3ループ×マルチFXでボードを統合できる統括司令塔
BOSS MS-3 Multi Effects Switcher は、3系統のループスイッチャーと100種類以上の内蔵エフェクトを1台にまとめた「ボードの司令塔」的ユニットです。お気に入りのペダルを3台まで組み込みつつ、ディレイ/モジュレーション/ダイナミクス系などを内蔵エフェクトで完結できるため、ペダルボードを大幅に省スペース化しながら、プリセット切り替え中心のスマートな運用が可能になります。
[BOSS] MS-3 Multi Effects Switcher|ペダマニレビュー
どんなペダル?
MS-3 は、「ループスイッチャー」と「マルチエフェクター」を統合したハイブリッド機です。
3つのループに手持ちのコンパクトペダルを接続しつつ、本体側にもディレイ/リバーブ/モジュレーション/ピッチ/コンプ/EQ など、ラインナップとしては GT シリーズに近いエフェクト群を多数搭載しています。
パッチ単位で
- どのループを ON/OFF にするか
- どの内蔵エフェクトをどの順番で並べるか
- コントロール端子や外部スイッチに何をアサインするか
まで細かく設定できるため、「1パッチ=1曲のセッティング」として運用しやすいのが特徴です。
サウンドの特徴(アナログ+デジタルを無理なく一体化できるハブ)
MS-3 自体の音色は、いわゆる「最新GT系」のクリーンでレンジの広い方向性です。
歪みやアンプライクな部分は外部ペダルに任せつつ、
- ディレイ/リバーブ
- コーラス/ディメンション系
- ピッチシフター/ハーモニー
- コンプレッサー/EQ/ノイズゲート
といった「後段系」「整え系」の処理を MS-3 に集約するイメージがハマります。
ループ部分は基本的に原音を損なわない設計で、バッファ/キャビシミュなども適切に組み合わせれば、
・アンプ直
・ライン出し
どちらの現場でも使える柔軟なシステムを組めます。
内蔵エフェクトの質感は、単体高級ペダルと比べて「キャラクターで勝負」というよりは、
- 素直で扱いやすい
- ミックスに馴染みやすい
- パッチ切り替え時に破綻しにくい
といった「現場で困らない」方向性のサウンドです。
使い勝手・セッティングのイメージ
つまみというよりは、パネル+液晶+フットスイッチで完結する「システム機」寄りの操作感です。
代表的な運用イメージ:
ボードの中核として
- ループ1:メイン歪み
- ループ2:ブースター or ファズ
- ループ3:特殊系(フィルター/ピッチなど)
内蔵エフェクト側に
- ディレイ(曲ごとにタイムとフィードバックを保存)
- リバーブ(会場に応じてレベルだけ調整)
- コーラス/ビブラート
- コンプレッサー/EQ/ノイズゲート
を配置し、「パッチ切り替えだけで曲ごとの音作りを再現」できるようにしておくと、ライブの段取りがかなり楽になります。
フットスイッチモード
- バンク上段:ソロ用/クリーン用/リフ用などのパッチ切り替え
- 下段:ループ1〜3のダイレクト ON/OFF、タップテンポ、チューナー呼び出し などをアサイン
といった構成にすると、「プリセット派」と「その場で踏み分けたい派」の両方のニーズをバランス良く満たせます。
MIDI や外部フットスイッチとの連携も可能なので、後々システムを拡張したい人にも向いています。
ペダマニ的「ここが魅力」
- お気に入りペダルを活かしたまま“マルチ化”できる
歪みや個性派エフェクトは愛用ペダルをそのまま使い、空間系や補正系は MS-3 に集約する構成は、コスト/音質/柔軟性のバランスが非常に優秀です。 - パッチごとにルーティングやパラメータを完全保存
ループ ON/OFF、内蔵エフェクトの並び順、ディレイタイム、タップテンポの分割などをパッチに保存できるので、「リハで作った音をそのまま本番へ持ち込める」のが大きな利点です。 - ボードの省スペース化・配線簡略化
従来なら「ループスイッチャー+ディレイ+リバーブ+モジュレーション+チューナー…」となっていたスペースが、MS-3 1台+数台のコンパクトで済むので、ペダルボード全体がかなりスッキリします。 - ライン出し・宅録にも対応しやすい
キャビシミュやEQを組み合わせれば、アンプを鳴らせない現場や宅録環境でも、それなりに作り込んだ音を直出ししやすい点も、マルチならではの強みです。
注意しておきたいポイント
- 「深掘り派」向けの設計なので、最初は操作量が多く感じる
GT 系やマルチエフェクターに慣れていないと、最初のセットアップで少しとっつきにくい印象があるかもしれません。→ まずは「お気に入り歪み+ディレイ+リバーブ+コーラス」程度のシンプルなセットから始めるとスムーズです。 - 歪み系は“内蔵だけで完結”というより外部ペダル併用が前提寄り
内蔵ドライブも使えますが、「歪みのキャラクターに強くこだわる」タイプのプレイヤーは、手持ちの歪みペダルをループに入れてメインに据えた方が満足度が高いです。 - 同価格帯のフルマルチ(GT-1000 CORE など)と迷いやすい立ち位置
アンプシムまで含めて全部デジタルで完結させたいか、それとも「アナログペダルを活かしたシステムの核」が欲しいのかで、向き不向きが分かれます。
機種の仕様
| メーカー | BOSS |
| 製品名 | MS-3 Multi Effects Switcher |
| エフェクトタイプ | マルチエフェクト+3ループスイッチャー |
| 搭載モード | 3系統ループ(外部コンパクト用) 内蔵エフェクト:ディレイ/リバーブ/モジュレーション/ピッチ/フィルター/コンプ/EQ/ノイズゲート など多数 チューナー機能 タップテンポ キャビネット・シミュレート(ライン出し用) パッチ/メモリー切り替え(バンク制) |
| コントロール | PARAMETER ノブ群(エディット用) CURSOR/ENTER/EXIT ボタン(メニュー操作) フットスイッチ:バンクアップ/ダウン、パッチ切り替え、タップテンポ/CTL など ディスプレイ:液晶画面(パッチ名・パラメータなど表示) ※エディットは本体のみで完結可能。別途 PC エディターが提供されている場合は、USB 経由での詳細編集も想定。 |
| 接続端子 | INPUT:標準フォーン(ギター/ベース入力) SEND / RETURN:3系統(ループ1〜3) OUTPUT L / R:ステレオ出力(アンプ/ミキサーへ) CTRL / EXP:外部フットスイッチ or エクスプレッションペダル用 MIDI OUT / THRU(他機器の制御用、搭載モデルを想定) USB:PC接続用(エディター/ファームウェア更新など、搭載モデルを想定) DC IN:9V AC アダプター用ジャック(BOSS PSA シリーズ対応) |
| 電源 | AC アダプター(PSA-100/PSAシリーズ) |
| 消費電流 | おおよそ 50 mA(DC 9V 時) |
| 入出力レベル/インピーダンス | 規定入力レベル:-20 dBu 入力インピーダンス:1 MΩ 規定出力レベル:-20 dBu 出力インピーダンス:1 kΩ |
| 外形寸法・重量(目安) | 幅:275 mm 前後 奥行:97 mm 前後 高さ:68 mm 前後 質量:約 1,100 g 前後 |