レベルとアタックを整える定番VCAコンプ
BOSS CS-3 Compression Sustainer は、クリーンの粒立ちをそろえつつ、サスティンを自然に伸ばしてくれる定番コンプレッサー/サスティナーです。LEVEL/TONE/ATTACK/SUSTAIN の4ノブで、カッティングの音量を均一にしたり、クリーンアルペジオを太く前に出したりと、ライブ現場で「聞こえ方」を整える用途に強みがあります。
[BOSS] CS-3 Compression Sustainer|ペダマニレビュー
どんなペダル?
CS-3 は、BOSS コンパクトの中でも古くから愛用されているスタンダードな VCA 系コンプレッサーです。
ピッキングの強弱による「音量差」を抑えつつ、弱い音を持ち上げてくれるため、
- クリーンカッティングの粒がそろう
- クリーンアルペジオが太く聞こえる
- ソロのサスティンが少し伸びる
といった、実用的なメリットが得られます。
いわゆるスタジオ・ラック系コンプのような超ハイファイ路線ではなく、若干のコンプ感と色付けを伴う“ギター用らしい”コンプレッションが持ち味。ポップス〜ロックの現場で「とりあえずコンプを1台」と言われた時に、最初の候補になるタイプです。
サウンドの特徴(アタックを揃えてクリーンを前に出す定番コンプ)
CS-3 のキャラクターは、「アタックの揃え方」と「中域の前に出方」にあります。
- 軽めのコンプ設定
SUSTAIN を低めに押さえた場合、アタックは比較的自然なまま、弱い音だけを軽く持ち上げる方向に動きます。クリーンの粒立ちがそろい、コードを弾いたときの音量ムラが減るので、バッキングでの安心感が増します。 - 強めのコンプ〜サスティン設定
SUSTAIN を上げていくと、コンプレッションが深くなり、アタックがやや丸くなります。その分サスティンはしっかり伸びるため、クランチ〜リードの「伸び」が欲しい場面で効いてきます。
ただし、この領域まで上げると CS-3 特有の“コンプっぽい質感”が出てくるので、好みは分かれます。 - TONE ノブの効き方
TONE は高域を中心に調整するイメージで、上げるとブライトさと抜けが、下げるとマイルドさが増します。コンプでレンジが狭く感じたときに、TONE を少し上げてやるとバンド内での抜けが改善しやすいです。
全体として、クリーン〜クランチの聞こえ方を整えつつ、少しだけコンプレッションのキャラを乗せるという方向性のサウンドで、「音圧を稼ぐ実務系コンプ」という印象です。
使い勝手・セッティングのイメージ
ノブ構成は LEVEL / TONE / ATTACK / SUSTAIN の4つとシンプルですが、用途によって狙いを分けるとセットしやすくなります。
クリーンカッティング用「粒立ちを揃えるだけ」
- LEVEL:原音と同じか、ほんの少し上
- TONE:12時前後
- ATTACK:11〜13時(やや速め)
- SUSTAIN:9〜10時台
軽いコンプ感で、強く弾いたところだけ軽く抑え、弱い音を持ち上げるセッティング。
ストラト系シングルコイルと相性が良く、16ビートのカッティングをしても音量が暴れにくくなります。
クリーンアルペジオ用「太さと伸びをプラス」
- LEVEL:原音と同じ〜少し上
- TONE:11〜12時(明るすぎない位置)
- ATTACK:12〜14時
- SUSTAIN:11〜13時
コンプ感を少し増やして、アルペジオの1音1音を前に出すイメージ。
コードを分解して弾くようなフレーズで、録音したときに「ちゃんと聞こえている」感じを作りやすいです。
リード用「サスティン強化」
- LEVEL:バンド内で一歩前に出る位置
- TONE:12〜14時(少し明るめ)
- ATTACK:最速寄り(9〜11時)
- SUSTAIN:14〜15時
オーバードライブやディストーションの前段に置き、ゲインそのものではなくサスティンと音圧をプラスする運用です。
ただし、このセッティングではノイズも増えやすいので、ゲインは上げすぎず、必要最低限に抑えるのがポイントです。
ペダマニ的「ここが魅力」
- クリーンの“聞こえ方”を簡単に底上げできる
ピッキングのムラを吸収してくれるため、「うまくなったように聞こえる」系の効果が得やすいです。特にポップス系のカッティングでは、CS-3 の有無でミックス内の存在感が大きく変わります。 - LEVEL ノブが実質的な音量ブーストとして使える
コンプレッション量をそこまで上げなくても、LEVEL を上げることでクリーンブースト的な役割も果たせます。EQ 的にはフラット寄りなので、「音色をあまり変えずに押し出したい」ときに便利です。 - 価格と入手性のバランスが良い“実務機”
ハイエンドコンプに比べると価格は控えめで、中古市場でも見つけやすいモデルです。ボードの「とりあえず1台目のコンプ」として現場投入しやすいポジションにあります。 - BOSSらしい堅牢さと安定した動作
可搬性・耐久性ともにライブ向きで、電源周りも PSA 系で統一可能。常時オンのコンプとして使っても安心できる作りです。
注意しておきたいポイント
- SUSTAIN を上げすぎるとノイズが増えやすい
深いコンプレッションでは、入力信号だけでなくシステム全体のノイズも持ち上がります。ハイゲイン環境で使う場合は、SUSTAIN は控えめにして、必要ならノイズゲートと併用すると安定します。 - 強いコンプ感が苦手な人には向かない場合も
深くかけると、アタックが丸くなり、いわゆる「コンプっぽい」潰れたニュアンスが出ます。よりナチュラルな動作を求める場合は、CP-1X のようなマルチバンド系との比較検討が必要です。 - ベース使用時は低域の扱いに注意
ベースでも使えますが、SUSTAIN を上げすぎるとローエンドが膨らみ、タイトさが失われることがあります。ベースで使う場合は、SUSTAIN を控えめ+アンプ側のEQでローを締めるなどの調整が前提になります。
機種の仕様
| メーカー | BOSS |
| 製品名 | CS-3 Compression Sustainer |
| エフェクトタイプ | コンプレッサー/サスティナー(VCA 系アナログ) |
| コントロール | LEVEL ノブ(出力レベル) TONE ノブ(音色の明るさ) ATTACK ノブ(アタックタイム調整) SUSTAIN ノブ(コンプレッション量/サスティン) |
| 接続端子 | INPUT:標準フォーン(ギター/ベース入力) OUTPUT:標準フォーン(アンプ/次段エフェクターへ) DC IN:9V AC アダプター用ジャック(BOSS PSA シリーズ対応) |
| 電源 | 9V 角型電池 AC アダプター(PSA-100/PSAシリーズ) |
| 消費電流 | おおよそ 20 mA(DC 9V 時) |
| 入出力レベル/インピーダンス | 規定入力レベル:-20 dBu 入力インピーダンス:1 MΩ 規定出力レベル:-20 dBu 出力インピーダンス:1 kΩ |
| 外形寸法・重量(目安) | 幅:73 mm 前後 奥行:129 mm 前後 高さ:59 mm 前後 質量:約 380 g 前後(電池含む) |