Canyonは、EHXが得意な「小型だけど中身は濃い」を空間系でやった1台です。デジタル(ECHO)を軸に、MOD/MULTI/REVRS、さらにDMM(Deluxe Memory Man系)やTAPE、VERB、OCT、SHIM、S/Hまで網羅し、最後に62秒ルーパーも搭載。タップテンポ+タップ分割、TAILSスイッチ、そして“隠しパラメータ(Secondary Knob Mode)”で追い込みもできるので、単なる多機能に留まらず「現場で使う音に着地させやすい」タイプです。巨大なディレイを1台買って沼に沈む前に、まずここで勝ち筋を作るのは合理的です。
[Electro-Harmonix] Canyon|ペダマニレビュー
どんなペダル?
Canyonは、1台で“定番〜演出系”まで揃うマルチディレイ+ルーパーです。操作系はシンプルで、MODEノブで11ポジション(10ディレイ+LOOP)を選び、DELAY(タイム)/FEEDBACK(リピート量)/FX LVL(ディレイ音量)で基本を作る設計。まずはECHOで「普通に良いディレイ」として使い、必要になったらTAPEやDMM、SHIMへ寄せていく…という導入がやりやすい構成です。
加えて、TAP/DIVIDEでタップテンポが使え、分割も3種類(四分/付点8分/8分)を切り替えられます。曲テンポに追従させたい人にとって、ここが“使えるかどうか”の分水嶺になりやすいので、Canyonは最初から実戦寄りの思想です。
さらにSecondary Knob Mode(隠しパラメータ)に入ると、モードごとに「揺れの深さ」「フィルター感」「感度」などを追加で追い込めます。プリセット機ではなく“現場で詰める余地”が残っているのが、Canyonの旨味です。
サウンドの特徴(定番の芯+EHXらしい色気が同居)
Canyonの音作りは「軸を作って、必要なら色を足す」がやりやすいです。ECHOは輪郭が分かりやすく、バンドの中でもディレイが埋もれにくい方向。まずここで“基準のディレイ音量とリピート回数”を決めると、他モードに移っても破綻しにくくなります。
TAPEは揺らぎと丸さで、リピートを主張させるより“奥行き”を作るタイプ。歪み後段でも耳に痛くなりにくく、歌モノのバッキングで強いです。DMMはEHXの看板的なアナログディレイの質感を狙ったモードで、太さと粘りが出やすい。クリーン〜軽いクランチで「弾き心地を残したまま、後ろに空間を足す」用途に向きます。
MODはディレイに揺れを足して“広がり”を作る役。MULTIはマルチタップで空間の密度を上げやすく、カッティングやアルペジオにハマると気持ちいい。一方REVRSやS/Hは演出寄りで、曲の景色を変える“仕掛け”として優秀です。OCTやSHIMは倍音側に寄せるので、アンビエント/イントロ/アウトロで「一瞬で空気を変える」武器になります。
重要なのは、全部を常用しようとしないこと。Canyonは役割分担を作ると急に強くなるタイプです。
使い勝手・セッティングのイメージ
Canyonは「基本3つ+演出1つ」くらいに絞ると、最短で戦力化できます。
基準ディレイ(ECHO:粒立ち重視)
- MODE:ECHO
- DELAY:曲テンポに合わせて(タップ推奨)
- FEEDBACK:10〜12時(2〜4回反復の目安)
- FX LVL:9〜11時(原音より少し下)
まず“邪魔しないのに聴こえる”位置を作ります。ディレイは盛るより、曲の中で必要な瞬間だけ上げる方が現場で事故りません。
奥行き担当(TAPE or DMM:耳に痛くしない)
- MODE:TAPE または DMM
- DELAY:300〜450ms目安
- FEEDBACK:9〜11時
- FX LVL:9〜10時
歌モノやコードバッキングなら、この手の設定が一番出番が多いです。リピートが前に出ないので、アンサンブルが崩れにくい。
付点8分の定番(タップ分割で“それっぽく”)
- MODE:ECHO(またはMULTI)
- TAP/DIVIDE:付点8分
- FEEDBACK:10〜11時
- FX LVL:10〜12時
フレーズが自然に転がるので、コピーでもオリジナルでも“それっぽい”景色が作れます。
演出枠(SHIM/OCT/REVRS/S/H:ここは割り切る)
- MODE:SHIM または OCT(アンビエント)/REVRS(逆再生感)/S/H(特殊)
- FEEDBACK:上げすぎ注意(まずは12時未満)
- FX LVL:原音と同じ〜少し下
演出系は「短く使って勝つ」方が強いです。常時ONにすると曲を選びやすいので、使う場面を決めておくと運用が安定します。
ルーパー(LOOP)は最大62秒。フレーズの上に重ねてアイデア出し、1人練習、リフ確認など、“制作と練習の時間を増やす”用途で使うと元が取れます。
ペダマニ的「ここが魅力!」
- “基準ECHO”が素直で、他モードの土台になる
多機能ディレイは基準音が薄いと全モードが迷子になりますが、CanyonはECHOが扱いやすく、まずここで音量・リピート・テンポの基準を作れるのが強いです。 - タップテンポ+分割で、ライブの再現性が上がる
四分/付点8分/8分を切り替えられるので、曲ごとの“気持ちいい反復”に寄せやすく、テンポ物のディレイ運用が安定します。 - Secondary Knob Modeで“最後の詰め”ができる
最初はツマミだけで即戦力、必要になったら隠しパラメータで質感を追い込めるので、買い替え前に「もう一段ハマる」余地が残っています。
注意しておきたいポイント
- 多機能ゆえに、最初から全部を使うと音作りが終わらない
ECHO/TAPE(またはDMM)/付点8分、まずはこの3役に絞って運用を固めると、練習時間が守られます。 - 演出系(SHIM/OCT/S/H)は“曲を選ぶ”前提で組む
強力ですが濃いので、常用より「使う場面を決めて短く当てる」方が勝ちやすいです。リピートを上げすぎると一気に支配的になります。 - 電源は余裕を見て確保する
消費電流は150mAクラスなので、ボード電源の空きに分岐で雑に挿すと不安要素になります。安定稼働させるなら、容量に余裕のあるDCポートを割り当てるのが安全です。
機種の仕様
| メーカー | Electro-Harmonix |
| 製品名 | Canyon |
| エフェクトタイプ | ディレイ(デジタル)/ルーパー |
| 搭載モード | ECHO(デジタル)、MOD(モジュレーション)、MULTI(マルチタップ)、REVRS(リバース)、DMM(Deluxe Memory Man系)、TAPE(テープ)、VERB(リバーブ+ディレイ)、OCT(オクターブ)、SHIM(シマー)、S/H(サンプル&ホールド)、LOOP(ルーパー) |
| コントロール | FX LVL:ディレイ音量(エフェクト成分の出力レベル) DELAY:ディレイタイム(5ms〜3秒) FEEDBACK:リピート回数(フィードバック量) MODE:11モード切替 TAP/DIVIDE:タップ分割切替(四分/付点8分/8分) FOOTSWITCH:ON/OFF、タップテンポ(設定により) TAILSスイッチ:バイパス時に残響を残す/止める切替 Secondary Knob Mode:隠しパラメータ編集(モード別の追加調整) |
| 接続端子 | INPUT:標準フォーン(ギター/ライン入力) OUTPUT:標準フォーン(モノ出力) TAP IN:外部タップ用(モーメンタリ・フットスイッチ) DC IN:9V DC アダプター用ジャック(センターマイナス) |
| 電源 | AC アダプター(センターマイナス) |
| 消費電流 | おおよそ 150 mA(DC 9V 時) |
| 入出力レベル/インピーダンス | 入力インピーダンス:1 MΩ 出力インピーダンス:680 kΩ |
| 外形寸法・重量(目安) | 幅:70 mm 前後 奥行:115 mm 前後 高さ:54 mm 前後 質量:約 400 g 前後 |