Fender Mirror Image Delay は、デジタル/アナログ/テープの3タイプに加え、それぞれ2つのバリエーションを備えた多機能ディレイです。基本は TIME/FEEDBACK/LEVEL で王道のエコーを作り、DEPTH/RATE でモジュレーション成分を足して“揺れる空間”へ拡張できる設計。さらに DOTTED 1/8 をオンにすると付点8分のディレイ成分を追加でき、リズムのノリや奥行きを一気に作りやすいのも実戦的です。バッファードバイパスでディレイテイルが自然に残るため、曲の切れ目で不自然に途切れにくく、ライブでも「踏み替えの音切れ」が気になりにくいタイプ。定番のスラップバックからアンビエント寄りの広がりまで、1台で守備範囲を取りにいける“現場向けディレイ”です。
[Fender] Mirror Image Delay|ペダマニレビュー
どんなペダル?
Mirror Image Delay は「まずは普通に良いディレイとして使えて、必要なら深く遊べる」タイプです。TYPE でデジタル/アナログ/テープを切り替え、VARIATION で各タイプの方向性を2択で選べます。ここが大きくて、最初に“音色のベース”を決めてから TIME と FEEDBACK を調整できるので、音作りが迷子になりにくい。
操作系は、TIME(ディレイタイム)、FEEDBACK(リピート回数)、LEVEL(原音とディレイの混ざり量)に加えて、DEPTH と RATE がモジュレーション担当。DEPTH をゼロにすればクリーンなディレイとして成立し、必要な曲だけ揺れを足せます。付点8分を追加する DOTTED 1/8 も独立スイッチなので、同じプリセット感覚で「今日は付点を使う/使わない」を切り替えやすいのが実用面で強いです。
さらに、ドライ音を出さずウェットのみ出力する DRY KILL(パラレルFXループ向け)や、ノブ照明を消して電池持ちを稼ぐ LED KILL といった“裏方機能”も用意されています。通常のボード運用なら DRY KILL はオフ前提でOKですが、アンプのパラレルループを活用する人には刺さる仕様です。
サウンドの特徴(“定番の芯”を保ったまま空間を拡張できる)
Mirror Image Delay の強みは、音作りの入口が分かりやすいことです。まず TYPE で「デジタルの輪郭」「アナログの丸さ」「テープの粘り」を選び、VARIATION で“同系統の別キャラ”へ寄せる。その上で TIME と FEEDBACK を決めれば、スラップバック/8分ディレイ/ロングディレイまで自然に着地します。多機能ディレイにありがちな「全部のノブが音色を大きく変えて結局わからない」になりにくいのが、現場で助かるポイントです。
そこから一段深くしてくれるのが DEPTH と RATE。薄く足せば“広がり”として機能し、深くすれば揺れたリピートでサウンドスケープ寄りの空間が作れます。特にクリーン〜クランチで、原音のニュアンスを残したまま“奥行きの印象”だけを大きくできるので、バンド内でも使い道が広い。付点8分の追加も、単にリズムを複雑にするだけでなく、短め設定でも“厚み”が増えやすいので、薄い部屋鳴り〜軽いディレイでも立体感を作りやすいです。
バイパス時にディレイテイルが自然に残るのも実務的です。フレーズ終わりでオフにしても残響がスッと消えるため、次のセクションへ移るときの音切れが不自然になりにくく、踏み替えのストレスが小さい。結果として、ディレイを「曲の一部として」扱いやすい設計になっています。
使い勝手・セッティングのイメージ
王道スラップバック
- TYPE:ANALOG
- VARIATION:1
- TIME:9〜10時
- FEEDBACK:9時(1〜2回程度)
- LEVEL:10〜11時
- DEPTH:OFF
- RATE:12時
短い反射で奥行きだけ足す設定です。歪み前でも後でも使えますが、まずは歪み後に置くと“狙い通りの距離感”が作りやすいです。
8分ディレイのバッキング
- TYPE:DIGITAL
- VARIATION:1
- TIME:12〜14時
- FEEDBACK:10〜12時
- LEVEL:10〜12時
- DOTTED 1/8:OFF
粒立ちが欲しいときはデジタルが手堅いです。FEEDBACK を上げすぎると歌が被るので、まずは“少なめで存在感”を狙うと混ざりが良いです。
付点8分で動きのあるリフ
- TYPE:DIGITAL
- VARIATION:1
- TIME:11〜13時
- FEEDBACK:10〜11時
- LEVEL:10〜11時
- DOTTED 1/8:ON
付点を足すと情報量が増えるので、LEVEL と FEEDBACK は控えめスタートが安全です。リズムが前に出すぎるなら、まずLEVELを下げると破綻しにくいです。
アンビエント寄りの広がり
- TYPE:TAPE
- VARIATION:2
- TIME:14〜16時
- FEEDBACK:12〜14時
- LEVEL:11〜13時
- DEPTH:12〜14時
- RATE:10〜12時
ロング+揺れで空間を作る方向です。揺れが強すぎて音程感が邪魔なら、DEPTH を先に下げると“広がりだけ残す”方向へ戻しやすいです。
ペダマニ的「ここが魅力!」
- 3タイプ×2バリエーションで“入口の正解”が早い
まずTYPEで質感を決め、VARIATIONで方向性を2択に絞れるので、現場で欲しい距離感へ着地するまでが速いです。多機能なのに迷子になりにくく、時間のないリハでも音作りが終わるのが実務的に強いです。 - DOTTED 1/8 が独立スイッチで、曲対応がラク
付点8分は“必要な曲だけ使う”ことが多い機能ですが、独立スイッチなので切り替えが分かりやすいです。8分ディレイのプリセット感覚で、もう一段だけ動きを足せるのが便利です。 - テイルが自然に残るので、踏み替えの音切れが減る
オフにした瞬間にブツ切れにならず、残響がスッとフェードするため、曲展開の切れ目で不自然になりにくいです。ディレイを“演出”として使いやすく、ライブでの安心感につながります。
注意しておきたいポイント
- DEPTH/RATEは上げすぎると“揺れ”が主役になる
モジュレーションは気持ちよさが出る反面、深くしすぎるとフレーズの芯より揺れの印象が前に出ます。まずDEPTHを低めにして“広がりだけ”を作り、必要ならRATE側で動きを付ける順番が失敗しにくいです。 - DOTTED 1/8 は情報量が増えるので、LEVELとFEEDBACKは控えめスタート
付点を加えるとリズムが前に出やすく、バンド内では歌や他パートに被りやすい場面があります。最初はLEVELとFEEDBACKを控えめにし、足りない分だけ上げる方が混ざりが安定します。 - DRY KILL は用途が限定的なので、通常はOFF前提
DRY KILL はパラレルFXループで“ウェットだけ返す”用途に向く機能です。通常のペダルボード運用でONにすると原音が消えて挙動に戸惑いやすいので、基本はOFFで覚えておくのが安全です。
機種の仕様
| メーカー | Fender |
| 製品名 | Mirror Image Delay |
| エフェクトタイプ | ディレイ(デジタル/アナログ/テープ系アルゴリズム) |
| バイパス方式 | バッファードバイパス |
| コントロール | TIME:ディレイタイム調整 DEPTH:ピッチモジュレーション深さ RATE:モジュレーション速度 FEEDBACK:リピート量 LEVEL:原音とディレイ音のミックス量 TYPE:ディレイタイプ切替(DIGITAL/ANALOG/TAPE) VARIATION:各タイプのバリエーション切替(1/2) DOTTED 1/8:付点8分ディレイ成分の追加 |
| 接続端子 | INPUT:標準フォーン(ギター入力) OUTPUT:標準フォーン(アンプ/次段エフェクターへ) DC IN:9V AC アダプター用ジャック(センターマイナス) |
| 電源 | 9V 角型電池 AC アダプター(センターマイナス) |
| 消費電流 | おおよそ 72 mA(DC 9V 時) |
| 入出力レベル/インピーダンス | 入力インピーダンス:1 MΩ 出力インピーダンス:10 kΩ |
| 外形寸法・重量(目安) | 幅:95 mm 前後 奥行:125 mm 前後 高さ:64 mm 前後 質量:約 540 g 前後 |