Ibanez TS MINI(Tube Screamer MINI)は、伝統的なTube Screamerのキャラクターを保ったまま、ペダルボードに組み込みやすいサイズへ凝縮したコンパクト・オーバードライブです。中域が前に出る“ミッドブースト”の質感で、クリーンを押して心地よく歪ませたり、ハイゲインの前段でローを締めて輪郭を出したりと、バンドの中で「抜ける歪み」を作りやすいのが持ち味。操作はOVERDRIVE/TONE/LEVELの3ノブで迷いにくく、必要なポイントだけを最短で押さえられる実戦型の1台です。
[Ibanez] Tube Screamer MINI|ペダマニレビュー
どんなペダル?
TS MINIは、Tube Screamer系の“定番の仕事”を小型筐体でそのまま持ち出す思想のオーバードライブです。音作りの方向性は明快で、「歪みを足す」だけでなく「中域を整えて前に出す」「ローをタイトにしてアンサンブルで埋もれにくくする」といった、現場で効く役割を担いやすい設計になっています。
スイッチングはトゥルーバイパスで、オフ時は余計な色付けを避けたいボードにも合わせやすいタイプです。端子配置は一般的なIbanezコンパクト系と同様に扱いやすく、入力が右、出力が左のレイアウトなので、ボード配線も素直に組めます。ミニサイズでも“実戦導線”が崩れにくいのがポイントです。
サウンドの特徴(中域ブーストでアンプを気持ちよく押す)
TS MINIの核は、Tube Screamerらしい中域の押し出しと、低域を整理してくれるタイトさです。クリーン〜クランチのアンプに挿すと、ピッキングの芯が立ち、コードは輪郭がまとまりやすくなります。単音は粘りが出やすく、歌うようなリードを作る方向に素直です。
歪み量は極端に飽和するタイプというより、「アンプを押して気持ちよく歪ませる」方向が得意。特に、すでに歪んでいるアンプやディストーションの前段に置くと、ローのダブつきが整理され、リフの粒立ちと抜けが作りやすくなります。結果として、音量を上げなくても“前に出る”状態を作りやすいのがTube Screamer系の強みで、TS MINIはその美味しいところをコンパクトに実装した印象です。
使い勝手・セッティングのイメージ
つまみは OVERDRIVE / TONE / LEVEL の3つだけで非常にシンプルです。
クリーンブースト寄りの押し出し
- DRIVE:10〜11時
- TONE:11〜12時
- LEVEL:原音と同じか、やや持ち上げる
歪みは控えめに、LEVELでアンプを押して中域の芯を前に出す基本形です。ジャキつく場合はTONEを少し下げ、埋もれる場合はTONEを上げて抜けを作ります。
王道TSドライブ
- DRIVE:12〜14時
- TONE:11〜13時
- LEVEL:12時前後
ペダル単体でクランチ〜リードの入口を作る設定です。バンドでローが膨らむときはTONEより先にアンプ側のローを少し抑えると、TSらしい“まとまり”が出やすいです。
ハイゲイン前段のタイトニング
- DRIVE:7〜9時
- TONE:12〜14時
- LEVEL:13~15時
歪みは増やさず、輪郭と抜けを足す目的の使い方です。ローのダブつきを抑えつつ、ピッキングのアタックを前に出したいときに有効。メタル〜ラウドの実戦で強い運用です。
リードの伸びを作る
- DRIVE:13〜15時
- TONE:10〜12時
- LEVEL:12~14時
単音の粘りと歌い方を作る方向です。TONEを下げすぎると埋もれやすいので、まずは12時付近から微調整すると失敗しにくいです。
ペダマニ的「ここが魅力!」
- 小型でもTube Screamerの役割がそのまま成立する
省スペース筐体でも、ミッドの押し出しとローの整理という“TSの仕事”が崩れにくいのが魅力です。ボードが手狭でも、音の抜けを作る要所として入れやすく、「あと1台入れたい」の現場ニーズに応えてくれます。 - 3ノブで着地点が早い
OVERDRIVE/TONE/LEVELの王道構成なので、迷うポイントが少なく、現場での追い込みが速いです。特にTS系は「歪ませる」より「押し出しを作る」用途が多いですが、LEVEL中心で組み立てるだけで結果が出やすいのが強みです。 - トゥルーバイパスでスポット運用しやすい
必要なときだけ踏んでキャラクターを足す運用に向いています。常時オンの整音にも、ソロだけのブーストにも対応しやすく、ボード内での役割を固定しやすいタイプです。
注意しておきたいポイント
- 電池駆動ができない
ミニ筐体の都合で電池は使えず、9Vセンターマイナスの外部電源が前提です。ボード電源に組み込むなら、空きポートと極性の確認を先に済ませておくと導入がスムーズです。 - TONE次第で抜け方が大きく変わる
TS系は中域が前に出るぶん、TONEのわずかな調整で「刺さる/こもる」の印象が動きやすいです。まずは12時近辺から始めて、バンドの帯域に合わせて少しずつ寄せると失敗しにくいです。 - 歪みを足すより整える使い方の方がハマりやすい
単体で強い歪みを作るより、アンプや歪みペダルを“気持ちよく鳴らす前段”として使うと評価が上がりやすいです。特にハイゲイン前段では、歪み量を増やさずLEVELで押す方が、輪郭と抜けが安定します。
機種の仕様
| メーカー | Ibanez |
| 製品名 | TS MINI(Tube Screamer) |
| エフェクトタイプ | オーバードライブ(アナログ) |
| コントロール | OVERDRIVE:歪み量 TONE:音色の明るさ LEVEL:出力レベル |
| 接続端子 | INPUT:標準フォーン(ギター入力) OUTPUT:標準フォーン(アンプ/次段エフェクターへ) DC IN:9V AC アダプター用ジャック(センターマイナス) |
| 電源 | ※電池使用不可 AC アダプター(センターマイナス) |
| 消費電流 | おおよそ 18 mA(DC 9V 時) |
| 入出力レベル/インピーダンス | 入力インピーダンス:500 kΩ 出力インピーダンス:10 kΩ |
| 外形寸法・重量(目安) | 幅:51 mm 前後 奥行:93 mm 前後 高さ:56 mm 前後 質量:約 292 g 前後(電池含む) |