高音質32bit処理の多機能コンパクト・ルーパー
BOSS RC-5 Loop Station は、32bit処理による高音質ループと、最大約13時間(合計)の録音時間を備えたコンパクト・ルーパーです。99メモリーにフレーズを保存できるほか、内蔵リズムパターンや外部スイッチ/MIDIによる拡張にも対応しており、自宅練習からソロパフォーマンス、ライブでのワンマン編成まで幅広く対応します。
[BOSS] RC-5 Loop Station|ペダマニレビュー
どんなペダル?
RC-5 は、BOSSルーパーの「スタンダード枠」を担うコンパクトモデルです。
サイズ感は普通のBOSSコンパクトとほぼ同じながら、
- 32bit AD/DAによる高音質ループ
- 最大約13時間分のステレオ録音時間
- 99個のフレーズメモリー
- 豊富な内蔵リズムパターン
- MIDI IN/OUT端子による同期
といった要素を詰め込んだ、かなり情報量の多いルーパーになっています。
フロントの小型カラーディスプレイにより、現在のバンク/メモリー/ループ状態が直感的に把握しやすく、ライブ中でも「いま何を再生しているか」が見やすいのもポイントです。
サウンドの特徴(32bit処理のクリアでフラットなループ)
ループの音質は「非常にクリアでフラット」。
32bit処理のおかげで、何度オーバーダブしても音が劣化しにくく、原音のニュアンスをかなり忠実に保持してくれます。歪みペダルを前段に置いたハイゲインセッティングでも、ループを重ねたときのモコモコ感が少なく、バッキングとソロの分離が良好です。
内蔵リズムはドラムマシン的なパターンが複数用意されており、
- シンプルな8ビート/16ビート
- ロック/ポップス系の定番パターン
- メトロノーム寄りのクリック
など、練習~簡易DTM的な用途までカバーできます。
あくまで「サポート用」の音質・ボリューム感ですが、自宅録音のガイドやソロ演奏の土台には十分なクオリティです。
使い勝手・セッティングのイメージ
基本操作は「1フットスイッチ型ルーパー」の王道ですが、RC-5はモードによって動作が変わるため、一度だけマニュアルをざっと読むと理解が早いタイプです。
代表的な操作イメージ:
- 1回踏み:録音開始
- もう1回踏み:再生開始(ループ)
- 再度踏み:オーバーダブ開始/停止
- 長押し:ループ停止
- 停止中に長押し:フレーズ消去
といった、BOSSルーパー共通の流れです。
ディスプレイ横のノブ/ボタンで、
- メモリー選択(1〜99)
- リズムON/OFF・パターン変更
- ループレベル/リズムレベル調整
- ループ長の確認
などが行えます。
実用的な運用例:
- 自宅練習
- コードを1周分録音 → その上でスケール練習/フレーズ作り
- 内蔵リズムを軽く鳴らしながらグルーヴ練習
- ライブ/配信
- Aメロ用ループ、サビ用ループを別メモリーに事前録音
- 外部フットスイッチやMIDIフットコントローラーで「録音/再生/停止」を分担させて操作性アップ
MIDI同期に対応しているため、外部ドラムマシンやDAWとテンポをリンクさせたループパフォーマンスも可能です。
ペダマニ的「ここが魅力」
- コンパクトサイズで「ガチ録音」クオリティ
一般的なシンプルルーパーの延長線というより、小型のRC-300/RC-505の音質だけ抜き出してコンパクトに収めたような印象です。 - 99メモリーでセットリスト運用も可能
ライブの曲ごとにフレーズを事前に仕込んでおいて、番号で呼び出す運用が現実的にできます。ソロギタリストやシンガーソングライターにとっては、かなり心強い仕様です。 - カラーディスプレイの視認性
残りループ時間やメモリー番号、拍位置などが視覚的に分かるので、「録り直したいタイミング」を掴みやすく、ルーパー初級〜中級者にも優しい作りです。 - MIDI対応による将来性
まずは単体ルーパーとして使い、いずれスイッチャーやMIDIフットと組み合わせてシステムを拡張する、といったステップアップにも対応できます。
注意しておきたいポイント
- 1フットスイッチの操作を身体に染み込ませる必要あり
録音/再生/オーバーダブ/停止/消去を1つのスイッチで行うため、慣れないうちは「止めたつもりがオーバーダブしていた」などの事故が起こりがちです。ライブで使う前に、自宅で徹底的に練習しておくのがおすすめです。 - 多機能ゆえにメニュー構造がやや複雑
ループ自体は直感的ですが、MIDI設定やリズムの詳細設定などは、メニュー階層を潜っていく必要があります。一度決め打ちのセットアップを作って、以降あまり触らない運用にしてしまうのが無難です。 - 外部スイッチ/MIDIを足すと「結局ボードが大きくなる」問題
操作性を上げるために外部フットスイッチやMIDIフットを追加すると、コンパクトさのメリットが薄れます。「単体運用でいくか」「拡張前提で組むか」を事前に決めておくと、ボード設計がスムーズです。
機種の仕様
| メーカー | BOSS |
| 製品名 | RC-5 Loop Station |
| エフェクトタイプ | ルーパー(フレーズループ) |
| 搭載モード | 最大約13時間分のステレオ録音時間(合計) 99フレーズメモリー 32bit AD/DAによる高音質ループ 多数の内蔵リズムパターン(メトロノーム含む) MIDI同期対応(IN/OUT) ループ長表示/ステータス表示用カラーディスプレイ |
| コントロール | LEVEL ノブ(ループ音量) RHYTHM LEVEL ノブ(リズム音量) PARAM/VALUE ノブ(メニュー操作・各種パラメータ) DISPLAY/MEMORY ボタン(メモリー切り替え・設定) FOOTSWITCH:録音/再生/オーバーダブ/停止/消去 など(動作モードにより変化) |
| 接続端子 | INPUT:L / R(モノラル/ステレオ入力) OUTPUT:L / R(モノラル/ステレオ出力) CTL/EXP:外部フットスイッチ/エクスプレッション・ペダル MIDI IN / OUT(3.5mmミニ端子、変換ケーブル経由でDIN接続) USB:PC接続(データバックアップ/フレーズ管理など) DC IN:9V AC アダプター用ジャック(BOSS PSA シリーズ対応) |
| 電源 | 9V 角型電池 AC アダプター(PSA-100/PSAシリーズ) |
| 消費電流 | おおよそ 170 mA(DC 9V 時) |
| 入出力レベル/インピーダンス | 規定入力レベル:-20 dBu 入力インピーダンス:1 MΩ 規定出力レベル:-20 dBu 出力インピーダンス:1 kΩ |
| 外形寸法・重量(目安) | 幅:73 mm 前後 奥行:129 mm 前後 高さ:59 mm 前後 質量:約 450 g 前後 |