Line 6 DM4 Distortion Modeler は、クラシックなオーバードライブからモダン・ハイゲイン、ファズまで、16種類の歪みモデルを一台にまとめたドライブ用マルチペダルです。3つのプリセットをフットスイッチで即呼び出しできるため、「クランチ」「リード」「ファズ飛び道具」といった役割を1台に集約可能。黄金色の筐体と、いかにも“Line 6 モデラー”な操作感で、ボードの歪みセクションを一気に拡張できるモデルです。
[Line 6] DM4 Distortion Modeler|ペダマニレビュー
どんなペダル?
DM4 は、DL4/MM4/FM4 と同じ4スイッチ筐体を採用した「歪み専用モデラー」です。TS系オーバードライブ、ブリティッシュ系スタックのクランチ/リード、モダンハイゲイン、ビッグマフ系ファズ、ヴィンテージファズフェイス系など、実機をベースにしたモデリングを多数搭載しており、セレクターとノブを回すだけで歪みのキャラクターを一気に切り替えられます。
前面の4フットスイッチのうち3つはプリセット呼び出し用で、「歪みチャンネルを3つ増設する」ようなイメージでボードに組み込めます。右端のスイッチはタップテンポや一部モードの特殊操作などに割り当て。各プリセットには、ドライブ量、トーン、ボリューム、ゲートなどのパラメータを保存可能で、リハ・本番問わず即座に呼び出せる構成になっています。
エクスプレッションペダルを接続すれば、ドライブ量やボリューム、あるいは2つの設定をブレンドするようなリアルタイム制御もでき、「足でゲインをじわじわ上げていく」「リードだけ音量を持ち上げる」といったライブ的な使い方にも対応します。
サウンドの特徴(名機系ドライブを“ざっくり一通り”押さえた万能歪み)
DM4 のサウンドキャラクターは、「往年の定番歪みペダル/アンプの“それっぽさ”を一通り押さえたモデリング」という位置づけです。TS系モードでは中域が持ち上がるブースト〜クランチ、ブリティッシュ系スタックモデルでは中〜高域に張りのあるロックリード、モダンハイゲインモードではタイトなローエンドとコンプ感のある歪み、といった具合に、モードごとにかなり性格が分かれています。
ファズ系モデルでは、ビッグマフ系の厚く伸びるサスティンから、ファズフェイス系の暴れた倍音、さらには“潰れかけたラジオ”のようなローファイトーンまで、かなり攻めたキャラクターも収録。クリーン〜クランチを単発の歪みペダルで作り、DM4 のファズモードを「曲中のスイッチ」として使うようなアプローチも現実的です。
音質の傾向としては、最新のハイレゾ・モデリングに比べるとややラフな部分もありますが、その“少し荒さの残る歪み”が逆にロックギターと相性が良く、ミックスの中でちょうど良く抜けてくる印象です。細かい実機再現というより、「ライブで使って気持ちいいポイント」を押さえたモデリング、と捉えると分かりやすいペダルです。
使い勝手・セッティングのイメージ
クランチ〜ミドルゲイン用「メイン歪みチャンネル」
モード:オーバードライブ/ブリティッシュクランチ系モデル
Drive:10〜12時
Bass/Treble(あるいはTone):12時前後
Output:バンド内で埋もれない程度にやや上
常時オンで使うメイン歪みチャンネルを想定したセッティングです。コードストロークとリフの両方をこなせるミドルゲイン帯にしておくと、ギターボリューム側でクリーン寄り〜歪み寄りをコントロールしやすくなります。TS系やブリティッシュ系モデルを基準に、手持ちのアンプと相性の良いモードを探していくのが現実的です。
ハイゲインリード用「ソロブーストチャンネル」
モード:モダンハイゲイン系モデル
Drive:13〜15時
Bass:好みに応じて調整(出過ぎる場合は控えめに)
Middle:やや上げ目(12〜14時)
Treble:11〜13時(耳に痛くならない範囲)
Output:ソロ時に一歩前に出る音量
既にクランチ〜ミドルゲインの状態から、一段階上のソロ用チャンネルとして使うセッティングです。中域を少し持ち上げておくと、他の楽器の中でもリードが抜けやすくなります。ゲート機能付きのモデルがあれば、ノイズを抑える方向で軽くかけておくと扱いやすくなります。
飛び道具用「ファズ/ローファイチャンネル」
モード:ビッグマフ系、ファズフェイス系、ローファイ系モデル
Drive:12〜MAX(キャラ次第で調整)
Tone:キャラクター優先で微調整
Output:他チャンネルと揃えるか、あえて少し大きめ
サビやブリッジ、一部のインストパートなど、「ここぞ」というところで音のキャラクターをガラッと変えるためのセッティングです。ビッグマフ寄りのモデルなら重く厚いサステイン、ファズフェイス寄りなら暴れる倍音、ローファイ寄りなら意図的に汚した変態系サウンドが狙えます。普段はオフにしておき、曲のポイントでだけ踏む使い方がハマります。
ペダマニ的「ここが魅力!」
- 歪みペダルの“試着室”として非常に優秀
DM4 の一番のメリットは、「TS系やブリティッシュ系、マフ系など、歪みの大枠を一通り試せる」点です。実際に高価なブティックペダルを導入する前に、TS系が好みなのか、マフ系がしっくり来るのか、ハイゲイン寄りが必要なのか、といった自分の方向性を探る“試着室”として使えます。ボードに一台常駐させておけば、しばらく歪みで迷わなくて済むのは実務上かなり大きなメリットです。 - 3プリセットで“アンプ3チャンネル化”的な運用ができる
クリーンはアンプ側、クランチ/ハイゲイン/ファズは DM4 のプリセット、という構成にしておくと、実質的に3チャンネルアンプを手に入れたような運用ができます。フットスイッチ1発でキャラクターごと切り替えられるため、カバー曲多めの現場や、セット中で質感の違う歪みを何種類も使いたいときに非常に便利です。 - “ちょっとラフなロック感”が曲中でちょうど良く馴染む
最新のハイレゾモデラーと違い、DM4 の歪みは少し荒っぽさを残したキャラクターです。ただ、その少しラフな質感が、実際のバンドサウンドの中では意外とちょうど良く馴染み、録り音・PA出しともに「ロックギターらしい存在感」を出してくれます。完璧に整った音というより、ライブ感を重視するプレイヤーにはむしろプラスに働きやすい部分です。
注意しておきたいポイント
- 筐体サイズと重量は“DL4 と同格のしっかりサイズ”
DM4 は DL4/MM4/FM4 と同じ大きめの筐体で、コンパクトペダル数台分のスペースをボード上に取ります。ミニペダル中心の小型ボードに組み込むには難があるため、「歪みセクションを一括でこの1台にまとめる」前提でレイアウトを組む必要があります。 - 最新モデラーと比べると、解像度やノイズ面は一世代前
設計世代的に、Helix や現行ハイエンドマルチのような解像度・SN を期待すると、「思ったよりラフ」と感じる場面はあります。特にハイゲインモードではノイズレベルもそれなりにあるため、ゲート機能やノイズリダクションと組み合わせて運用するのが現実的です。このあたりを「味」と捉えられるかどうかが相性の分かれ目です。 - 電源仕様と中古個体のコンディションには要注意
旧 Line 6 モデラーシリーズ共通で、専用アダプター推奨の電源仕様になっている個体が多く、汎用 9V センターマイナスだけで済ませたいボードとの相性はやや悪めです。また、長年使われた中古個体ではフットスイッチやポットの寿命が来ているケースもあるため、メインボードに組み込む場合は、信頼できる電源・コンディションのものを選ぶ前提で考えた方が安心です。
機種の仕様
| メーカー | Line 6 |
| 製品名 | DM4 Distortion Modeler |
| エフェクトタイプ | ディストーション/オーバードライブ/ファズ モデラー(歪み系マルチ) |
| 搭載モード | モデル数:16種類(TS系、ブリティッシュスタック系、モダンハイゲイン、ビッグマフ系、ファズフェイス系、ローファイ系 など) プリセット:3つまで本体に保存可能(フットスイッチ A/B/C に割り当て) エクスプレッションペダル対応:ドライブ量、ボリュームなど特定パラメータをリアルタイムコントロール可能 |
| コントロール | DRIVE(歪み量) BASS(低域) MID(中域) TREBLE(高域) OUTPUT(出力レベル) MODE セレクター(16種類の歪みアルゴリズム選択) フットスイッチ:A/B/C(プリセット/オンオフ)、TAP/その他機能 ※各ノブの役割はモードにより名称・機能が変化する構成です。 |
| 接続端子 | INPUT L / MONO, R(モノラル/ステレオ入力) OUTPUT L / MONO, R(モノラル/ステレオ出力) EXPR PEDAL(エクスプレッションペダル入力) 電源端子:専用電源もしくは対応アダプター用端子 |
| 電源 | アルカリ電池(単2形)×4 専用 AC アダプター(Line 6 指定の電源) |
| 消費電流 | おおよそ 250 mA(DC 9V 時) |
| 入出力レベル/インピーダンス | 入力インピーダンス:1 MΩ 出力インピーダンス:1 kΩ |
| 外形寸法・重量(目安) | 幅:250 mm 前後 奥行:150 mm 前後 高さ:55 mm 前後 質量:約 1,750 g 前後 |