王道オレンジ筐体のシンプル1ノブ・フェイザー
MXR M101 Phase 90 は、オレンジ筐体と1ノブ構成でおなじみの定番フェイザーです。ギターのクリーン〜クランチに滑らかなうねりを加えたり、歪みソロに厚みを足したりと、ロック/ファンク/フュージョンまで幅広いジャンルで使われてきた“フェイザーの代名詞”的モデルです。
[MXR] M101 Phase 90|ペダマニレビュー
どんなペダル?
Phase 90 は、MXR の代表モデルのひとつと言っていいクラシック・フェイザーです。
SPEED ノブがひとつだけという非常にシンプルな構成ながら、
- クリーンにかければ、ゆっくり揺れる浮遊感のあるサウンド
- クランチにかければ、ローリングするようなうねりでコードに動きをプラス
- リードトーンに足せば、音が前に出つつも“丸く太い”印象に
と、ギターサウンドに独特の立体感を与えてくれます。
バリエーションとして Script Logo/Block Logo などの世代違いが存在しますが、ここでは現行の標準的な Phase 90(M101)をイメージした内容です。
サウンドの特徴(王道オレンジ系スウィープ・フェイズ)
Phase 90 のサウンドをざっくり言うと、少し太めでなめらかなスウィープ感のフェイザーです。
- ロー〜中域
ローエンドは適度に残りつつ、必要以上にボワつかないバランス。クリーンカッティングでも、歪んだパワーコードでもローが破綻しにくく、リズムギターにかけて“グルーヴ感のあるうねり”を出したいときにちょうど良い帯域感です。 - 中高域
位相が回ることで中高域が“ホワンホワン”と動きますが、エッジが立ちすぎず、角の取れた柔らかい質感。強いピークを持つ機種と比べると、耳当たりがマイルドで、長時間かけっぱなしでも疲れにくいキャラクターです。 - 揺れ方(スウィープ)
SPEED を絞ると、ゆっくりとした“シンセパッド的”な揺れ。
上げていくと、ファンク的な“グルグル感”の強いモジュレーションになり、16ビートのカッティングとの相性が非常に良いです。
全体として、「フェイザーのクセはしっかりあるけれど、楽曲の中で浮きすぎない」ちょうど良いバランスのキャラクターで、初めてのフェイザーにも、長年ボードに居続ける相棒としても使いやすいタイプです。
使い勝手・セッティングのイメージ
コントロールは SPEED ノブのみ。
これがフェイズの周期(速さ)を決める唯一のパラメータです。
クリーン・ストローク/アルペジオ向け
- SPEED:9〜10時
ゆっくりとした揺れで、コードの後ろにふわっとした動きを加える設定です。クリーンアルペジオやバラード系のストロークにかけると、コーラスとは少し違う「うねりのある奥行き」が出せます。
ファンク/カッティング向け
- SPEED:11〜13時
16ビートのカッティングと相性が良い領域です。ワウほど“ワウワウ”前に出過ぎず、リズム全体にうねりを足す感覚で使えます。クランチ〜ライトディストーションとの組み合わせも気持ちいいゾーン。
サイケ/飛び道具寄り
- SPEED:14時〜フル
かなり速い揺れになり、サイケデリックな効果音的サウンドになります。ソロ中に一瞬踏んだり、イントロだけで強めにかけるなど、“アクセント的”な使い方がメインです。
配置としては、
- 歪みの前:アンプライクな揺れ(より一体感のあるフェイズ)
- 歪みの後:モジュレーションがハッキリ出る揺れ(効果音寄り)
という定番の違いがあります。Phase 90 はどちらにも対応しやすいタイプなので、ボードや好みに合わせて配置を試す価値があります。
ペダマニ的「ここが魅力!」
- “フェイザーと言えばこれ”と言われるほどの定番感
シグネチャーを含め、多くの有名ギタリストのボードに載ってきたモデルで、「とりあえずフェイザー1台」というときの候補として間違いなく上位に入ってきます。 - 1ノブで音決めが早い
深さやレゾナンスなどをいじれる多機能機種もありますが、Phase 90 は SPEED ひとつ。悩むポイントが少ないので、リハやライブ現場で音を決めるスピードが速いのは実用上の大きなメリットです。 - クリーン〜ドライブまで守備範囲が広い
クリーンのカッティング、クランチのリズム、ディストーションのリードまで、どのゲインレンジでも“それっぽく”まとまります。特定のスタイル専用というより、「困ったときにとりあえず Phase 90」をしやすい汎用性があります。 - ギターだけでなくシンセやエレピにも使いやすい
シンセパッドやエレピにかけると、一気に70s〜80sフュージョン/シティポップ的な空気に。ギター以外のソースに使うスタジオ用モジュレーションとしても優秀です。
注意しておきたいポイント
- 深さやミックスを調整できない
DEPTH や MIX ノブがないため、「もう少し浅く」「原音をもうちょっと前に」といった細かい調整はアンプ側や他ペダルで補う必要があります。セッティングの自由度より、「迷いなくパッとセットしたい人」向きです。 - 常時オンだと“うねりすぎる”と感じる場合もある
SPEED を上げ気味にしていると、曲によっては主張が強くなりすぎることもあります。常時オンで使う場合は、9〜10時あたりのゆっくりセッティングから試すのがおすすめです。 - 現行版とヴィンテージ/Script 版でキャラクターが違う
Script ロゴ版や特別仕様は現行標準機と微妙にキャラクターが異なります。どの Phase 90 を想定しているかは、購入時にしっかり確認した方が安全です(特に中古市場)。
機種の仕様
| メーカー | MXR |
| 製品名 | M101 Phase 90 |
| エフェクトタイプ | フェイザー(アナログ) |
| 搭載モード | 単一モード(モード切替なし) クラシックな 4-stage フェイズ回路(アナログ) |
| コントロール | OUTPUT:出力レベル DISTORTION:歪み量 |
| 接続端子 | INPUT:標準フォーン(ギター/ライン入力) OUTPUT:標準フォーン(アンプ/次段エフェクターへ) DC IN:9V DC アダプター用ジャック(センターマイナス、2.1mm) |
| 電源 | 9V 角型電池 AC アダプター(センターマイナス) |
| 消費電流 | おおよそ 5 mA(DC 9V 時) |
| 入出力レベル/インピーダンス | 入力インピーダンス:1 MΩ 出力インピーダンス:10 kΩ |
| 外形寸法・重量(目安) | 幅:59 mm 前後 奥行:111 mm 前後 高さ:48 mm 前後 質量:約 400 g 前後(電池含む) |