BOSS PX-1 Plug-Out FX は、1977年から続くBOSSコンパクト・ペダルの歴史を一台に凝縮したコンパクト・ペダル型ユニットです。OD-1 や DS-1、CE-2、DD-2 といった“型番に1を冠した名機”をはじめ、最大16種類のエフェクトモデルを本体で切り替えて使用可能。専用アプリとモデル・パスを組み合わせれば、今後も続々と追加されるBOSSサウンドを取り込んでいける、まさに“BOSSアーカイブ”のような1台です。
[BOSS] PX-1 Plug-Out FX|ペダマニレビュー
どんなペダル?
PX-1 は、BOSSコンパクト・ペダルの“時代を超えた代表作”を、一台ずつ精密にモデリングして切り替えて使えるコンパクト・ペダルです。1つのエフェクトモデルに対してDSPリソースを集中させる設計により、オリジナルのトーンだけでなく、レスポンスや独特のノイズ成分まで含めて徹底的に再現しているのが大きなポイントです。
スターターとして収録されているのは、OD-1、SP-1、PH-1、SG-1、CS-1、TW-1、SD-1、DS-1、CE-2、BF-2、PN-2、OC-2、PS-2、VB-2、DD-2、DF-2 といった16種類。どれもBOSSの歴史を語るうえで外せない“1番機”ばかりで、単に「昔のモデルを集めました」というより、“BOSSのDNAをまとめたカタログ”という印象に近いラインナップです。
さらに、専用アプリ「BOSS Effect Loader」とRolandアカウントを使えば、追加の8モデルをユーザースロットにインストール可能。今後リリースされる有償の「モデル・パス」を購入することで、対応モデルをどんどん増やしていける拡張性も持っています。ディスプレイ付きのコンパクト筐体、ステレオ入出力、CTL端子、TRS MIDIインなど、現代的なインターフェースも備えており、“古き良きBOSS”と“今っぽいデジタルペダル”のいいところ取りをしたようなポジションの一台です。
サウンドの特徴(ヴィンテージBOSSを“そのまま”現代に連れてくる感覚)
PX-1 のサウンドで一番のキモになっているのが、「1つのエフェクトにすべてのDSPリソースを注ぎ込む」というコンセプトです。一般的なマルチのように複数エフェクトを同時に鳴らすのではなく、1モデルを徹底的に再現する方向に振り切っているため、オリジナルのBOSSコンパクトに含まれていた癖や、ピッキングに対する追従感までを狙って再現しているところが特徴です。
例えば、OD-1やSD-1系のドライブモデルでは、入力に対するコンプレッション感や、ボリュームを絞ったときのクリーンへの戻り方など、“実機をアンプ前に挿したときの感覚”を大事にしたフィーリングが狙われています。CE-2やVB-2系モデルでは、揺れの奥行きとわずかなローファイ感、そして設定域によっては“やり過ぎ感”も含めて、元ペダルのキャラクターをそのまま楽しめる方向のサウンドです。
さらにPX-1では、単に綺麗な音だけを抽出するのではなく、「そのペダルらしさ」を作っているノイズ成分やクセのある挙動も意図的に取り込んでいるのがポイントです。現行のハイファイ系マルチに慣れている耳で聴くと、あえてラフに感じる部分もありますが、それこそが“80〜90年代BOSSコンパクトの空気感”そのものでもあり、そこに価値を感じるプレイヤーにとっては大きな魅力になります。
使い勝手・セッティングのイメージ
BOSSボードの“1枠”として、日替わりで歴代コンパクトを差し替える感覚で使う
PX-1 はコンパクト・ペダルサイズの筐体にディスプレイを備えているため、普通のBOSSペダルと同じ感覚でボードに組み込めます。アンプ前に置く歪み枠、モジュレーション枠、ディレイ枠など、どこに置くかを決めたうえで、「今日はOD-1モード」「次の曲はCE-2モード」といった具合に、1台で複数の歴代コンパクトを差し替えて使うイメージです。普段からBOSSボードを組んでいるプレイヤーにとっては、“1枠で何台分もBOSSを持てるスロット”という感覚で理解すると分かりやすいと思います。
専用アプリからモデルを入れ替え、“自分用BOSSアーカイブ”を構築する
iOS/Android対応の専用アプリ「BOSS Effect Loader」とBluetoothまたはUSB Type-Cで接続すれば、PX-1にインストールするエフェクトモデルを管理できます。フリーのRolandアカウントを作ることで追加の8モデルをユーザースロットへ導入でき、さらに有償のモデル・パスを購入すれば、今後提供されるモデルも順次追加していける仕組みです。自分がよく使う歪み系や空間系を中心に、“このPX-1にはこのラインナップを入れておく”という形で、自分用のBOSSアーカイブを作り込んでいく楽しみがあります。
CTL端子やMIDIクロックで、ライブ/スタジオでも扱いやすい現代的なコントロール
PX-1は、別売のエクスプレッションペダルや2系統までのフットスイッチを接続できるCTL端子、TRSのMIDI IN端子も備えています。これにより、ワウ的なパラメーターをリアルタイムで動かしたり、2つのモデルを足元で瞬時に入れ替えるSWAP機能を使ったり、コーラスやトレモロの揺れをMIDIクロックに同期させるといった使い方が可能です。スタジオでのレコーディングでも、リズム隊やクリックに合わせてモジュレーションの周期をきっちり合わせたい場面で、PX-1側でテンポ連動させておけるのはかなり実務的なメリットです。
ペダマニ的「ここが魅力」
- 名機だらけの“型番1番シリーズ”をまとめて体験できる贅沢さ
PX-1にスターターとして収録されている16モデルは、どれも「1」という数字を与えられた特別なコンパクトたちです。OD-1、SD-1、DS-1、CE-2、DD-2、VB-2…といったBOSSの歴史を象徴するラインナップを、一台の中で次々と差し替えて弾き比べできるのは非常に贅沢な体験です。中古で集めようとすると手間もコストも相当かかるペダルも含まれているため、“まずはPX-1でBOSSの文脈に触れてから、どうしても欲しいものだけ実機で集める”という順番も現実的になってきます。 - 一台につき一つのエフェクトに集中した“妥協のない再現アプローチ”
PX-1はシグナルチェーンを欲張るのではなく、一つのエフェクトモデルに対してDSPリソースを全振りする設計思想を採っています。その結果、「音をざっくり似せたシミュレーション」ではなく、原音に対するコンプレッション感やレスポンス、時にはノイズまでを含めた“そのペダルらしさ”にこだわった再現が可能になっています。ペダマニ的には、「何台も中途半端に似せるのではなく、歴代コンパクトを1台ずつ丁寧に再現している」というアプローチ自体が、この製品の一番大きな価値だと感じます。 - アプリとモデル・パスで“今後も増えていくBOSS図鑑”として育てられる
PX-1は、買った瞬間の16モデルで完結する製品ではありません。専用アプリとRolandアカウントを使って追加の8モデルをインストールできるうえ、今後リリースされるモデル・パスを購入することで、対応エフェクトはどんどん増えていきます。つまりPX-1は、“固定されたマルチエフェクター”というより、BOSSの新旧コンパクトを追加していけるプラットフォームに近い存在です。BOSSファンほど、長く付き合うほどに楽しみが増えていくタイプのペダルになっています。 - Roland CloudのBOSSプラグインと連携した“ハード/ソフト横断の世界観”
PX-1には、Roland Cloud Ultimate の6ヶ月メンバーシップが付属しており、BOSS Effects Pedals プラグインも含まれています。これにより、PX-1で体験できるようなBOSSコンパクトサウンドを、DAW上のプラグインとしても活用可能。さらにJC-120やRE-201 Space Echoといったギター向けソフトウェアも利用できるため、ハードウェアのPX-1とソフトウェアのBOSSプラグインを組み合わせて、“スタジオ〜ライブ〜宅録”を同じ世界観のトーンで統一していくような使い方も視野に入ります。
注意しておきたいポイント
- “1台で何でも同時にやるマルチ”ではなく、“1モデルに集中するコンセプト”を理解しておく
PX-1は、一般的なフロア型マルチのように複数エフェクトを同時に並べてチェインを組む製品ではありません。あくまで、一度に扱うのは一つのエフェクトモデルで、その代わりに再現度を突き詰めるコンセプトのペダルです。歪みからモジュレーション、ディレイ、リバーブまで一台でまとめて完結させたい場合は、GTシリーズやGXシリーズの方が向いています。PX-1は“BOSSコンパクト図鑑のスロット”として捉えた方が、期待とのギャップが少なくて済みます。 - モデル拡張やプラグイン活用をフルに使うなら、アプリやRolandアカウント前提になる
追加の8モデルやモデル・パスを導入するには、BOSS Effect LoaderアプリとRolandアカウントが必須です。また、BOSS Effects Pedalsプラグインを使うにはRoland Cloudへの登録と環境構築が必要になります。ハードだけで完結させたい人にとっては、こうした“アカウント/アプリ前提”の設計が煩わしく感じられる可能性もあるため、購入前に自分のワークフローと合うかどうかは意識しておきたいポイントです。 - ラインナップの全貌を揃えようとすると、トータルコストがそれなりになる可能性
PX-1本体だけでも十分なボリュームがありますが、「どうせならモデル・パスも全部買って、Roland Cloudのプラグインもガッツリ使いたい」となってくると、時間とともにトータルコストはそれなりの水準になります。特にヴィンテージBOSSに思い入れが強いプレイヤーほど“全部入り”を目指したくなりがちなので、どこまでをハード側、どこまでをソフト側で揃えるのか、初めからざっくり決めておくと財布とのケンカを減らせます。
機種の仕様
| メーカー | BOSS |
| 製品名 | PX-1 Plug-Out FX |
| エフェクトタイプ | マルチエフェクター |
| コントロール | LEFT CENTER RIGHT (エフェクター毎に異なるパラメーターで調整) |
| 接続端子 | INPUT A(MONO)/B:標準フォーン(ギター/ベース入力) OUTPUT A(MONO)/B:標準フォーン(アンプ/次段エフェクターへ) CTL/EXP:外部フットスイッチまたはエクスプレッションペダル用端子 MIDI IN:外部機器との連携用 USB(type-C):コンピューター接続用 DC IN:9V AC アダプター用ジャック(BOSS PSA シリーズ) |
| 電源 | AC アダプター(PSA-100/PSAシリーズ) USB(type-C) |
| 消費電流 | おおよそ 260 mA(DC 9V 時) おおよそ 420 mA(USB 時) |
| 入出力レベル/インピーダンス | 規定入力レベル:-20 dBu 入力インピーダンス:1 MΩ 規定出力レベル:-20 dBu 出力インピーダンス:1 kΩ |
| 外形寸法・重量(目安) | 幅:73 mm 前後 奥行:125 mm 前後 高さ:56 mm 前後 質量:約 400 g 前後 |