BOSS ST-2 Power Stack は、スタックアンプの迫力と弾き心地をコンパクトに落とし込んだドライブ・ペダルです。最大の特徴は、SOUNDノブひとつで歪み量とキャラクターが同時に変化する設計で、柔らかいクランチから、ブーストしたフルスタックのようなハイゲインまで素早くスイープできます。さらにBASS/TREBLEの2バンドEQがあるので、バンド内の抜けやローの収まりを現場で微修正しやすく、「音作りに時間を溶かさない」系の歪みとして優秀です。
[BOSS] ST-2 Power Stack|ペダマニレビュー
どんなペダル?
ST-2は、いわゆる“ディストーション”というより、発想としては「スタックアンプのチャンネルを足元に増設する」タイプのドライブです。SOUNDノブが歪み量だけでなく質感も一緒に動かすため、一般的なGAINつまみのように“増やしたら荒れる”だけで終わらず、クランチ→王道スタックドライブ→ウルトラハイゲインまでのレンジを1本の線でつなげられます。
また、BASS/TREBLEが独立しているのが実戦的で、会場やアンプに合わせて「ローを締める」「耳に痛い帯域を少し削る」といった調整がすぐできます。バイパスはバッファードなので、長いケーブルや多段ボードでも信号が痩せにくい“現場仕様”の設計です。
サウンドの特徴(スタックの迫力をSOUNDで一気に)
ST-2の核は、スタックアンプらしいパワー感と“押し出しの強い歪み”を、音量を上げ切らなくても作れる点です。SOUNDを左側にすると鈴鳴り感のあるクランチ寄り、センター付近で王道のスタックドライブ、右側ではブースターを足したような激しいディストーションまで一気に持っていけます。歪み量だけでなくキャラクターごと動くので、曲ごとに「今日はクランチの質感」「次はハイゲインのエッジ」と切り替えたいときに迷いが減ります。
さらに、ピッキングの強弱やギター側ボリュームへの追従性が意外と大事で、軽く弾けばクリーン寄り、強く弾けば歪む、といった“アンプ的な挙動”が作りやすい方向です。2バンドEQと合わせると、同じ歪みでもアンサンブル内の座りを整えやすく、結果として「音量を上げなくても前に出る」を狙いやすいペダルです。
使い勝手・セッティングのイメージ
王道クランチ(歯切れよく、弾き手で歪ませる)
- SOUND:9〜11時
- BASS:11〜13時
- TREBLE:11〜13時
- LEVEL:原音と同じか、やや持ち上げる
アンプのクリーン〜軽いクランチを“気持ちよく割る”入口です。SOUNDを上げすぎると急に密度が増えるので、まずは9〜10時から始めると失敗しにくいです。
スタックドライブ(ロックの基準点)
- SOUND:12〜14時
- BASS:10〜12時
- TREBLE:12〜14時
- LEVEL:バンドで一歩前に出る程度
センター〜右寄りで“スタックらしさ”が出ます。ローが膨らむときはBASSを少し下げ、抜けが足りないときはTREBLEを少し上げると着地が早いです。
ウルトラ・ハイゲイン(ソロ/モダンリフ)
- SOUND:14〜17時
- BASS:9〜11時
- TREBLE:12〜14時
- LEVEL:音量差が出ない範囲で調整
強い歪みでも輪郭を残したいときの方向です。ローを盛るより先にBASSを絞ってタイトにし、必要ならTREBLEでエッジを足す方が“前に出る歪み”になりやすいです。
アンプの前段で“質感付け”(常時ON寄り)
- SOUND:10〜12時
- BASS:11〜13時
- TREBLE:10〜12時
- LEVEL:原音と同じ
歪みの主役をアンプ側に置きつつ、ST-2は質感と押し出しを足す運用です。バッファード設計も相まって、ボード全体の音が整いやすい使い方です。
ペダマニ的「ここが魅力!」
- SOUNDノブだけで曲に合わせやすい
歪み量とキャラクターが同時に動くので、クランチからハイゲインまで“つまみ1本で距離が詰まる”のが強みです。ゲインを上げたらEQを触って…の工程が減るため、スタジオや本番前の調整が速く、迷いが少ないまま着地できます。 - 2バンドEQが現場で効く
BASS/TREBLEが独立しているので、会場やアンプの癖に合わせてローの収まりと抜けを即調整できます。音量を上げる前に帯域を整えられるため、バンド内での聴こえ方を詰めやすい実戦向けの仕様です。 - スタック感を小音量で持ち出せる
大音量のスタックアンプに寄せた迫力を、現実的な音量で作りやすいのがST-2の美点です。自宅練習〜スタジオ〜ライブまで、同じ方向性の音を保ちやすく、環境が変わっても“いつもの手触り”に戻しやすいタイプです。
注意しておきたいポイント
- SOUNDの変化幅が大きいので“狙い所”を決める
SOUNDは便利な反面、動かすとキャラクターまで変わるため、細かい追い込みより「この曲はこの辺」という基準点を作っておく方が運用が安定します。まずはクランチ用とハイゲイン用の2つの基準を作ると、現場で迷いにくいです。 - ローを盛るより締めた方がハマりやすい
スタック系の歪みは低域が出るほど迫力は増えますが、バンド内ではダブつきやすくなります。BASSは足すより整える方向で使い、必要な太さはアンプ側やアンサンブル全体で作る方が結果が良くなりがちです。 - バッファード前提なのでボード全体で役割を決める
バッファはメリットが大きい一方、すでにバッファが多いボードでは“どこで整えるか”の設計が必要です。ST-2を常時ON寄りにするのか、スポット運用にするのかを決めておくと、レベル感と抜けが安定します。
機種の仕様
| メーカー | BOSS |
| 製品名 | ST-2 Power Stack |
| エフェクトタイプ | オーバードライブ/ディストーション |
| バイパス方式 | バッファードバイパス |
| コントロール | LEVEL:出力レベル BASS:低域調整 TREBLE:高域調整 SOUND:歪み量とキャラクターを同時にコントロール |
| 接続端子 | INPUT:標準フォーン(ギター入力) OUTPUT:標準フォーン(アンプ/次段エフェクターへ) DC IN:9V AC アダプター用ジャック(BOSS PSA シリーズ対応) |
| 電源 | 9V 角型電池 AC アダプター(PSA-100/PSAシリーズ) |
| 消費電流 | おおよそ 65 mA(DC 9V 時) |
| 入出力レベル/インピーダンス | 規定入力レベル:-20 dBu 入力インピーダンス:1 MΩ 規定出力レベル:-20 dBu 出力インピーダンス:1 kΩ |
| 外形寸法・重量(目安) | 幅:73 mm 前後 奥行:129 mm 前後 高さ:59 mm 前後 質量:約 410 g 前後(電池含む) |