本格アンプサウンドを足元で完結させるIRペダル
BOSS IR-200 Amp & IR Cabinet は、アンプシミュレーターとIRキャビネットを1台に統合した本格派ペダルです。クリーン〜ハイゲインまで複数のアンプタイプと、豊富な高品位IRキャビネットを組み合わせることで、ライン直やヘッドホン環境でも「アンプから鳴っている」ような立体的なサウンドを実現します。ステレオ対応、外部IRの取り込み、USBオーディオにも対応しており、自宅録音からライブまで幅広く活躍するフロア型アンプ&キャビ・ソリューションです。
[BOSS] IR-200 Amp & IR Cabinet|ペダマニレビュー
どんなペダル?
IR-200 は、足元だけで完結する「アンプ+キャビ」の世界を狙ったBOSSのIRペダルです。
アンプ部はクリーン系、クランチ系、ハイゲイン系、ベース向けなど複数のボイシングを搭載し、それぞれに対して多数のキャビネットIRを組み合わせることができます。
IR部は、BOSSファクトリーIRに加えて、PC経由でサードパーティ製IRや自作IRを取り込める構成。好みのIRを詰め込んで、自分専用のアンプリグとして運用できるのがポイントです。
出力はライン、ヘッドホン、エフェクトループ、MIDI、USBオーディオと非常に多機能で、
- 自宅ヘッドホン練習
- ライブでのライン出し
- パワーアンプやRETURNに挿してアンプヘッド的に使う
- DAWへの宅録インターフェース
など、かなり広い用途を1台でカバーできます。
サウンドの特徴(アンプらしい立体感とIRの空気感)
アンプ部のキャラクターは「ハイファイ寄りだけど、ちゃんとアンプらしい質感」がキーワードです。いかにもデジタル的な薄さではなく、IRと組み合わさった時の奥行き感や、ピッキングに対する反応が自然に感じられるのがIR-200の強みです。
クリーン〜クランチ系では、ピッキングの強弱によるニュアンスが素直で、ギターのボリューム操作にも追従しやすい印象。ハムバッカーでもシングルでも破綻しにくく、モニター環境が良ければかなり「アンプ前に立っている」感覚に近づきます。
ハイゲイン寄りのセッティングでは、IRキャビとの組み合わせ次第でモダンメタル寄りにも、ややビンテージ寄りにも振れるイメージ。低域はタイトめにまとめられていることが多く、ミックスの中でも扱いやすい方向性です。
IRの品質は、ファクトリーだけでも十分実用レベルですが、好みのIRを読み込むことで
- 自分の実機キャビ+マイクで作ったIR
- 市販のモダンメタル向けIR
- アンビエント系向けの広がり重視IR
など、かなり細かく追い込めるのが魅力です。
使い勝手・セッティングのイメージ
本体はコンパクトですが、フロントパネルには必要なつまみがきちんと出ていて、ライブ中でも最低限の調整は直感的に行えます。
主なつまみ・操作系のイメージ
- LEVEL:全体のアウトレベル
- BASS / MID / TREBLE:アンプ部の3バンドEQ
- GAIN:歪み量(クリーン〜ハイゲイン)
- AMPS / CABS / IR 選択ボタン:タイプ切り替え
- MENU / VALUE:詳細編集、パッチ管理など
プリセットの想定運用例:
- クリーン/クランチ用(パッチ1〜3)
フェンダー系クリーン、やや歪んだクランチ、シングルコイル向けのシャキっとした設定など。 - ロック/ハードロック用(パッチ4〜6)
ブリティッシュ系スタックを想定したドライブ、リード用のゲインアップ設定など。 - メタル/ドロップチューニング用(パッチ7〜8)
低域タイトなモダンハイゲイン、ノイズゲート強めのリフ用設定など。
実戦での接続例:
- ライブハウス:IR-200 → XLR DIでPAへライン出し+モニター用にリターン入力へ
- 自宅宅録:IR-200 → USBでPC/DAWに接続(オーディオインターフェースとして使用)
- スタジオ練習:IR-200 → パワーアンプ or アンプのRETURN に接続してキャビを鳴らす
いずれの場合も、出力レベルとモニター環境を一度きちんと合わせておくと、その後の現場でも「ほぼそのまま使える」再現性の高さがポイントです。
ペダマニ的「ここが魅力」
- 足元だけで「アンプ+キャビ」が完結
ギターケースとボードさえ持っていけば、どの現場でも自分の音を再現しやすく、アンプに依存しない運用ができます。 - IR読み込み対応で拡張性が高い
気に入ったIRライブラリを導入すれば、かなりプロユース寄りのサウンドにも迫れます。アンプ部はあくまで「土台」として、IR側でキャラを作り込めるのが良いバランスです。 - ステレオ対応+USBオーディオ
ステレオ空間系と組み合わせたアンビエントギターや、ダブルIRによる広がりのあるサウンドが魅力。USB経由でそのままDAWに録れるので、オーディオインターフェース代わりにもなります。 - ライン用とアンプ用を同時に運用しやすい設計
ライン出しとキャビ出力を並行して使うような、やや凝ったライブセッティングにも対応しやすく、現場での柔軟性が高いペダルです。
注意しておきたいポイント
- 「ただ踏めばOK」というよりは、ある程度の初期セットアップが必要
IRの選定、出力レベルの調整、ノイズゲートやEQの追い込みなど、最初にきちんと詰めておかないと、ポテンシャルを出し切れません。 - 物理ノブは最低限なので、細かい編集はメニュー操作が前提
200シリーズ共通ですが、細部の編集には階層メニューを辿る必要があり、慣れるまで若干の学習コストがあります。 - 「アンプとキャビの空気感」はモニター環境に強く依存
IR-200自体のクオリティが高くても、モニタースピーカーやイヤモニのクオリティが低いと「なんかスカスカ」に感じる可能性があります。ライン運用前提なら、モニター環境にも投資したいところです。
機種の仕様
| メーカー | BOSS |
| 製品名 | IR-200 Amp & IR Cabinet |
| エフェクトタイプ | アンプシミュレーター/IRキャビネット・シミュレーター |
| 搭載モード | 複数のアンプタイプ(クリーン〜ハイゲイン/ベース対応など) 豊富なファクトリーキャビネットIR ユーザーIRのインポート機能(PCソフト経由) ステレオ対応(アンプ+IR) 内蔵EQ、ノイズゲートなどのユーティリティ機能 USBオーディオ(DAWへのダイレクトレコーディング対応) |
| コントロール | LEVEL(出力レベル) GAIN(歪み量) BASS / MID / TREBLE(アンプ部EQ) AMPS / CABS / IR 選択ボタン MENU / EXIT / ENTER ボタン VALUE ノブ(各種パラメータ設定) フットスイッチ:パッチ切り替え/タップ的な機能割り当て ほか |
| 接続端子 | INPUT:L / R(モノラル/ステレオインプット) SEND / RETURN(エフェクトループ) OUTPUT:L / R(ライン/アンプRETURNなどへ) PHONES(ヘッドホンアウト) MIDI IN / OUT(外部コントロール) USB(PC接続用オーディオインターフェース/エディタ用) DC IN:9V AC アダプター用ジャック(BOSS PSA シリーズ対応) |
| 電源 | AC アダプター(PSA-100/PSAシリーズ) |
| 消費電流 | おおよそ 335 mA(DC 9V 時) |
| 入出力レベル/インピーダンス | 規定入力レベル:-20 dBu 入力インピーダンス:1 MΩ 規定出力レベル:-20 dBu 出力インピーダンス:1 kΩ |
| 外形寸法・重量(目安) | 幅:101 mm 前後 奥行:138 mm 前後 高さ:65 mm 前後 質量:約 700 g 前後 |