Electro-Harmonix POG2 は、原音を含めた複数オクターブを同時に重ねられるポリフォニック・オクターバーです。-2、-1、+1、+2オクターブに加え、アタックやローパスフィルター、デチューンまで個別にコントロールでき、オルガンライクなコードワークからシマー系アンビエント、分厚いリードトーンまで1台で対応可能。プリセットも搭載しており、ステージでもレコーディングでも「一人でアンサンブルを広げられる」タイプの多機能ペダルです。
[Electro-Harmonix] POG2|ペダマニレビュー
どんなペダル?
POG2 は、Electro-Harmonix が得意とするポリフォニック・オクターブ技術を詰め込んだ多機能オクターバーです。単純に「1オクターブ上下を足す」だけではなく、-2、-1、+1、+2オクターブそれぞれに専用スライダーが用意されており、原音とのバランスをスライダーで直感的に決められるのが大きな特徴です。
さらに、Attack スライダーで音の立ち上がりをスローにしたり、LP Filter で高域を丸くしてオルガンライクに仕上げたり、Detune でコーラスのような揺れを足したりと、単なるオクターバーというより「簡易シンセ/シマー・マシン」のような感覚で音作りができます。ポリフォニックトラッキングなので、コードを弾いても追従性が高く、アルペジオからストロークまで破綻しにくいのも実用的です。
本体にはプリセット機能も搭載されており、いくつかの“使える音色”をあらかじめ作って保存しておけば、ライブ中にスイッチ一つで切り替え可能。ソロ用オクターブ厚み付け、オルガンパッド、シマーアンビエントなど、役割の違うサウンドを1台でこなせるため、ボード上の「音色変化装置」としてかなり強力な一台です。
サウンドの特徴(コードにも強いポリフォニックで“重ねて作る”サウンド)
POG2 のサウンドは、トラッキングの速さとポリフォニック性が大きなポイントです。モノフォニック系オクターバーにありがちな「音が暴れる」「コードで破綻する」といった挙動が少なく、コードやアルペジオでも安定してオクターブが重なります。ポリフォニックシンセに近い感覚で、“ギター1本でパッド的な役割”を担えるのが特徴です。
-1 オクターブを薄く足すと、シンプルにローが太った“ファットなクランチ/リード”を作れます。-2 を足すとベースのようなローが加わり、トリオ編成などでボトムを補う用途にも対応可能です。一方、+1 や +2 を足すと、12弦ギターやオルガン的な響きに近づき、クリーンアルペジオに幻想的な倍音を加えることができます。
Attack と LP Filter の組み合わせによって、アタックを消してフィルターで高域を丸めると、エレピやオルガンに近いパッドサウンドになります。Detune を少しだけ足すと、太さと広がりが増して、シマー系アンビエントリバーブとの相性も良好です。逆に、Attack をゼロにして原音+-1 オクターブを中心にすれば、オクターブ付きリードとして比較的ストレートなロック〜フュージョン寄りの音も作れます。
使い勝手・セッティングのイメージ
クリーンアルペジオ用“12弦風シマーコーラス”
クリーンアルペジオにキラッとした倍音と奥行きを足したいときの設定です。アンビエント寄りのポップスやポストロックにも合うセッティングになります。
- DRY:8〜9割程度残す
- -1 OCT:0〜少しだけ
- +1 OCT:2〜3割
- +2 OCT:ごく薄く足す程度
- ATTACK:0〜ごく少しだけ
- LP FILTER:やや絞り気味(高域を少し丸める)
- DETUNE:ごく薄く(コーラス感が出る程度)
クリーンアンプ+リバーブ(場合によってはディレイ)と組み合わせると、12弦風のきらびやかさとシマー系の浮遊感が同居したサウンドになります。原音成分を多めに残すことで、ピッキングのニュアンスはしっかり維持できます。
リード用“ファットオクターブ・リード”
歪みリードを太くしたいときの、ギタリスト向け基本パターンです。ハイゲインだけでなく、歌う系リードにも使えます。
- DRY:5〜7割
- -1 OCT:2〜4割
- +1 OCT:ごく薄く
- +2 OCT:オフか、ほんの少し
- ATTACK:0
- LP FILTER:ほぼ開放(抜けを優先)
- DETUNE:お好みでうっすら
-1 オクターブを中心に足すことで、ローが太くなり、バンドの中でリードの存在感をキープしやすくなります。+1 をうっすら足すと、倍音が増えて“伸びるソロ”の方向にも寄せられます。歪みペダルの後段に挿すか、アンプの前段に挿すかで印象が変わるので、実際のセットで弾き比べて位置を決めるのがおすすめです。
オルガン/パッド用“アタックレス・オルガンサウンド”
一人でコードパッドを埋めたいとき、あるいは鍵盤がいない編成で“オルガンの代役”を担いたいときのセッティングです。
- DRY:ゼロ〜ごく少し(ほぼ消すイメージ)
- -1 OCT:2〜3割
- +1 OCT:3〜5割
- +2 OCT:お好みで(足すほどオルガン感アップ)
- ATTACK:中〜やや高め(アタックを丸く)
- LP FILTER:中程度に絞る(高域を柔らかく)
- DETUNE:中程度(コーラス的な厚みを加える)
クリーン〜ごく薄いクランチでコードを伸ばすだけで、パッド的なオルガンサウンドになります。リバーブを深めにかけると、アンビエント〜教会風の広がりも簡単に作れます。
ペダマニ的「ここが魅力!」
- ポリフォニックで“コード前提”に使えるオクターバー
POG2 は、単音専用というより、むしろコードやアルペジオを前提に設計されたポリフォニック・オクターバーです。トラッキングが速く安定しているので、テンションコードや分数コードを弾いても破綻しにくく、「ギター一本でアンサンブルを厚くする」用途に非常に向いています。 - オクターブ+フィルター+アタックで“シンセ領域”まで踏み込める
オクターブを足すだけでなく、LP Filter や Attack、Detune を組み合わせることで、ギターをほぼシンセのようなサウンドに変換できるのが POG2 ならではの魅力です。オルガン/パッド/シマー系など、いわゆる“シンセパート”をギタリストが肩代わりする場面で、ボード一台分くらいの役割を持てます。 - プリセット搭載でライブ現場でも切り替えが現実的
複数のセッティングを本体に保存しておけるプリセット機能は、スタジオだけでなくライブでも大きな武器になります。オクターブ厚み付け用、オルガン用、シマー用、といった具合に数パターンだけでも登録しておけば、曲間で素早く音色を切り替えられます。 - ギターだけでなくベースやシンセにも流用しやすい設計
ポリフォニックでレンジも広いので、ベースに薄く足してローを補強したり、シンセの上にさらにオクターブを重ねたりと、ギター以外の楽器にも使いやすいキャラクターです。スタジオ常設用やマルチプレイヤー用の“秘密兵器”としても有用な1台です。
注意しておきたいポイント
- 多機能ゆえに“どこまで盛るか”の整理は必要
POG2 はできることが多い分、あれもこれもと足し過ぎると、音が飽和して輪郭が分かりにくくなることがあります。特にバンドアンサンブルの中では、-2 や +2 を入れ過ぎると他パートのレンジを食いやすいので、「何のためにオクターブを足すのか」を整理してからセッティングするのがおすすめです。 - 常時オンより“ここぞ”の使い分けの方が活きる場面も多い
厚み付けやオルガン用途など、音の存在感が変わるタイプのエフェクトなので、常時オンにしていると曲のダイナミクスが平坦になりやすいです。プリセットを活かして「サビだけ」「インストだけ」など、“ここぞ”のポイントに絞ってオンにすると、メリハリのあるアレンジになります。 - サイズと電源はボード設計時に要チェック
コンパクトとはいえ、一般的なBOSSサイズよりは一回り大きく、電源も9Vセンターマイナスの安定した供給が必要です。ボードを組む際は、配置スペースと電源容量に少し余裕を見ておいた方が安全です。
機種の仕様
| メーカー | Electro-Harmonix |
| 製品名 | POG2 Polyphonic Octave Generator |
| エフェクトタイプ | ポリフォニック・オクターバー/ピッチシフター |
| コントロール | RATE:コーラスの揺れのスピード調整 DEPTH スイッチ:揺れの深さを二段階で切り替え |
| 接続端子 | DRY OUTPUT:(原音レベル) -2 OCTAVE:(マイナス2オクターブのレベル) -1 OCTAVE:(マイナス1オクターブのレベル) +1 OCTAVE:(プラス1オクターブのレベル) +2 OCTAVE:(プラス2オクターブのレベル) ATTACK:(音の立ち上がり調整) LP FILTER:(ローパスフィルター:高域のカット/トーン感) DETUNE:(コーラス的な揺れ/厚み付け) PRESET 切り替えボタン/フットスイッチ(プリセット呼び出し) |
| 電源 | AC アダプター(センターマイナス) |
| 消費電流 | おおよそ 160 mA(DC 9V 時) |
| 入出力レベル/インピーダンス | 入力インピーダンス:2 MΩ 出力インピーダンス:800 Ω |
| 外形寸法・重量(目安) | 幅:146 mm 前後 奥行:121 mm 前後 高さ:64 mm 前後 質量:約 920 g 前後(電池含む) |