MXR M234 Analog Chorus は、BBD素子を用いたアナログ回路に、Level・Rate・Depthに加えてLow / Highのイコライザーを備えたコーラス・ペダルです。アナログならではの温かさと、帯域をコントロールして抜けを調整できる実用性を両立しており、ギターのクリーンからクランチ、ベースやシンセにまで幅広く使える1台です。
[MXR] M234 Analog Chorus|ペダマニレビュー
どんなペダル?
M234 Analog Chorus は、「アナログの質感は欲しいけれど、もこもこしすぎるのは困る」というプレイヤー向けに作られた MXR のアナログコーラスです。BBD(Bucket Brigade)ベースのコーラス回路に、Low / High の2バンドEQを組み合わせることで、古典的なアナログコーラスらしい太さと、現代的なレンジ感のバランスを取っています。
ノブ構成は Level・Rate・Depth・Low・High の5つ。Levelで原音とエフェクトのバランスを詰め、RateとDepthで揺れのスピードと深さを、Low / Highで帯域のキャラクターを整えるイメージです。ステレオアウトにも対応しているため、2台のアンプやレコーディング環境で広がりのあるコーラスを作ることも想定された設計です。
シンプルな1ノブ系コーラスに比べるとパラメータは多いですが、どのノブも役割が明確で、慣れると狙ったトーンに素早く辿り着けるタイプのペダルです。
サウンドの特徴(温かくも輪郭を残せるアナログ揺れ)
M234 のサウンドは、アナログコーラスらしい温かさと、EQで整えられた現代的な抜け感が共存しているのが特徴です。
Low ノブを上げるとローエンドに厚みが出て、クリーンコードやアルペジオにふくよかな土台が加わります。下げればローがタイトになり、ベースや低域の多いセッティングでも混濁を抑えやすくなります。High ノブ側は、コーラス特有の煌びやかさや“シャラっとした”質感を調整する役割で、少し持ち上げると立ち上がりの輪郭がくっきりし、下げるとウォームでまろやかな方向へ寄っていきます。
Rate と Depth の組み合わせ次第で、ほのかに揺れる“常時オン”系のかすかなコーラスから、しっかり主張する80年代ライクな厚盛りコーラスまでカバー可能です。アナログならではの揺れ方と位相の動きがあるので、デジタルコーラスの「カチッとしすぎている感じ」が苦手なプレイヤーにも向いています。
ベースやシンセに使った場合も、Low / High の調整で帯域バランスを追い込めるため、低域が破綻したり、高域が耳につきすぎるといった問題を現場レベルでコントロールしやすいキャラクターです。
使い勝手・セッティングのイメージ
実際の運用では、まず Level・Rate・Depth で「揺れのキャラクター」を決めてから、Low / High でミックス内でのポジションを整える、という流れが扱いやすいです。
クリーン常時オン系セッティングのイメージ
クリーンのアルペジオやコードバッキングにうっすらコーラス感を足したい場合は、Rate を9〜10時程度、Depth を10〜11時、Level を原音と同じか少し下くらいに設定します。Lowは12時前後、Highを12〜1時あたりにすると、ほんのり広がりを感じつつも、主張しすぎない“掛かっているけど邪魔しない”コーラスになります。
80s系厚盛りコーラストーンのイメージ
Rate を11〜13時、Depth を13〜15時あたりまで上げると、しっかり揺れを感じるコーラスになります。Level を少し持ち上げてエフェクト成分を強め、Highを気持ち上げると、ストラトのクリーンやコーラスディストーション系のリードで「これぞ80s」というサウンドが作りやすくなります。
ベース/シンセに使う場合のポイント
ベースでは、Low を上げすぎると低域が揺れすぎてアンサンブルが崩れやすいので、Low をやや抑え、Depth も控えめにして中高域中心で揺れを感じさせる設定が現実的です。シンセはパッド系であれば深めのDepthとゆっくりめのRateが合い、アルペジオやリードには中程度のDepthと、曲のテンポに合わせたRate設定がハマりやすくなります。
配置としては、基本的には歪みの後(アンプのセンド・リターンや歪みペダルの後段)に置くのが定石です。前段に置くとより“ローファイで崩れた”揺れ方になるため、意図してそういったキャラクターを狙う場合に試す価値があります。
ペダマニ的「ここが魅力!」
- 温かさと抜けのバランスを自分で追い込める
アナログコーラスの良さである温かさや太さを残しつつ、Low / High のEQでレンジを調整できるため、もこもこしすぎる領域を避けながら、自分のバンドサウンドにちょうど良いポイントを探りやすい構造になっています。単に“ビンテージっぽい”だけでなく、実戦で使えるアナログコーラスというポジションです。 - 汎用性が高くボードの主力モジュレーションになりやすい
クリーンの常時オンから、ピンポイントで強く掛けるソロ用、さらにはベースやシンセ用途まで、1台でかなり広い守備範囲をカバーできます。モジュレーション枠を1つか2つに絞りたいボード構成でも、「とりあえず M234 が1台あればかなりのことができる」という安心感があります。 - ステレオ出力対応でレコーディング/2アンプにも強い
ステレオアウトに対応しているため、レコーディング時に2トラックへ振り分けて広がりを演出したり、2台のアンプで立体感のあるコーラスサウンドを作ったりと、空間系的な使い方にも発展させやすい構造です。シンプルなコンパクトサイズでありながら、拡張性のある設計になっている点が魅力です。
注意しておきたいポイント
- ノブが多めなので“おまかせ”で済ませたい人にはやや玄人寄り
Level・Rate・DepthだけでなくLow / Highも追い込めるぶん、シンプルな1ノブコーラスと比べると最初の取っ付きやすさは一歩だけ玄人寄りです。「とりあえず1ノブで済ませたい」というより、自分で帯域と揺れ方を詰めたいタイプのプレイヤー向きと言えます。 - 深く掛けすぎるとミックス内で音像がぼやけることがある
DepthやLowを上げすぎると、ソロでは気持ちよくてもバンド全体の中では音像が広がりすぎて輪郭が見えにくくなるケースがあります。特にツインギター編成や鍵盤がいる編成では、DepthやLowをやや控えめにし、Highで輪郭を補うようなバランス感覚が重要になります。 - アナログ特有のわずかなノイズや揺れのクセが気になる場合もある
アナログBBDならではのわずかな質感やノイズ感、揺れのクセは、魅力と紙一重の部分でもあります。デジタルコーラスのような完全なクリーンさや静粛性を求める場合には、好みが分かれる可能性があります。試奏時には、ハイゲイン環境やレコーディングレベルでのノイズも含めてチェックしておくと安心です。
機種の仕様
| メーカー | MXR |
| 製品名 | M234 Analog Chorus |
| エフェクトタイプ | アナログコーラス(BBD) |
| コントロール | LEVEL:原音とエフェクトのバランス調整 RATE:揺れのスピード DEPTH:揺れの深さ LOW:低域のブースト/カット HIGH:高域のブースト/カット |
| 接続端子 | INPUT:標準フォーン(モノラル入力) OUTPUT:標準フォーン(メイン出力) THRU / OUTPUT 2:標準フォーン(セカンド出力/ステレオ用) DC IN:9V DC アダプター用ジャック(センターマイナス) |
| 電源 | 9V 角型電池 AC アダプター(センターマイナス) |
| 消費電流 | おおよそ 13 mA(DC 9V 時) |
| 入出力レベル/インピーダンス | 入力インピーダンス:1 MΩ 出力インピーダンス:1 kΩ |
| 外形寸法・重量(目安) | 幅:61 mm 前後 奥行:110 mm 前後 高さ:53 mm 前後 質量:約 322 g 前後(電池含む) |