複数ループと音量管理を一台でまとめる万能ラインセレクター
BOSS LS-2 Line Selector は、2系統のSEND/RETURNループと6種類のルーティングモードを備えた、コンパクトサイズのラインセレクターです。A/Bボックスとしての切り替えはもちろん、複数エフェクトのループ化、音量レベルのプリセット、ミキサー的ブレンドまで一台で対応でき、ボード全体の「配線と音量管理」のハブとして機能します。
[BOSS] LS-2 Line Selector|ペダマニレビュー
どんなペダル?
LS-2 は、BOSSコンパクトの中でも「音を変える」というより「音の通り道を設計する」役割のペダルです。2系統のループ(SEND/RETURN A・B)と、メイン入出力、そして6種類のモード切替により、かなり自由度の高いルーティングを組むことができます。
代表的な使い方は以下のようなイメージです。
- 歪みセットA/クリーン用セットBを瞬時に切り替える
- アンプ2台の切り替え、またはA/B入力の切り替え
- 特定のペダル群をひとまとめにしてオンオフし、バイパス時は完全に信号から外す
- 2系統の音量プリセットを作り、「通常用」と「ソロ用」のレベル切り替えに使う
- クリーンとエフェクト音をミックスしてブレンドする
「ボードが煩雑になってきた」「踏むペダルが増えすぎた」というタイミングで、LS-2を中心にルーティングを組み直すと、かなり運用がスマートになります。
サウンドの特徴(音質を保ったままルーティングと音量をコントロール)
LS-2 自体は「サウンドキャラクターを付加する」タイプではなく、できる限りフラットに信号を扱う設計です。そのうえで、ラインセレクターとしての使い勝手を高めるため、6つのモードが用意されています。
代表的なモードイメージ:
- A↔B
SEND/RETURN A と SEND/RETURN B のどちらか一方を選択。歪みセットとクリーンセットを切り替える、アンプを切り替える、などに向いたモード。 - A↔BYPASS / B↔BYPASS
A(またはB)のループと完全バイパスの切り替え。複数ペダルをまとめてオンオフしたいときに便利です。 - A+B MIX / BYPASS
AとBをミックスして出すモード。クリーンとエフェクト音のブレンド、別系統のエフェクトチェーンを並列で鳴らす、といった使い方が可能になります。 - OUTPUT SELECT / INPUT SELECT 系モード
入力側、出力側どちらを切り替えるのかを選び、ギター2本の切り替えや、アンプ2台の切り替えなどを構成できます。
音質的には、BOSSらしく過度な色付けを避けた実務寄りのチューニングで、「LS-2を噛ませたせいで急に音が劣化する」という印象は出にくいです。LEVELノブによる音量の微調整も可能なので、ルーティングだけでなく「音量の整え役」としても活躍します。
使い勝手・セッティングのイメージ
LS-2はつまみの数こそ少ないものの、「どうルーティングするか」で用途が大きく変わるペダルです。代表的なパターンをいくつか挙げます。
1)歪みセット切り替えスイッチャー
- モード:A↔B
- ループA:オーバードライブ+ブースター
- ループB:ディストーション+EQ
スイッチ一発で「クランチ系セット」と「ハイゲイン系セット」を切り替え。どちらのチェーンも、踏み替え不要でまるごと切り替えられるので、ライブ中の操作負荷が大きく減ります。
2)ソロ用ボリュームプリセット
- モード:A↔B
- ループA:空ループ(何もつながない)
- ループB:空ループ(何もつながない)
- LEVEL A:通常時の音量
- LEVEL B:ソロ用に少し上げた音量
この構成だと、LS-2は「クリーンな2段階ボリュームペダル」として機能します。歪みやエフェクトチェーンはそのまま、ボリュームだけをプリセットで切り替えたい場合に非常に実用的です。
3)クリーン+エフェクトのブレンド
- モード:A+B MIX / BYPASS
- ループA:クリーン(何もつながない、もしくはコンプ程度)
- ループB:強めのディストーションやファズ
BYPASS:完全素通し
A+B MIX:クリーンとファズをブレンドしたサウンド
「原音の輪郭だけは残したいけれど、ファズのキャラもしっかり出したい」といった場合に、MIXモードがかなり効いてきます。
ペダマニ的「ここが魅力」
- “音を変えない”のにボード全体の自由度が一気に上がる
LS-2自身は目立つエフェクトではありませんが、導入すると「このペダルチェーンとこのペダルチェーンをワンタッチで切り替えたい」「クリーンとエフェクト音を混ぜたい」といった要求が一気に解決します。 - スイッチャー+ボリュームペダル的な役割を兼ねられる
レベル調整をうまく使えば、A/Bで別々の音量プリセットを作り、「通常用」「ソロ用」の切り替えに使えます。余計なブースターペダルを増やさずに済むのは、ボード構築上かなり大きなメリットです。 - A/Bボックスとしても、ループセレクターとしても使える柔軟性
アンプ2台の切り替え、ギター2本の切り替え、エフェクトループのオンオフ、並列ミックスなど、運用に応じて役割を変えられるため、一度買えば長くボードに居座るタイプの“仕事道具”です。 - BOSSコンパクトサイズで堅牢・安定動作
他のBOSSコンパクトと同じサイズ感と電源仕様なので、既存ボードにも組み込みやすく、トラブルも少ないのが魅力です。
注意しておきたいポイント
- “音色そのもの”を変えるペダルではない
LS-2を踏んでも、歪みやモジュレーションのような分かりやすい変化はありません。あくまで「ルーティングとレベル管理」が主役なので、導入目的を明確にしておいた方が満足度は高くなります。 - モードと配線の理解に少し慣れが必要
6モードそれぞれの挙動を把握しないまま配線すると、「狙った通りに音が出ない」状態になりがちです。最初は説明書を手元に置きながら、シンプルな使い方から慣れていくのがおすすめです。 - MIXモードはレベルバランスに注意
A+B MIX を使う場合、A/Bそれぞれのレベルを上げすぎると、合算でかなり音量が上がることがあります。バンドリハで必ずバランスをチェックしておきたいポイントです。
機種の仕様
| メーカー | BOSS |
| 製品名 | LS-2 Line Selector |
| エフェクトタイプ | ラインセレクター/ループスイッチャー |
| コントロール | LEVEL A ノブ(ループAまたはチャンネルAの音量調整) LEVEL B ノブ(ループBまたはチャンネルBの音量調整) MODE セレクター(6モード切り替え:A↔B、A↔BYPASS、B↔BYPASS、A+B MIX、INPUT/OUTPUT SELECT 系など) フットスイッチ(ON/OFF/チャンネル切り替え) |
| 接続端子 | INPUT:メイン入力 OUTPUT:メイン出力 SEND A / RETURN A:ループA用端子 SEND B / RETURN B:ループB用端子 DC IN:9V AC アダプター用ジャック(BOSS PSA シリーズ対応) |
| 電源 | 9V 角型電池 AC アダプター(PSA-100/PSAシリーズ) |
| 消費電流 | おおよそ 30 mA(DC 9V 時) |
| 入出力レベル/インピーダンス | 規定入力レベル:-20 dBu 入力インピーダンス:1 MΩ 規定出力レベル:-20 dBu 出力インピーダンス:1 kΩ |
| 外形寸法・重量(目安) | 幅:73 mm 前後 奥行:129 mm 前後 高さ:59 mm 前後 質量:約 430 g 前後 |