UAFX Ruby ’63 Top Boost Amplifier は、ブリティッシュ系“トップブースト”サウンドを、ペダル1台でステージ/宅録どちらにも持ち込めるアンプエミュレーターです。単にアンプっぽい歪みを作るだけでなく、キャビネット/マイク/ルームまで含めた「録り音の完成形」を狙えるのが強み。クリーンの鈴鳴り感から、粘って歌うドライブ、さらにクラシックなビブラート系までを一気通貫で組めるため、直出し運用の“基準アンプ”として据えやすい1台です。
[Universal Audio] UAFX Ruby ’63 Top Boost Amplifier|ペダマニレビュー
どんなペダル?
Ruby ’63 は「VOX系の名機を“現場で使える完成音”として持ち歩く」ためのアンプエミュレーターです。アンプの挙動だけでなく、キャビネット/マイク/ルームの要素まで含めて作り込まれているため、PAやオーディオIFに直で入れても“それっぽい”ではなく“録って成立する”方向に着地しやすいのがポイントです。
操作体系も実戦寄りで、基本はノブで音を作りつつ、スイッチでチャンネル(Normal/Brilliant/Vibrato系)やスピーカー系統を切り替える発想。加えて、アプリ連携でプリセット管理やフットスイッチ動作の最適化ができるので、ライブでは「曲ごとに切替」、宅録では「気に入った音を保存して再現」という運用が組みやすい設計です。
また、入出力がステレオ対応のため、空間系を後段に置いた“直出しボード”にも組み込みやすいです。単体で完結させてもいいし、既存ボードの中で「アンプ部だけ置き換える」使い方も成立します。
サウンドの特徴(鈴鳴りクリーンと粘るトップブースト・ドライブ)
Ruby ’63 の核は、ブリティッシュ系らしい“きらめき”と“押し出し”の両立です。クリーンでは、弦の分離感と倍音の立ち上がりが気持ちよく、アルペジオやカッティングで音が前に出やすい。いわゆる「鳴ってるだけで曲になる」タイプの質感を作りやすいです。
歪み側は、ゲインを上げるほどコンプレッションと粘りが増していく方向で、ザクザクというより“歌う”ニュアンスが得意。ピッキングの強弱に対して破綻しにくく、ギター側のボリューム操作でクリーン〜クランチを行き来する運用とも相性が良いです。クリーンを作っておいて、手元で歪ませるだけで曲のダイナミクスが整うのは実戦的に大きいところです。
EQ面は少しクセがあり、Bass/Trebleが一般的なEQと同じ感覚で効くわけではありません。特にBrilliant側では「回し方で意図が逆になりやすい」ため、最初は“音を足す”より“余計な帯域を整理する”感覚で触ると狙いに近づきやすいです。結果として、PA直やモニター環境に合わせた追い込みがしやすく、直出し機材としての完成度が上がります。
使い勝手・セッティングのイメージ
王道の鈴鳴りクリーン(直出し基準)
- VOLUME:10〜12時
- CUT:10〜12時
- OUTPUT:12時(基準)
- BASS:11〜13時
- TREBLE:11〜13時
- BOOST:OFF
クリーンの“整った完成音”を作る基本形です。まずはOUTPUTを基準にして、会場やモニターで「高域が刺さるならCUT」「ローが膨らむならBASS側」を優先して整えると、迷いが減ります。
トップブーストのクランチ(バンドで抜ける)
- VOLUME:13〜15時
- CUT:11〜13時
- OUTPUT:原音と同じ〜少し上
- BASS:10〜12時
- TREBLE:10〜12時
- BOOST:10〜12時
ブリティッシュ系の美味しい“歪み始め”を作る方向です。BOOSTは上げすぎると前に出すぎることがあるので、まずは薄めに足して「中域の押し出し」を狙うと扱いやすいです。
歌うリード(粘りと伸び)
- VOLUME:14〜16時
- CUT:10〜12時
- OUTPUT:バンド内で一歩前に出る程度
- BASS:11〜13時
- TREBLE:10〜12時
- BOOST:12〜14時
単音が前に出る“粘り”を優先する設定です。リードで高域が痛い場合はTREBLEではなくCUTを触る方が自然にまとまりやすいです。
ペダル前段で“アンプ感”を足す(アンプ併用)
- VOLUME:11〜13時
- CUT:12時
- OUTPUT:原音と同じ
- BOOST:OFF〜10時
アンプに突っ込む用途では、作り込み過ぎるより「弾いたときの反応が気持ちいい」ポイントを探すのが勝ち筋です。まずはBOOSTを切って、VOLUMEとCUT中心で“触感”を整えると破綻しにくいです。
ペダマニ的「ここが魅力!」
- 直出しでも“録り音の完成形”に寄せやすい
アンプだけでなくキャビネット/マイク/ルームまで含めた前提で作られているため、PAやIFに直で入れても音の着地点が作りやすいです。「会場が変わるたびに音が崩れる」を減らせるのは、現場目線ではかなり大きいです。 - クリーン〜クランチの気持ちよさが“手元”で作れる
ギター側のボリュームやタッチに対して反応が素直で、手元操作でダイナミクスが付けやすいタイプです。足元のスイッチ連打より、演奏で展開を作りたい人ほど恩恵が出ます。 - ボードの基準アンプとして据えやすい
ステレオ対応、アプリでプリセット管理、フットスイッチ動作の最適化と、運用設計の自由度が高いです。要するに「ちゃんと詰めれば、ちゃんと楽ができる」優等生です。
注意しておきたいポイント
- 電源は“400mA級”前提で計画が必要
小型ペダル感覚で電源を流用すると、動作不安定やノイズの原因になり得ます。ボード常設を狙うなら、最初にアイソレート電源と容量を確保しておく方が安全です。 - EQの感覚が一般的なペダルとズレる
特にBrilliant側のBass/Trebleは「足す」より「整理する」方向で効かせるとハマりやすいです。最初に“いつものEQ感覚”で触ると、狙いと逆方向に動いたように感じることがあります。 - フットスイッチモード次第で運用が変わる
オン/オフ、プリセット切替、ブースト切替など、役割をどう割り当てるかで使い勝手が大きく変わります。最初に「ライブで何回踏むか」を決めてから設定すると、機材が急に“仕事ができる子”になります。
機種の仕様
| メーカー | Universal Audio |
| 製品名 | UAFX Ruby ’63 Top Boost Amplifier |
| エフェクトタイプ | プリアンプ/アンプシミュレーター(キャビネット/マイク/ルームシミュレーション搭載) |
| バイパス方式 | トゥルーバイパス(アプリでバッファードバイパスへ切替可/バイパス時はアナログ・ドライスルー) |
| コントロール | VOLUME:アンプ側のボリューム(ゲイン/歪み感) CUT:高域を抑える(パワー段側の高域成分を整えるイメージ) OUTPUT:最終出力レベル(ポストアンプ) BASS / ROOM:AMP時=低域の調整、ALT時=ルーム量(空気感の付与) TREBLE / SPEED:AMP時=高域の調整、ALT時=ビブラート速度 BOOST / INTENSITY:AMP時=ブースト量(チャンネルに応じて質感が変化)、ALT時=ビブラート深さ SPEAKER:キャビ/マイク切替(LED消灯=キャビシムなし) CHANNEL:NORM / BRIL / VIB 切替 ALT / AMP / STORE:ALT=ビブラート編集、AMP=通常、STORE=プリセット保存 フットスイッチ(左/右):Live/Presetの切替・割り当て(アプリでモード変更可) |
| 接続端子 | INPUT 1/2:標準フォーン(アンバランスTS、2はステレオ/4ケーブル用) OUTPUT 1/2:標準フォーン(アンバランスTS、2はステレオ/4ケーブル用) USB-C:登録/ファームウェア更新用 PAIRボタン:Bluetoothペアリング/グローバル設定 DC IN:9V DC アダプター用ジャック(センターマイナス) |
| 電源 | AC アダプター(センターマイナス) |
| 消費電流 | おおよそ 400 mA(DC 9V 時) |
| 入出力レベル/インピーダンス | 入力インピーダンス:500 kΩ (モノラル)、1 MΩ (ステレオ) 出力インピーダンス:500 Ω |
| 外形寸法・重量(目安) | 幅:92 mm 前後 奥行:141 mm 前後 高さ:65 mm 前後 質量:約 567 g 前後 |