Ibanez WH10V3 は、WH10 系列の中でもトゥルーバイパス仕様を採用した現行モデルです。中域の押し出しと広めのスイープレンジという“WH10 らしさ”を維持しながら、バイパス時は信号に極力影響を与えない設計になっており、現代的なペダルボードにも組み込みやすいワウとして仕上げられています。ギター/ベース切り替えとレベル調整ノブを備え、ファンク系カッティングからロックソロまで一台でカバーできる実戦向けのモデルです。
[Ibanez] WH10 V3|ペダマニレビュー
どんなペダル?
WH10V3 は、初代 WH10(V1)、ダイキャスト筐体の WH10V2 に続く三代目 WH10 です。筐体は V2 同様ダイキャストのメタルボディで、ライブユースを想定した堅牢な構造になっています。そのうえで、バイパス方式をトゥルーバイパスに変更し、オフ時には信号をほぼ素通しにする構成になっているのが大きなポイントです。
操作系はシリーズ共通で、ギター/ベース切り替えスイッチと LEVEL ノブ、レンジを調整するコントロールを搭載しています。LEVEL を少し上げておけば、ワウオン時に音量が下がるストレスを避けつつ、「踏んだ瞬間に一歩前に出る」押し出し感を作ることができます。
スイープカーブは WH10 系らしく、中域のしゃくれと踏み込み側のハイの押し出しが強めで、カッティングでも単音フレーズでも“クセになる動き方”をします。V1/V2 の個性を引き継ぎつつ、現代のボード構成に合わせて扱いやすくしたアップデート版という位置づけのペダルです。
サウンドの特徴(WH10らしいしゃくれ感をトゥルーバイパスで生かすワウ)
WH10V3 のサウンドは、基本的に V2 までの「中域が前に出る」「レンジ広めでよくしゃくれる」「LEVEL で軽くブーストできる」という特徴を継承しています。ペダル中間付近で中域が持ち上がり、踏み込みに応じてハイレンジが強くなっていくカーブになっているため、カッティングの刻みや単音フレーズのアクセントが非常に付けやすいキャラクターです。
クリーン〜クランチと合わせると、ファンク寄りのチキチキ系サウンドからオルタナっぽいカッティングまで幅広く対応できます。歪みとの組み合わせでは、ロックソロで声のようなしゃくれたトーンを作りやすく、フレーズの山を強調するのに向いています。
トゥルーバイパスになったことで、ペダルオフ時にはボード全体の音色に余計な色付けをしない構成になっているため、「ワウを踏んでいないときはシンプルな直結サウンドでいたい」という考え方とも相性が良いです。オン時には WH10 特有の押し出し感とスイープ、オフ時には素直な原音という、役割がはっきり分かれたキャラクターになっています。
使い勝手・セッティングのイメージ
クリーンカッティング用ファンクワウセッティング
クリーン〜ごく薄いクランチのアンプに対して、カッティングでリズムを刻む用途を想定した設定です。中域の抜けを活かしつつ、耳に痛くならない範囲でレンジを調整します。
- モード:Guitar
- LEVEL:原音と同じか、ほんの少しブースト
- DEPTH/RANGE:浅め〜中程度
ペダル中間付近を多用するイメージで、8分や16分のストロークに合わせてペダルを動かすと、コードの輪郭が非常に立ちやすくなります。TONE の扱いが難しいアンプでも、WH10V3 のスイープをうまく使うことで、カッティングだけ前に出すようなバランスが作れます。
歪みソロ用ロックワウセッティング
オーバードライブ〜ディストーションと組み合わせて、ソロやリードフレーズを押し出す設定です。LEVEL を少し高めにしておき、ワウオン=ソロモードのような感覚で使うイメージです。
- モード:Guitar
- LEVEL:バイパスより少し高め(ソロで一歩前に出る程度)
- DEPTH/RANGE:中〜やや深め
チョーキングの頂点やフレーズの頭でペダルを踏み込むと、声のような表情が付いてくれます。踏み込みすぎるとハイがきつくなる場合もあるので、あくまで「中間〜踏み込み手前」をメインレンジとして使うとバランスよく収まりやすいです。
ベース用“ローを残したフィルターワウセッティング”
ベースで使う場合は、ローエンドを損なわずに中高域だけニュアンスを変えるイメージで使うのが現実的です。トゥルーバイパスのため、オフ時はベースの原音を素直に保ちたい人にも合わせやすい構成です。
- モード:Bass
- LEVEL:原音と同程度〜ややブースト
- DEPTH/RANGE:浅め
ロー寄りのワウレンジを中心に、グルーヴの一部で軽くフィルターをかけるイメージでペダルを踏むと、ラインを壊さずにニュアンスだけ変えられます。歪みと組み合わせる場合は、ローが痩せすぎないようアンプ側のEQとのバランスもチェックしておくと安心です。
ペダマニ的「ここが魅力!」
- トゥルーバイパスで“オンとオフをきれいに切り替えられる”安心感
WH10V3 の大きな魅力は、トゥルーバイパス仕様になったことで、オフ時にはほぼ直結に近い状態を保てる点です。ペダルの台数が増えたボードでも、「ワウを通しているせいで常に音が変わっている」状態を避けやすく、オンとオフの役割をはっきり分けたいプレイヤーには大きなメリットになります。 - WH10 らしい中域のしゃくれと押し出し感はしっかり健在
トゥルーバイパスになったとはいえ、オンにしたときのスイープカーブはしっかり WH10 系です。中域がぐっと押し出され、踏み込みに応じてハイが立ち上がる動き方は、V1/V2 に慣れている人でも違和感なく“WH10 の音”として受け入れられるキャラクターになっています。クセのあるワウサウンドが欲しい人には十分に刺さる個性です。 - ギター/ベース両対応で、一本で複数役割を任せられる
Guitar/Bass 切り替えスイッチと LEVEL ノブを備えているため、一本でギター用とベース用の両方を兼用できるのも実務的な強みです。ギターとベースを持ち替える現場や、スタジオ常設用のワウとして一本用意しておきたい場合にも、汎用性の高さが光ります。 - 現行モデルとして入手しやすく、実戦前提で組み込みやすい
V1/V2 が中古中心なのに対し、WH10V3 は現行品として入手しやすく、保証やサポート面でも安心感があります。価格帯的にも、初めて WH10 系を試したい人が「実戦用の一本」として導入しやすく、メインボードにそのまま組み込めるポジションのモデルです。
注意しておきたいポイント
- スイープレンジが広めで、踏み込みすぎるとややピーキーに感じることがある
WH10V3 も、他の WH10 と同様にスイープレンジが広めで、踏み込み側のハイがかなり出ます。歪みとの組み合わせでは、踏み込みすぎると高域がきつく感じる場面もあるため、実際のバンドサウンドの中で踏み込み量と DEPTH/RANGE の設定を調整しておく必要があります。 - トゥルーバイパスゆえに“プリアンプ的な味付け”は薄めになる
V1/V2 のように、バッファード構成とプリアンプ的な色付けを“音作りの一部”として使っていたプレイヤーからすると、V3 のトゥルーバイパスはややあっさりした印象になることがあります。バイパス時も含めて音にキャラクターが欲しい場合は、別途プリアンプペダルやバッファーで味付けを足す必要があります。 - WH10 系のクセのあるカーブ自体が合わないケースもある
WH10 のスイープカーブは、一般的なヴィンテージ系ワウと比べて中域のしゃくれとレンジの広さがかなり個性的です。ワウにあまりクセを求めないプレイヤーや、よりオーソドックスなワウサウンドを想定している場合は、別系統のワウとしっかり弾き比べてから導入を検討した方がミスマッチを避けやすくなります。
機種の仕様
| メーカー | Ibanez |
| 製品名 | WH10 V3 |
| エフェクトタイプ | ワウペダル(アナログフィルター) |
| コントロール | LEVEL:ワウオン時の出力レベル調整(軽いブーストも可能) DEPTH/RANGE:ワウの効き具合・レンジの深さ Guitar / Bass スイッチ:ギター/ベース用のフィルター特性切り替え |
| 接続端子 | INPUT:標準フォーン(ギター入力) OUTPUT:標準フォーン(アンプ/次段エフェクターへ) DC IN:9V AC アダプター用ジャック(センターマイナス) |
| 電源 | 9V 角型電池 AC アダプター(センターマイナス) |
| 消費電流 | おおよそ 12 mA(DC 9V 時) |
| 入出力レベル/インピーダンス | 入力インピーダンス:1 MΩ 出力インピーダンス:10 kΩ |
| 外形寸法・重量(目安) | 幅:100 mm 前後 奥行:202 mm 前後 高さ:60-84 mm 前後 質量:約 815 g 前後(電池含む) |