NUX Amp Academy は、アンプモデリング+キャビIR(サードパーティ対応)を核に、NR/EFX/EQ/リバーブやS/R(インサート)までまとめた、ストンプサイズのアンプモデラーです。A/Bのアンプ切替と3シーン運用でライブ導線を作りやすく、XLRのDI OUT・ヘッドホン・USBオーディオ(録音/リアンプ/ループバック)まで装備。アンプ前での“味付け”というより、ボードの最後に置いて「どこでも同じ完成形」を持ち運ぶための一台として真価を発揮します。
[NUX] Amp Academy|ペダマニレビュー
どんなペダル?
Amp Academy は、いわゆる“アンプレス運用”を現実的にするための、アンプモデラー+IRローダー系ペダルです。6系統のアンプキャラクターを土台に、キャビIRで「PA/FRFR/録音」にそのまま投げられる完成音を作る設計。さらにNR(ノイズリダクション)・EFX(コンプやODなどの前段系)・EQ・リバーブを内蔵しているので、外部ペダルを最小限にしてもライブ/宅録が成立しやすいのが実務的です。
操作体系も現場寄りで、A/Bフットスイッチで“クリーン系のA”と“歪み系のB”を切り替え、SCENEフットスイッチでシーン1〜3を順送り。曲中は「Aで土台→Bで歪み→同じチャンネル内でシーン切替」という導線が作れます。加えてS/R(インサート)端子があるので、4ケーブル的に外部エフェクトを挟む運用や、手持ちのペダルボードを活かした組み方も可能です。
入出力も“出口を担う”前提で、1/4アウトに加えてXLRのDI OUT、ヘッドホン(サイレント練習)、AUX IN(練習用の音源入力)、USB(エディタ/ファーム更新/オーディオIF)を装備。つまり、ステージでも制作でも「最後に置いて完結する」タイプのペダルです。
サウンドの特徴(ボードの最後で“アンプの成立”を作る)
Amp Academy の強みは、アンプモデラーとしての“手応え”を、ストンプサイズで破綻なく出せる点です。ピッキングの強弱に対する歪みの追従が速く、クリーン〜クランチの境界もコントロールしやすい。いわゆるデジタルっぽい遅れ感が気になりにくく、ボードに組んだときに「弾き心地が崩れない」方向でまとまりやすいのが魅力です。
キャビIRは“完成音の整形”に直結します。直出しが刺さる/低域が膨らむといった事故の多くは、実はIRとEQの設計で回避できます。Amp Academy はIRの読み込みと管理が前提になっているので、最初に「自分の出力先(PA/FRFR/IF)」に合わせたIRの基準を作っておくと、会場や環境が変わっても調整が最小で済みます。ここが、アンプ直の持ち込みより“再現性”が高くなるポイントです。
内蔵EFXは、いわゆる“前段の整音”を担う役。コンプで入力を整える、TS系でミッドを押し出す、ブーストでソロの頭を出す、といった、現場で効く処理を最小構成でまとめやすいです。さらに3シーン運用があるので、同じアンプモデルでも「バッキングは控えめ」「サビは押し出し」「ソロはブースト+リバーブ増し」のように、音作りを段階化しやすい。結果として、マルチにありがちな“切替のたびに音が別物”になりにくく、ライブでの一貫性が保ちやすい設計です。
使い勝手・セッティングのイメージ
A=クリーン基準、B=歪み基準にして、シーンで“曲中の濃淡”を作ると、Amp Academy は一気に扱いやすくなります。直出しが前提なら、まずIRと最終EQを基準化し、その上でGAINとEFXの量を決めるのが近道。アンプのRETURN/パワーアンプに入れる場合は、1/4アウト側のIRをオフにして(IR OUTスイッチで管理)、アンプ側のキャビに任せると破綻しにくいです。
王道クリーン基準(Aチャンネル)
- GAIN:10〜12時
- MASTER:12〜14時
- BASS:11〜12時
- MIDDLE:12〜13時
- TREBLE:11〜12時
- PRESENCE:10〜12時
- N.R.:9〜11時(必要最小限)
- RVB:薄く(シーンで増減)
クリーンはまず“入力が整っているか”が重要です。N.R.を強くしすぎると弾き出しが痩せるので、ノイズが気になるポイントだけ抑える程度が安定します。
クランチ基準(Bチャンネル)
- GAIN:12〜15時
- MASTER:12〜14時
- BASS:11〜12時
- MIDDLE:12〜14時
- TREBLE:10〜12時
- PRESENCE:10〜12時
- EFX:TS系やブースト系を薄く
クランチは“中域の居場所”が命です。MIDDLEを少し上げ、PRESENCEとTREBLEは上げすぎない方が、PA/FRFRでも耳に痛くなりにくいです。
リードで伸ばす(同じBでシーン切替)
- GAIN:据え置き(クランチ基準のまま)
- EFX:ブースト量を追加(またはTS系をオン)
- RVB:少し増やす(奥行きで前に出す)
- EQ:ミドルを僅かに上げる/ローを少し抑える
歪みを増やすより、帯域を整えて“抜ける状態”にする方が、バンド内で前に出ます。音量差を大きくしすぎない方が、PA側の扱いも楽です。
アンプRETURN運用(キャビはアンプ側に任せる)
- 1/4アウト:IR OFF(IR OUTをオフ運用)
- EQ:アンプ側キャビに合わせて控えめ
- GAIN:アンプの歪みキャラとぶつかるなら下げる
- RVB:環境に合わせて最小限
RETURNに入れる場合、アンプ側のキャビが“最終フィルター”になるので、IRの代わりにアンプ側の鳴りを活かす方向に寄せると作りやすいです。
ペダマニ的「ここが魅力」
- “ボードの出口”を一台で整理できる
アンプモデリング+IR+XLR DI OUTまで揃っているので、現場の出力先がPAでもFRFRでも「同じ完成形」を持ち込めます。環境差のストレスを減らしやすく、持ち替えや会場が多い人ほど効きます。 - A/B+3シーンがライブの切替に強い
クリーンと歪みをA/Bで分け、シーンで濃淡を作る運用がハマります。音色数を増やすより“同じ音の延長線”で切り替えられるため、曲中の一貫性が保ちやすいです。 - USBオーディオで「録る」までが速い
PC接続でエディットと録音導線をまとめられるので、宅録やデモ制作が止まりにくいです。機材を増やさず、ギターを弾く時間に直結しやすいのが地味に強いです。
注意しておきたいポイント
- つまみの役割が“モード依存”で混乱しやすい
BOOSTやN.R.が通常時はEFX/ゲート、Alt時はリバーブ操作に割り当たるため、慣れるまでは「今どの操作系か」を見失いがちです。まずは通常運用で基準音を固め、Altは必要になってから触る方が事故が減ります。 - 直出しはIRとレベル設計がすべて
直PA/直録りは、IR選定と最終EQ、そして出力レベルの作り方で評価が決まります。入力が過大だと“ペダルの歪み”ではなく“入力段の破綻”になりやすいので、まず適正レベルを作ってから音色を詰めるのが安全です。 - アンプのインプット前に置く運用はハマりにくい
アンプ+キャビの質感まで作る設計なので、通常のギターアンプ入力に入れると帯域や質感が二重になりやすいです。アンプと併用するならRETURN/パワーアンプ入力寄りで運用し、IRは状況に合わせて切り替えるのが現実的です。
機種の仕様
| メーカー | NUX |
| 製品名 | Amp Academy(NGS-6) |
| エフェクトタイプ | プリアンプ/アンプシミュレーター(キャビIRローダー搭載)+内蔵エフェクト(NR/EFX/EQ/RVB)+S/R(インサート) |
| コントロール | GAIN:アンプモデルのゲイン/歪み量 MASTER:アンプモデルの音量 BOOST:通常時=EFXブロックの主要パラメータ、Alt時=リバーブDECAY N.R.:通常時=ゲート感度(SENS)、Alt時=リバーブMIX BASS:低域の調整 MIDDLE:中域の調整 TREBLE:高域の調整 PRESENCE:プレゼンス(アンプモデルにより挙動が変化) Aトグル:A側アンプモデル選択(3種) Bトグル:B側アンプモデル選択(3種) SCENEトグル:S1〜S3選択 A/Bフットスイッチ:A/B切替(長押しで保存) SCENEフットスイッチ:シーン切替(長押しでAltモード) |
| 接続端子 | INPUT:標準フォーン(ギター入力) OUTPUT:標準フォーン(1/4アウト) INSERT:TRS(インサートS/R、付属YケーブルでSEND/RETURN化) DI OUT:XLR(バランス出力) DI GND LIFT:XLR用グランドリフトスイッチ IR OUT:1/4アウトのIR ON/OFFスイッチ AUX IN:3.5mm(練習用の外部音源入力) PHONE:3.5mm(ヘッドホン出力) USB:USB(エディタ/ファーム更新/USBオーディオ) DC IN:9V AC アダプター用ジャック |
| 電源 | AC アダプター |
| 消費電流 | おおよそ 300 mA(DC 9V 時) |
| 入出力レベル/インピーダンス | 入力インピーダンス:1 MΩ 出力インピーダンス:1 kΩ |
| 外形寸法・重量(目安) | 幅:115 mm 前後 奥行:105 mm 前後 高さ:58 mm 前後 質量:約 440 g 前後 |