時前後から合わせ、足りない分だけ足す方が狙い通りに動きます。 - 置き場所で反応が変わるので、基本はチェイン前寄り
エンベロープフィルターは“入力の強弱”が命です。コンプの後ろに置くと反応が均されて面白さが減ることがあります。基本はギター直後〜歪み前で、必要なら順番を変えて最短で当たりを探すのが効率的です。 - Qを上げすぎると帯域が刺さる/邪魔になることがある
ピークを立てるほどキャラは出ますが、バンド内では耳に痛い帯域が前に出る場合があります。まず中庸で“曲の中で成立する位置”を作り、派手さは最後に足す方が失敗しにくいです。
機種の仕様
| メーカー | Electro-Harmonix |
| 製品名 | Nano Q-Tron |
| エフェクトタイプ | オートワウ/エンベロープフィルター(アナログ) |
| コントロール | VOL:出力レベル DRIVE:感度 Q:ピークの鋭さ MODE(LP / BP / HP):通過帯域の切替(LP=低域寄り、BP=中域寄り、HP=高域寄り) |
| 接続端子 | INPUT:標準フォーン(ギター/ライン入力) OUTPUT:標準フォーン(モノ出力) DC IN:9V DC アダプター用ジャック(センターマイナス) |
| 電源 | 9V 角型電池 AC アダプター(センターマイナス) |
| 消費電流 | おおよそ 10 mA(DC 9V 時) |
| 入出力レベル/インピーダンス | 入力インピーダンス:330 kΩ 出力インピーダンス:300 kΩ |
| 外形寸法・重量(目安) | 幅:70 mm 前後 奥行:115 mm 前後 高さ:54 mm 前後 質量:約 289 g 前後 |