Hall of Fame 2 Reverb は、定番リバーブをコンパクト筐体に集約しつつ、TonePrint(アーティスト設定やエディット)とMASH(踏み込み圧でパラメータを連続操作)まで載せた“実戦型リバーブ”です。ノブはDECAY/TONE/LEVELの3つが中心で、リバーブ初心者でも迷いにくい一方、SHIMMERやMOD、TonePrintスロット(3枠)で“曲に合わせたキャラ作り”もできる。ライブでも宅録でも「とりあえずこれを基準にしておけば破綻しにくい」タイプの1台です。
[TC Electronic] Hall of Fame 2 Reverb|ペダマニレビュー
どんなペダル?
Hall of Fame 2 は、いわゆる“万能リバーブ”の完成形に近い立ち位置です。ROOM/HALL/SPRING/PLATE/CHURCHといった王道に、MODやLoFi、そしてSHIMMERまでを1台にまとめ、さらにTonePrintで「好きなセッティングを呼び出す」「中身のパラメータまで追い込む」ことができます。派手な多機能機というより、“現場で使う機能に絞って強い”設計なのがポイントです。
使い方の基本はシンプルで、リバーブタイプを選んで、DECAYで長さを決め、TONEで暗い〜明るいのバランスを取り、LEVELで混ぜるだけ。ここにPRE-DELAYスイッチが効いてきて、原音のアタックを残したまま奥に配置しやすい。さらにMASHを使えば、踏み込みの強さでリバーブ量や別パラメータを“演奏中に”動かせます。言い換えると、ノブは少ないのに「やれることは多い」タイプです。
接続はステレオ入出力対応で、アンプ前・FXループ・ライン運用まで想定されています。バイパスもTrue/Buffered切替ができるので、ボード全体の構成に合わせて「音や信号の安定」を取りにいけるのも実務的です。
サウンドの特徴(王道〜シマーまで、輪郭を残す高品位リバーブ)
Hall of Fame 2 の音作りは、“リバーブが主役になりすぎないのに、空気感はしっかり出る”方向が得意です。ROOMやHALLは、原音の輪郭を残しつつ後ろに広がるタイプで、バンドの中でも埋もれにくい。プレートは明るさと密度が出しやすく、クランチ〜歪みのリードでも「前に出つつ、後ろが豪華」になりやすいです。SPRINGはアンプ系の“跳ね返り”の雰囲気を足せるので、クリーンや軽いドライブのニュアンス作りに向きます。
CHURCHは残響が大きく、広さの演出が得意ですが、使い方を間違えると“全員を同じ大聖堂に連行”しがちです。ここでPRE-DELAYが効きます。プリディレイを長めにすると、原音の存在感が前に残り、リバーブが後ろで鳴る距離感になるため、重い残響でも輪郭が消えにくい。特に歌モノのバッキングや、フレーズの速いリードでは、この“分離感”が音作りの勝敗を分けます。
SHIMMERは、空間を「広げる」だけでなく「上に伸ばす」質感が作れる枠です。うっすら混ぜればアンビエントの下地、濃くすればシンセ的な浮遊感までいける。ただし、上物が増える分だけ帯域の取り合いも起きやすいので、TONEを暗めに寄せて“耳に刺さる成分”を整えておくと実戦向きになります。MODは揺れ成分で空気が動くタイプ、LoFiは輪郭を意図的に崩して“映画の回想シーン”みたいな質感を作るのに向いています。
使い勝手・セッティングのイメージ
まずは「常用の基準」と「演出用」を分けるのがコツです。Hall of Fame 2 は、その分業がやりやすい(TonePrintスロットもある)ので、最初にここを決めると迷いが減ります。
常用:薄く奥行きを足す(バンドで邪魔しない)
- タイプ:ROOM or HALL
- DECAY:9〜11時
- TONE:11〜13時(明るすぎるなら下げる)
- LEVEL:9〜10時
- PRE-DELAY:短め(原音に自然に寄せる)
常用は「効いてるけど気づかれない」くらいが強いです。LEVELを上げるより、TONEで馴染ませる方が事故りにくい。
リード:前に出るプレート(抜けと密度)
- タイプ:PLATE
- DECAY:10〜12時
- TONE:12時前後
- LEVEL:10〜12時
- PRE-DELAY:長め(アタックを残す)
リードはPRE-DELAYで“前後の距離”を作ると、リバーブを上げても音が引っ込みにくいです。
アンビエント:シマーを薄く敷く
- タイプ:SHIMMER
- DECAY:12〜15時
- TONE:9〜11時(耳に痛い帯域を抑える)
- LEVEL:9〜11時(まず薄め)
- PRE-DELAY:曲に合わせて
シマーは濃くすると気持ちいい反面、編成次第で一気に主役を取りに来ます。最初は薄く、必要ならMASHで“必要な瞬間だけ増やす”のが現場向き。
MASH活用:サビだけ広げる/アウトロだけ長くする
- 普段はLEVEL控えめ
- 踏み込みでLEVEL(または別パラメータ)を増やす
MASHは「常時ONでノブを増やす」より、「ここだけ盛る」用途がハマります。演出が増えるのに、足元は増えない。現場で一番ありがたいやつです。
ペダマニ的「ここが魅力」
- “3ノブ中心”なのに、音作りの着地点が早い
DECAY/TONE/LEVELの役割が明確で、まず基準音がすぐ作れます。リバーブは深追いし始めると沼ですが、Hall of Fame 2は「迷う前に良い音に着地する」設計で、音作りの工数が読めるのが実務的です。 - TonePrint 3枠で、現場の“使う音”だけを並べられる
リバーブは曲ごとに最適解が違うのに、毎回ノブを合わせ直すのが地味に面倒です。3つのTonePrintスロットがあると、常用・リード・アンビエントなど「自分の定番セット」を固定でき、セッティングの再現性が一気に上がります。 - MASHが“足元の表現力”を増やす
踏み込み圧でパラメータを連続操作できるので、サビだけ広げる/アウトロだけ伸ばす、といった演出がスイッチひとつで成立します。プレイヤーの仕事が増えるのではなく、演出だけ増えるのがポイントです。
注意しておきたいポイント
- 電源は“余裕ある供給”が前提
消費電流は大きめなので、ボード電源の1口が100mA級だと厳しいケースがあります。安定動作のためにも、仕様に合った容量(余裕込み)で供給できる電源計画を先に固めるのが安全です。 - シマー/深い残響は、帯域と距離感の設計が必須
広げたい気持ちは分かりますが、広げるほど前に出る楽器が減ります。TONEを暗めに寄せる、PRE-DELAYで原音の居場所を確保するなど、“混ぜ方のルール”を決めるとバンド内で破綻しにくいです。 - True/Bufferedの切替は、ボード全体で考える
単体での良し悪しではなく、ケーブル長やバッファの有無で最適解が変わります。症状(高域が落ちる/ノイズが増える/踏み替え時の違和感)を基準に、ボード単位で決めるのが合理的です。
機種の仕様
| メーカー | TC Electronic |
| 製品名 | Hall of Fame 2 Reverb |
| エフェクトタイプ | リバーブ(デジタル) |
| バイパス方式 | トゥルーバイパス(バッファード切替可) |
| 搭載モード | ROOM/HALL/SPRING/PLATE/CHURCH/SHIMMER/MOD/LOFI/TonePrint×3 |
| コントロール | DECAY:リバーブの残響時間(リバーブの長さ) TONE:リバーブ成分の明るさ調整(暗い〜クリスプ) LEVEL:リバーブ音量(原音に対するミックス量) REVERB TYPE:リバーブタイプ選択(TonePrint含む) PRE-DELAY:原音からリバーブが立ち上がるまでの時間を切替(長めにすると輪郭が残りやすい) FOOTSWITCH(MASH):ON/OFF+踏み込み圧で割り当てパラメータを連続操作 |
| 接続端子 | INPUT:標準フォーン OUTPUT:標準フォーン USB(micro B):ファーム更新用/TonePrint関連 DC IN:9V AC アダプター用ジャック |
| 電源 | 9V 角型電池 AC アダプター |
| 消費電流 | おおよそ 100 mA(DC 9V 時) |
| 入出力レベル/インピーダンス | 入力インピーダンス:1 MΩ 出力インピーダンス:100 Ω |
| 外形寸法・重量(目安) | 幅:72 mm 前後 奥行:122 mm 前後 高さ:50 mm 前後 質量:約 300 g 前後 |