Belle Epochは、ジミー・ペイジやヴァン・ヘイレンといった名ギタリストが愛用した伝説的なテープエコー装置「Maestro Echoplex EP-3」のテープエコー的な質感と挙動(揺らぎ、飽和、ディレイタイム操作のクセ)を、ペダルボードで使える形に落とし込んだ1台です。タップテンポや多機能メニューはありません。その代わり、Mix/Echo Sustain/Echo Delay/Tone/Record Levelの“要点だけ”で、薄い奥行きから発振前後の演出まで直感的に作れます。テープエコーを「雰囲気」ではなく「武器」にしたい人向けの、シンプルに強いタイプです。
[Catalinbread] Belle Epoch|ペダマニレビュー
どんなペダル?
Belle Epochは、EP-3系テープエコーの“気持ちいい不安定さ”を狙って作れるディレイです。最大の特徴は、単に温かいディレイが出るだけでなく、操作に対する反応が「テープ機っぽい」こと。特にEcho Delay(ディレイタイム)を動かしたときの“追従のクセ”がポイントで、ディレイタイムがスパッと切り替わるのではなく、少し遅れて変化する挙動があり、発振中に触ると独特のピッチ変化が作れます。
操作は5ノブで完結します。基本は、Echo Delay(間隔)とEcho Sustain(繰り返し量)で土台を作り、Mixで混ざり方を決め、Toneでエコー成分の明るさを調整。最後にRecord Levelで“テープに強く当てたときの飽和感”を付けられるので、クリーンの奥行きから、太く歪んだエコーまで幅が出せます。
なお、タップテンポやプリセットはありません。逆に言えば「いつも同じ手触りで、手元のツマミで詰める」運用に向いています。
サウンドの特徴(EP-3系の粘りと“揺れる輪郭”)
Belle Epochの美味しさは、リピートが前に出すぎず、でも“存在感だけは残る”ところです。デジタルのクリアさとは別ベクトルで、エコーにわずかな丸さと粘りが乗り、ギターのアタックを邪魔せずに奥行きを作れます。歌モノのバッキングで、ディレイを派手に聴かせないのに「音が痩せない」方向に持っていきやすいのが強みです。
Record Levelを上げると、エコー成分に太さと軽い歪み(飽和)が乗ってきます。ここが“ただのテープ風味”で終わらないポイントで、ブーストを入れたときのようにエコーが太く前に出るため、ソロの後ろで鳴らすと粘りが増して聴感上の押し出しが上がります。
Echo Sustainを上げていけば、自己発振まできれいに繋がるので、アウトロや間奏での「盛り上げポイント」も作れます。発振させる場合は、Mixを上げすぎず、Sustain(繰り返し量)を主役にしてコントロールすると、音量事故を起こしにくいです。
使い勝手・セッティングのイメージ
このペダルは「薄掛け常用」と「演出用」を分けると分かりやすくなります。まず常用の基準を作り、次に演出用の“上げ幅”を把握する流れで操作すると掴みやすいはずです。
基準(奥行きだけ足す、歌モノ向き)
- Mix:9〜10時
- Echo Sustain:9〜11時(2〜3回くらいで収束)
- Echo Delay:300〜450ms目安
- Tone:11〜1時(明るすぎるなら下げる)
- Record Level:控えめ(まずは低めで)
リード(ソロや間奏で“それっぽさ”を出す)
- Mix:10〜12時
- Echo Sustain:11〜1時(余韻を伸ばす)
- Echo Delay:テンポに合わせて
- Tone:曲の帯域に合わせて(抜けが欲しければ上げる)
- Record Level:上げて太さを足す(上げすぎると飽和が強くなる)
発振演出
- Echo Sustain:発振手前〜発振
- Mix:上げすぎない(音量事故防止)
- Echo Delay:触って“ピッチが滑る”ポイントを作る
発振は常用より「ここだけ」の方が強いです。曲の最後、間奏の頭など、使う場所を決めておくと武器になります。
置き場所の目安
- 歪みの後:完成した音にテープ感と奥行きを足せて、実戦的で安定
- 歪みの前:歪みのかかり方も含めて“汚れた反応”が出る(狙いがある人向け)
まずは歪み後で基準を作ってから、必要なら前段も試す順番が安全です。
ペダマニ的「ここが魅力」
- 余計な機能がないから、音作りが速い
タップやメニューがない分、ツマミの役割が明確で、現場の「とりあえず良い位置」までの到達が早いです。結果として“使う時間”が増えます。 - Record Levelで、エコーの太さと粘りを足せる
リピートが太くなるので、バッキングの奥行きだけでなく、ソロの後ろで「粘る余韻」まで作りやすい。EP-3系の旨味がここに凝縮されています。 - 発振が“演出”として成立しやすい
Echo Sustainの上がり方が扱いやすく、発振前後のコントロールがしやすいので、アウトロの盛り上げや、間奏で景色を変える用途に向きます。
注意しておきたいポイント
- タップテンポ/プリセットは無い
曲ごとにテンポ同期を厳密にやる人は不向きです。一方で、常用の奥行き・手弾きでニュアンスを作る用途なら、このシンプルさが武器になります。 - Mixを上げすぎると、バンド内で“ディレイが主役”になりやすい
特にコードバッキングはMix控えめが安定です。存在感はSustainとToneで作る方が、アンサンブルが崩れにくいです。 - 発振運用は音量設計が必須
Sustainを上げるほどリスクも上がります。現場で使うなら「発振手前の安全域」を先に把握しておくのがプロ仕様です。
機種の仕様
| メーカー | Catalinbread |
| 製品名 | Belle Epoch |
| エフェクトタイプ | ディレイ(テープエコー系/デジタル) |
| バイパス方式 | トゥルーバイパス(トレイル対応に切替可・内部スイッチ) |
| コントロール | Mix:エコー音量(原音とのミックス) Echo Delay:ディレイタイム Echo Sustain:繰り返し量(フィードバック) Tone:エコー成分の明るさ Record Level:エコー成分の録音レベル(飽和感/太さの調整) 内部トリム:ゲイン調整(Internal gain pot) |
| 接続端子 | INPUT:標準フォーン OUTPUT:標準フォーン DC IN:9V AC アダプター用ジャック |
| 電源 | AC アダプター |
| 消費電流 | おおよそ 60 mA(DC 9V 時) |
| 入出力レベル/インピーダンス | 入力インピーダンス:1 MΩ 出力インピーダンス:10 kΩ |
| 外形寸法・重量(目安) | 幅:60 mm 前後 奥行:110 mm 前後 高さ:50 mm 前後 質量:約 185 g 前後 |