MXR M115 Distortion III は、クリーンを軽く押し出すギター用クランチから、しっかり歪んだロック・ディストーションまでカバーする3ノブ仕様の歪みペダルです。ミッドに適度な厚みを持たせつつも暴れすぎないアンプライクなキャラクターで、バッキングからリードまで、幅広いロック系サウンドの「基礎ドライブ」として使いやすいモデルです。
[MXR] M115 Distortion III|ペダマニレビュー
どんなペダル?
素直なレスポンスで“常時オン”も狙えるMXR系ドライブ
Distortion III は、MXR のクラシックな M104 Distortion+ 系直系というより、もう少しレンジが広く、現代的に整えたオーバードライブ/ディストーションです。ノブは OUTPUT、TONE、DISTORTION の3つとシンプルで、軽いクランチから中〜高めゲインのロックディストーションまで、ギター側のボリュームと右手のニュアンスでコントロールしやすいよう設計されています。
ミッドに程よく厚みを持たせたロック向けボイシング
いわゆるTS系のような強いミッドブーストではなく、ロー〜ミッドに少し重心を置いた落ち着いたキャラクターで、コードを弾いたときに芯が残りやすいのが特徴です。ハイも出ますが、きついプレゼンスではなく、ロック~ポップスのバッキングに馴染みやすい帯域に調整されています。
サウンドの特徴(アンプの素直な延長として使える中〜高域ドライブ)
アンプのクランチを押し出す、素直で扱いやすいゲイン感
DISTORTION を抑えめにすると、クリーンアンプを軽く持ち上げるクランチブースト的なサウンドになります。ピッキングを強めればザラついた歪みが出て、弱めればクリーン寄りに戻るため、ギター側ボリュームと手元でのコントロールがしやすいのが印象的です。クランチ〜中ゲインで使うと、「アンプの2チャンネル目を足した」ような感覚で運用できます。
ミッド~ハイのバランスで歌うロックディストーション
DISTORTION を12〜2時あたりに上げていくと、しっかりとしたロックディストーション領域に入ります。ローは適度に締まりつつ、ミッド〜ハイにかけての張り出しで抜けてくるタイプなので、コードリフとリードの両方を同じセッティングでこなすことも十分可能です。ハイが極端にキラキラするタイプではないため、長時間のリハやライブでも耳につきにくいキャラクターです。
TONE次第で“渋めのミッド重視”から“抜け重視”まで調整可能
TONE を下げめにすると、ややダーク寄りで渋いロックサウンドになり、レイドバックしたブルースロックや歌モノのバッキングに向きます。反対に TONE を上げるとアタックが前に出て、ソロや単音フレーズが抜けやすいセッティングに寄せられます。極端なドンシャリではなく、あくまでミッドをベースにした範囲でのチューニングなので、どこに置いても「ギターらしい帯域」を維持しやすいのが使いやすさにつながっています。
使い勝手・セッティングのイメージ
クリーンチャンネルに“もう1段”歪みを足す感覚で使う
クリーン〜軽いクランチのアンプに対して、DISTORTION を10〜12時程度、TONE を12時前後に設定し、OUTPUT で原音と同じくらいに合わせると、「ちょっとだけ歪んだロッククランチ」ポジションを作りやすくなります。コードストロークで軽くザラつき、ピッキングを強めると適度に歪みが前に出るため、歌モノバンドのメインバッキングに向いたセッティングです。
1台でバッキングとリードを両立させるセッティング
バンド内で「リード用にもう1ペダル追加するほどでもない」という場合は、DISTORTION を12〜2時の間で決め、TONE をやや上げてアタックを強調し、OUTPUT をアンプより少しだけ持ち上げると、コードバッキングとリードをそのまま切り替えられるオールラウンドなセッティングになります。ソロ時はギター側ボリュームを少し上げて押し出す運用にしておくと、足踏みは最小限で済みます。
別ペダルとのスタックで“もう一段上”の歪みに拡張
よりハイゲイン寄りに持っていきたい場合は、TS系オーバードライブやブースターで前段を軽くプッシュし、Distortion III 側の DISTORTION を抑えめにしておくと、ノイズを抑えつつ密度の高い歪みが作りやすくなります。逆に Distortion III を歪みのベースにして、後段にブースターを置きソロ時にレベルだけ押し上げる構成も有効です。どちらにしても、アンプライクな素直さがあるため、スタックしても破綻しにくい点が扱いやすさにつながっています。
ペダマニ的「ここが魅力!」
- 素直なアンプライクさでボードの“基礎ドライブ”になりやすい
Distortion III は、極端なキャラクターを前面に押し出すタイプではなく、アンプの延長線上にある「素直なロックドライブ」という立ち位置です。そのため、クリーン〜クランチ〜中ゲインを1台でカバーする基礎ドライブとしてボードに据えやすく、他のペダルやアンプを変えても違和感なく共存しやすいのが大きな魅力です。 - 3ノブで音決めが早く、現場での微調整もしやすい
OUTPUT、TONE、DISTORTION という3ノブ構成は、リハスタやライブハウスの限られた時間でも音決めが早く、環境が変わったときの微調整も直感的に行えます。TONE と DISTORTION の効きが分かりやすいので、「今日のアンプは少しハイがきついな」「もう少しゲインを抑えたいな」といった現場の事情にスムーズに対応できます。 - クリーンブースト〜ロックディストーションまで守備範囲が広い
ゲインレンジが比較的広く、DISTORTION を絞ればクリーンブースト〜クランチとして、上げればしっかり歪んだロックディストーションとして機能するため、「1台で軽めからそれなりの歪みまで」を任せる用途に向いています。ジャンルもブルース寄りのロックから、邦ロック、ポップスまで幅広くカバーできる汎用性があります。
注意しておきたいポイント
- モダン超ハイゲインやドンシャリ系メタルには不向き
Distortion III はアンプライクでミッド重心のロック向けボイシングのため、モダンメタルのような強烈なドンシャリや、超ハイゲインでの刻みに特化したサウンドを求めると物足りなく感じる可能性があります。そういった用途では、専用のハイゲインペダルやメタル向けディストーションを別途用意した方がスムーズです。 - TONE とアンプ側の高域設定次第ではやや暗く感じることがある
元々きついプレゼンスを持つタイプではないので、アンプ側のトレブルやプレゼンスを控えめにしていると、セッティングによっては「少しダーク寄り」と感じる場合があります。その場合は TONE をやや上げる、アンプの高域を少し持ち上げるといった調整で対応する必要があります。 - 個性の強い“変化球ペダル”ではないので、キャラ重視派には地味に映る可能性
Fuzz やハイゲインディストーションのような強烈な個性を求めている場合、Distortion III の「優等生寄りのロックドライブ」というポジションは、良くも悪くも地味に感じられることがあります。逆に言えば、扱いやすさと汎用性を優先したいプレイヤー向けのペダルと割り切って選ぶのが良いポイントです。
機種の仕様
| メーカー | MXR |
| 製品名 | M115 Distortion III |
| エフェクトタイプ | オーバードライブ/ディストーション(ソリッドステート) |
| コントロール | OUTPUT:出力レベル TONE:高域を中心としたトーン DISTORTION:歪み量 |
| 接続端子 | INPUT:標準フォーン(ギター/ライン入力) OUTPUT:標準フォーン(アンプ/次段エフェクターへ) DC IN:9V DC アダプター用ジャック(センターマイナス) |
| 電源 | 9V 角型電池 AC アダプター(センターマイナス) |
| 消費電流 | おおよそ 2.2 mA(DC 9V 時) |
| 入出力レベル/インピーダンス | 入力インピーダンス:1 MΩ 出力インピーダンス:5.5 kΩ |
| 外形寸法・重量(目安) | 幅:61 mm 前後 奥行:110 mm 前後 高さ:53 mm 前後 質量:約 400 g 前後(電池含む) |