BOSS FZ-5 は、1960〜70年代の名機ファズを「現代のボードで扱いやすい形」にまとめたコンパクト・ファズです。MODEノブで3タイプ(FACE/MST FUZZ/OCTAVE FUZZ)を切り替え、FUZZ/LEVELのシンプル操作でキャラクターを作り込めるのが最大の強み。ビンテージ系ファズにありがちな“個体差・温度差・機嫌”に振り回されにくく、ライブやスタジオで再現性を担保しやすい設計です。オクターブ系のクセ強サウンドから、王道のファットなファズまでを1台で押さえたい人にとって、「ファズ枠の基準点」になりやすいモデルです。
[BOSS] FZ-5 Fuzz|ペダマニレビュー
どんなペダル?
FZ-5 は、いわゆる“1つの回路の味”を極めるファズではなく、ビンテージ系ファズの代表的な3キャラクターを「切替で持ち出す」発想のペダルです。FACE(F)は丸く太い粘り、MST(M)は荒くダーティーで高域が立つ質感、OCTAVE(O)は減衰に合わせてオクターブ成分が出る独特の存在感……と、同じファズでも用途が違う3つを1台に集約しています。
操作系はFUZZ/MODE/LEVELの3ノブ+フットスイッチ。ここが重要で、ファズとしては“迷子になりにくい”部類です。特にMODEで方向性が決まるので、まず「曲に必要なキャラクター」をMODEで確定 → FUZZで歪みの密度 → LEVELでバンド内の位置、の順で作ると失敗が減ります。
もう1つのポイントは「ギター側のボリューム追従を前提にしている」こと。手元のボリュームで歪みの深さを調整しながら、同じMODEでもニュアンスを変えていけます。ビンテージ系ファズの“操作で音が育つ”気持ちよさを、現代の取り回しで再現するタイプです。
サウンドの特徴(3キャラ切替で“曲ごとの正解”に寄せやすい)
FZ-5 の核は「同じファズ枠でも、役割の違う3キャラを使い分けられる」ことです。F(FACE)は太さと滑らかさが出しやすく、コードでも“面”として押せる方向。M(MST)はザラッとした粒立ちと高域の主張が強めで、リフのアタックや荒さを前に出したいときにハマります。O(OCTAVE)は単音フレーズで独特の倍音が立ち、空間系と組み合わせると一気に“主役サウンド”になります。
面白いのは、FUZZノブのレンジが広い点です。センター付近までは“オリジナルの再現域”として扱え、そこから先はブースト領域としてより強い歪み・飽和へ踏み込める思想。つまり「ビンテージの気分」も「現代的に押し出す」も、同じMODE内で作れます。ライブで音量を上げにくい環境でも、密度で前に出せるのは実戦的です。
ただし、3キャラあるぶん“全部を万能にしよう”とすると中途半端になりがちです。おすすめは、まず1モードを主戦場として基準音を作り、残り2つは「曲で必要な場面だけ使う」運用。ファズは存在感が強いので、ここを割り切った方がボード全体の完成度が上がります。
使い勝手・セッティングのイメージ
王道ファット・ファズ
- MODE:F
- FUZZ:13〜15時
- LEVEL:原音より少し上
まずはこれが基準。ローが膨らむ場合はアンプ側の低域を少し整理すると“太いのに輪郭がある”方向に寄せやすいです。
荒いリフ向け
- MODE:M
- FUZZ:12〜14時
- LEVEL:原音と同じ〜少し上
Mは高域が前に出やすいので、音量を上げすぎず“存在感だけ前へ”を狙うとバンド内で安定します。
オクターブ主役
- MODE:O
- FUZZ:10〜13時
- LEVEL:バンド内で一歩前に出る程度
Oは歪み量を上げすぎるより、やや控えめで倍音を立てた方が「オクターブ感」が見えやすいです。
手元ボリューム運用
- MODE:F(またはM)
- FUZZ:12〜14時
- LEVEL:原音と同じ〜少し上
ギター側ボリュームを下げてクランチ寄り、上げてファズ全開、という運用がやりやすいです。曲中の切替を減らせるので事故率が下がります。
ペダマニ的「ここが魅力!」
- ビンテージ3種を“切替”で持ち出せる(ボードの対応力が上がる)
FACE/MST/OCTAVEをノブ1つで呼び出せるので、「この曲は太く押す」「この曲は荒さで前に出す」「ここだけオクターブで主役を作る」といった役割分担が作りやすいです。ファズを“1キャラ固定”にしない運用ができるのは、現場目線で強いポイントです。 - 少ノブで着地が速い(迷子になりにくいファズ)
MODEで方向性が決まり、FUZZで密度、LEVELで位置取り、という整理ができるため、セッティング時間が短く済みます。ファズ沼にありがちな「どこを触れば正解か分からない」を避けやすい設計です。 - “再現性”が高い(個体差や気分に振り回されにくい)
ビンテージ系のニュアンスを狙いつつも、持ち出して同じ方向に寄せやすいのがFZ-5の利点です。リハと本番で差が出にくいので、ファズを実戦投入しやすくなります。
注意しておきたいポイント
- モードごとに“得意分野”が違う(万能化すると薄まる)
Fは太さ、Mは荒さとアタック、Oは倍音の主役感と、それぞれ役割が違います。最初から全部を同じ用途で使おうとせず、主戦モードを決めて基準音を作る方がボード全体が締まります。 :contentReference[oaicite:10]{index=10} - 低域・高域の“出方”はアンプや編成で変わる
ファズは単体だと太く気持ちよくても、バンド内でローが滞留したり、高域が刺さったりしやすいです。まずはLEVELを上げすぎず、アンプ側EQと合わせて“居場所”を作ると事故が減ります。 - 電池の持ちは長くない(予備 or 電源設計が安心)
消費電流は60mAで、アルカリ電池の連続使用は約4時間とされています。ライブ運用なら、電源供給を前提にするか、予備電池を常備しておく方が安全です。 :contentReference[oaicite:11]{index=11}
機種の仕様
| メーカー | BOSS |
| 製品名 | FZ-5 Fuzz |
| エフェクトタイプ | ファズ |
| バイパス方式 | バッファードバイパス |
| コントロール | FUZZ:歪み量 MODE:ファズタイプ切替(F=FACE、M=MST、O=OCTAVE) LEVEL:出力レベル |
| 接続端子 | INPUT:標準フォーン(ギター入力) OUTPUT:標準フォーン(アンプ/次段エフェクターへ) DC IN:9V AC アダプター用ジャック(BOSS PSA シリーズ対応) |
| 電源 | 9V 角型電池 AC アダプター(PSA-100/PSAシリーズ) |
| 消費電流 | おおよそ 60 mA(DC 9V 時) |
| 入出力レベル/インピーダンス | 規定入力レベル:-20 dBu 入力インピーダンス:1 MΩ 規定出力レベル:-20 dBu 出力インピーダンス:1 kΩ |
| 外形寸法・重量(目安) | 幅:73 mm 前後 奥行:129 mm 前後 高さ:59 mm 前後 質量:約 405 g 前後(電池含む) |