BOSS DS-1W は、定番ディストーション DS-1 のキャラクターを核にしつつ、WAZAクラフトとして回路とチューニングを見直し、2モード(STANDARD/CUSTOM)で守備範囲を拡張したコンパクト歪みです。STANDARD は「硬質で輪郭が立つ、あのDS-1らしさ」を軸に、リフやバッキングで抜けを作りやすい方向。CUSTOM は中域の押し出しと太さ、レスポンスを強化し、ソロやブースト用途でも“前に出る歪み”を作りやすいのがポイントです。単体の主役ディストーションとしても、アンプや他の歪みの前段で「質感と輪郭を足す」用途でも使い道が多く、ボードに入れておくと仕事が増えるタイプの1台です。
[BOSS] DS-1W Distortion|ペダマニレビュー
どんなペダル?
DS-1W は「DS-1をそのまま上位互換にした」というより、DS-1の“使える部分(輪郭・エッジ・まとまり)”を残しながら、現代のセッティング事情に合わせて「太さ・中域の存在感・ブースト適性」を足したディストーションです。最大の差は MODE スイッチで、STANDARD と CUSTOM を切り替えられること。曲や出力先に合わせて“同じペダルのまま”方向性を変えられるため、リハから本番の微調整が速いです。
コントロールは DIST/TONE/LEVEL の王道3ノブ。ここが実戦的で、歪みペダルにありがちな多機能さで迷子になりにくい。まず DIST で歪み量と密度を決め、TONE で抜けと痛さの境界を探り、LEVEL でバンド内の“立ち位置”を合わせるだけで着地します。加えて、バッファードバイパスなのでボードの中に入れても信号が痩せにくく、ライブの配線でも扱いやすい部類です。
使いどころは2つに分かれます。1つは「単体で歪みの主役」として、ギターのキャラクターを保ったままロック〜メタル手前まで押し出す使い方。もう1つは「アンプや他の歪みの前段で、輪郭とハリを足すブースター的運用」です。特にCUSTOMは出力レベルと中域の押し出しが作りやすく、ソロ時に“音量だけ上げる”ではなく“抜けも一緒に上げる”方向へ持ち込みやすいのが強みです。
サウンドの特徴(2モードで“輪郭系”と“太いミッド”を使い分け)
DS-1W の美味しいところは、まずSTANDARDで“DS-1らしい輪郭”を確保できることです。ピッキングのアタックが立ち、リフの芯が見える歪みなので、バンドの中で埋もれにくい。特にストロークや刻みで「ギターがどこを弾いているか」をはっきりさせたいときに効きます。TONE の効き幅も広く、暗めのアンプならTONEを上げて抜けを作り、明るい環境なら少し抑えて耳当たりを整える、という調整が素直にハマります。
一方 CUSTOM は、STANDARDのキャラクターを残しつつ、より太く、より前に出る方向に寄ります。中域の押し出しが増えるため、単音リードで“歌う位置”が作りやすい。さらに、歪みペダルやアンプを押す用途でも、単なる音量アップではなく「音の密度と存在感」を足せるのがポイントです。会場のPAやスタジオアンプで「上は出るけど薄い」「音量はあるのに前に来ない」状況に当たったとき、CUSTOMに切り替えるだけで改善するケースがあります。
ただし、どちらのモードも“万能に全帯域が整う”わけではなく、最終的な勝負は出力先との相性です。アンプ入力、FXリターン、アンプシム、FRFRなど、どこに入れるかで最適なTONE位置は変わります。DS-1Wはここを「調整しやすい範囲」に収めてある印象で、極端に破綻しにくい代わりに、TONEの詰めで完成度が上がるタイプ。プリセットのないアナログ歪みらしく、“最後は耳で決める”余地が残っているのが逆に強みです。
使い勝手・セッティングのイメージ
王道ロック・リフ
- MODE:STANDARD
- DIST:11〜13時
- TONE:11〜13時
- LEVEL:原音より少し上
まずはSTANDARDで“芯の位置”を作る基本形です。抜けが足りなければTONEを少し上げ、耳が痛いならTONEを少し戻す、の調整だけで実戦投入しやすいです。
ソロで前に出す
- MODE:CUSTOM
- DIST:12〜14時
- TONE:10〜12時
- LEVEL:バンド内で一歩前に出る程度上
CUSTOMは中域が出やすいので、TONEを上げすぎず“太さと抜けの両立”を狙うとまとまりやすいです。単音が埋もれるならLEVELを上げるより、まずCUSTOMにして中域の存在感を足す方が自然に前に出ます。
アンプの歪みを押すブースト
- MODE:CUSTOM
- DIST:9〜11時
- TONE:11〜13時
- LEVEL:13〜15時
歪み量を抑え、LEVELで押してアンプ側の歪みを育てる使い方です。音量が上がりすぎる場合はLEVELを少し戻しつつ、TONEで“抜けだけ足す”方向に寄せると現場で安定します。
歪みペダルの前段
- MODE:STANDARD
- DIST:9〜11時
- TONE:12〜14時
- LEVEL:12〜14時
既存のハイゲインやファズが“モコつく”ときに、前段で輪郭を作る用途。TONEを上げすぎると刺さるので、音量よりも“存在感の方向”を作る意識がコツです。
ペダマニ的「ここが魅力!」
- 2モードで“現場の正解”に寄せやすい
STANDARDで輪郭と切れ味、CUSTOMで太さと中域の押し出しを作れるので、出力先やバンド編成が変わっても立て直しが速いです。歪みペダルは環境で評価が割れやすいですが、DS-1Wはモード切替が保険として機能します。 - 3ノブでも音作りの幅が広い
DIST/TONE/LEVELの王道構成なのに、狙える音色のレンジが意外と広いです。特に「主役ディストーション」と「ブースト的運用」を同居させやすく、ボードの歪み枠を整理しやすいのが実務的です。 - ボードに入れても運用が安定しやすい
バッファードバイパスで信号の落ち込みを起こしにくく、ライブの配線でも扱いやすい部類です。機材トラブルを減らす観点でも、定番BOSSコンパクトの強みがそのまま効きます。
注意しておきたいポイント
- TONEの“効きどころ”が環境で変わる
DS-1系はTONE次第で抜けと耳当たりが大きく変わります。スタジオで良かった位置が会場で刺さる、逆に会場で抜けた位置が宅録だと硬い、は起きがちです。まずは12時付近から始め、出力先(アンプ/IR/PA)に合わせて少しずつ寄せるのが失敗しにくいです。 - 歪み量を盛るほど“手前の弾き方”が出る
DISTを上げると気持ちよく伸びますが、ピッキングの粗さやミュートの甘さも前に出やすいです。リードで歌わせたいならCUSTOMで中域を足し、DISTは必要以上に盛らずにLEVELで前へ出す方が、バンド内で綺麗に通ることが多いです。 - “ブースト運用”は音量だけで判断しない
アンプや他の歪みを押すとき、LEVELを上げるだけだと音量は上がっても抜けが増えないことがあります。DS-1WはモードとTONEで「どこが前に出るか」を作れるので、音量ではなく“帯域の前進”を狙って調整すると完成度が上がります。
機種の仕様
| メーカー | BOSS |
| 製品名 | DS-1W Distortion(Waza Craft) |
| エフェクトタイプ | ディストーション |
| バイパス方式 | バッファードバイパス/トゥルーバイパス |
| コントロール | DIST:歪み量 TONE:トーン調整 LEVEL:出力レベル MODE スイッチ:(STANDARD/CUSTOM) |
| 接続端子 | INPUT:標準フォーン(ギター入力) OUTPUT:標準フォーン(アンプ/次段エフェクターへ) DC IN:9V AC アダプター用ジャック(BOSS PSA シリーズ対応) |
| 電源 | 9V 角型電池 AC アダプター(PSA-100/PSAシリーズ) |
| 消費電流 | おおよそ 15 mA(DC 9V 時) |
| 入出力レベル/インピーダンス | 規定入力レベル:-20 dBu 入力インピーダンス:1 MΩ 規定出力レベル:-20 dBu 出力インピーダンス:1 kΩ |
| 外形寸法・重量(目安) | 幅:73 mm 前後 奥行:129 mm 前後 高さ:59 mm 前後 質量:約 430 g 前後(電池含む) |