VOX V845 Wah Pedal は、クラシックな VOX ワウの系譜を引き継ぎつつ、価格と扱いやすさを重視したエントリーモデルです。伝統的なワウ特有の「かまぼこ型」のスイープカーブを持ちながら、余計な機能をそぎ落としたシンプル設計で、初めてワウを導入するギタリストでも直感的に扱えます。クリーン〜軽いクランチのカッティングや、泣きのリードに“定番VOXワウ感”を足したいときにちょうどいい一台です。
[VOX] V845 Wah Pedal|ペダマニレビュー
どんなペダル?
V845 は、VOX ワウのクラシックなキャラクターをベースにしながら、コストパフォーマンスとシンプルさに振ったモデルです。より上位機種の V847 系にあるような細かなチューニング機能やバッファー調整などは持たず、「踏めば VOX らしいワウが鳴る」ことに特化した設計になっています。
見た目はおなじみの VOX ワウ筐体で、フットボードを踏み込んでオン/オフ、つま先〜かかと方向の動きでフィルターのピークをスイープする伝統的なスタイルです。内部にはインダクターを中心としたアナログフィルター回路が組まれており、クリーンに足せば“70年代ロック〜ファンク系”のニュアンスを、クランチに足せば「泣きのリード」方向の表情を簡単に作ることができます。
機能的にはごくスタンダードなワウですが、そのぶんクセが少なく、ボードに一台「定番ワウ」を入れておきたい場合の入り口としてかなり現実的な選択肢です。
サウンドの特徴(中域が前にせり出すクラシックVOX系ワウ)
V845 のサウンドは、VOX らしい中域のピークが前に出るクラシックワウ系のキャラクターです。踏み込む位置によって、やや暗めのローワウから、鼻にかかったようなハイワウまで連続的に変化し、カッティングではリズムのアクセント、リードでは音の“泣き”を強調する役割を果たします。
つま先側まで踏み込んだときのピークは比較的高めで、ハイ寄りの「キュッ」としたニュアンスが得られます。一方、かかと寄りに戻すとロー〜中域寄りのワウになり、ファンク的な16分カッティングで“ワカチコ感”を出すのにちょうどいい帯域感です。
TS系オーバードライブの前に置いてクランチ〜ドライブを軽く作っておくと、踏み込み位置によってバッキング寄りのトーンから、ソロ専用の鼻づまり系リードまで、足元の操作だけで幅広くカバーできます。ハイファイ過ぎず、ほどよくローファイなテイストが残っているので、ジャキジャキしすぎないクラシック寄りのワウを求めている人に向いたキャラクターです。
使い勝手・セッティングのイメージ
シンプル操作で“16分カッティング〜泣きのリード”までカバー
V845 にトーンノブはなく、ワウのかかり具合はほぼ踏み込み位置で調整します。そのぶん、セッティングで迷う要素が少なく、実際の現場では「どれだけ踏み込むか」に集中できるのが利点です。
クリーンカッティング用セッティング
- アンプ:クリーン〜ごく軽いクランチ
- 歪みペダル:オフ、または軽めのクランチ
- フットボード:
- 基本はかかと寄り〜中間を中心に踏む
- フレーズの終わりに少しつま先寄りへ動かしてアクセント
この使い方では、V845 はカッティングのグルーヴ感を強調する役割になります。コードの頭や裏拍で踏み込み位置を少し変えることで、シンプルなコード進行でも“動き”が出やすくなります。
泣きのリード用セッティング
- アンプ:クランチ
- 歪みペダル:オーバードライブ〜ミディアムゲイン程度
- フットボード:
- フレーズの始まりをかかと寄り
- 伸ばしたい音やチョーキングでつま先側へ踏み込む
チョーキングやロングトーンに合わせて、かかと→つま先へゆっくり踏み込みながら弾くと、ギターが“歌っている”ようなニュアンスが強調されます。特にペンタ系のフレーズと相性が良く、フレーズ自体はシンプルでも、ワウの踏み方で表情を付けやすくなります。
常時オン気味の“フィルター”として薄くかける
DEPTH や MIX を弄れない分、V845 で常時オンに近い運用をする場合は、踏み込み位置で“薄くかけるポイント”を自分の中で決めておくと使いやすいです。中間よりややかかと寄りの位置で固定気味に使うと、ほんのりミッドが前に出たトーンになり、ソロ時にだけ足の動きを大きくして揺れを強める、といったメリハリの付け方もできます。
ペダマニ的「ここが魅力」
- 定番VOXワウのキャラクターを“まず1台”で体験できるエントリーモデル
V845 最大の魅力は、「VOX ワウってどんなものか」を無理のない価格帯で体験できる点です。多機能ではないぶん、クラシックな VOX 系ワウのエッセンスに絞り込まれており、「とりあえず王道ワウを一本持っておきたい」という最初の一本としてかなり現実的な選択肢になっています。 - シンプルな構成でライブ現場でも迷いにくい
追加スイッチやモード切り替えなどがないため、ライブ中に踏み間違えたり、モードを間違えたりする心配が少ないのも実務的なポイントです。オン/オフと踏み込み量だけに集中できるので、“足で表現する”ことに意識を持っていきやすく、ワウに不慣れなプレイヤーでも現場に持ち込みやすい構成と言えます。 - クリーン〜軽い歪みとの相性が良く、ボードの守備範囲を広げてくれる
V845 はハイゲインの前段で激しいソロをするよりも、クリーン〜ミディアムゲインの領域で真価を発揮するタイプです。既にオーバードライブやディレイは揃っているボードに V845 を一本足すだけで、カッティングの幅やリードの表現力がかなり広がるため、「今の音にもうひと味欲しい」と感じているギタリストには良いアクセントになってくれます。
注意しておきたいポイント
- ハイファイなモダンワウではなく“クラシック寄り”のキャラクター
V845 は、レンジの広いモダンワウというより、クラシックな VOX 系ワウのキャラクターに寄ったペダルです。ハイがキラキラするハイファイ系サウンドを期待すると、「思ったよりもローファイ寄り」と感じる可能性があります。逆に、70年代ロックやファンク系の“ちょいくすんだワウ”が好きならハマりやすいチューニングです。 - 歪み量が多すぎるとワウの輪郭が埋もれることがある
これは多くのワウに共通しますが、ハイゲインディストーションの前段に V845 を置き、強く歪ませた状態で踏むと、ワウのスイープが音作りの中で分かりにくくなる場合があります。V845 の良さを活かすなら、クリーン〜ミディアムゲイン程度の歪みと組み合わせるか、ハイゲインを使うときはワウのかけ方を少し控えめにした方がバランスを取りやすいです。 - ON/OFFの位置や踏み込み感は事前に“足慣らし”推奨
フットボード先端のスイッチ位置や踏み込みの重さは、人によって好みが分かれるポイントです。新品の状態では若干重めに感じることもあるため、ライブに持ち込む前に、自宅やスタジオで「どの位置まで踏み込むとスイッチが入るか」「踏み込み具合でどれくらい音が変わるか」を一度確認しておくと、現場でのミスが減ります。
機種の仕様
| メーカー | VOX |
| 製品名 | V845 Wah Pedal |
| エフェクトタイプ | ワウ(アナログ・フィルターペダル) |
| コントロール | ペダル操作:(ワウ・スイープ) 内部:トリム等が搭載されているロットもありますが、基本はシンプルな固定チューニング前提 |
| 接続端子 | INPUT:標準フォーン(ギター入力) OUTPUT:標準フォーン(アンプ/次段エフェクターへ) DC IN:9V DC アダプター用ジャック(センターマイナス) |
| 電源 | 9V 角型電池 AC アダプター(センターマイナス) |
| 消費電流 | おおよそ 0.5 mA(DC 9V 時) |
| 入出力レベル/インピーダンス | 入力インピーダンス:1 MΩ 出力インピーダンス:22 kΩ |
| 外形寸法・重量(目安) | 幅:102 mm 前後 奥行:252 mm 前後 高さ:75 mm 前後 質量:約 942 g 前後(電池含む) |