ミッドを整えて抜けをコントロールする7バンドEQ
BOSS GE-7 Graphic Equalizer は、7本のスライダーで細かく帯域を追い込める定番グラフィックEQです。100Hz〜6.4kHz の7バンドとレベルスライダーにより、クリーン補正から歪みの抜け向上、ノイズの帯域カットまで、ボード全体のサウンドメイクを一台で担える「現場向きツール」です。
[BOSS] GE-7 Graphic Equalizer|ペダマニレビュー
どんなペダル?
GE-7 は、BOSS コンパクトの中でも「音作りの土台」を担当するグラフィックイコライザーです。
100Hz/200Hz/400Hz/800Hz/1.6kHz/3.2kHz/6.4kHz の7バンドに、それとは別の LEVEL スライダーを搭載。各バンドは ±15dB までブースト/カットできるため、アンプやギターのキャラクターに合わせて、かなり細かくトーンを追い込めます。
クリーン~クランチの補正はもちろん、ハイゲインアンプの前後に置いて輪郭を整えたり、特定帯域のハウリングやノイズを削ったりと、スタジオ/ライブ問わず「困ったときに助けてくれる」実務系ペダルです。
サウンドの特徴(ミッドを軸にした実戦向きグラフィックEQ)
GE-7 のキャラクターは、クセの少ないフラットなEQカーブと、ミッド~プレゼンス帯域の扱いやすさにあります。
- ローエンド(100〜200Hz)
低域を持ち上げればクリーンに太さが出ますが、上げすぎるとモコつきやすい帯域。ほんの少し持ち上げるか、歪み環境ではむしろ軽くカットしてタイトさを出す使い方が定番です。 - ミッド(400〜1.6kHz)
歪みの「芯」になる帯域。
400〜800Hz を少し持ち上げると、ギターの太さと押し出し感が増えます。逆に軽くカットすると、モダン寄りのスッキリしたサウンドに。1.6kHz 付近はリードの抜けに効くので、ソロ用にブーストする運用がしやすいポイントです。 - ハイミッド〜プレゼンス(3.2〜6.4kHz)
ピッキングアタックや、歪みのジャリっとした成分をコントロールする帯域。
3.2kHz を持ち上げると、速弾きやカッティングの輪郭が前に出ます。逆に 6.4kHz を軽く落とすと、耳に痛い高域ノイズを抑えつつ、抜けを保ちやすくなります。
LEVEL スライダーで全体の音量も ±15dB 調整できるため、「EQ+クリーンブースター」を兼ねたような使い方が可能です。
全体として、音色に強いキャラ付けをするタイプではなく、必要な帯域だけをきちんと触って、現場での抜けとバランスを整えることに長けた、実用本位のサウンドになっています。
使い勝手・セッティングのイメージ
コントロールは 7バンドのスライダー+LEVEL のみですが、用途によって役割がハッキリ分かれます。
クリーン補正用「アンプの苦手帯域を整える」
- 100Hz:ややマイナス(−2〜−4)
- 200〜400Hz:フラット〜わずかにカット
- 800Hz:ほんの少しブースト
- 1.6〜3.2kHz:+2〜+4
- 6.4kHz:気になるノイズがあれば少しカット
- LEVEL:±0 付近で原音と同じ音量
ローがボワつくアンプのときに低域を整理しつつ、ミッド〜ハイミッドを少し持ち上げて「レコーディング的」な整ったクリーンに近づけるイメージです。
歪みの抜け向上「TSの代わりにEQで押し出す」
(歪みペダル or アンプの前段)
- 100〜200Hz:軽くカット
- 400〜800Hz:+2〜+5
- 1.6〜3.2kHz:+3〜+6
- 6.4kHz:耳に痛ければ少しカット
- LEVEL:+3〜+6
TS系ブースターのように特定帯域だけを持ち上げつつ、好みに合わせて細かくカーブを描けます。ミッドの押し出し量を自分でデザインしたい人向け。
ノイズ/ハウリング対策「問題帯域だけカット」
- ハウリングしやすい帯域(多くは 400〜1.6kHz 周辺)をリハで探し、
そのバンドだけ −4〜−8dB ほどカット - その他のバンドは基本フラット
- LEVEL:必要に応じて微調整
アンプやステージ環境ごとの「悪さをしている帯域」だけをピンポイントで処理できるのが GE-7 の強みです。
ペダマニ的「ここが魅力」
- 7バンド+レベルで「ブースター兼EQ」として完結する
単なる補正用EQではなく、LEVEL スライダーを活かせばソロ用ブースターにもなります。ボード上での役割を一台にまとめやすく、省スペース化に貢献します。 - ミッドコントロールの自由度が高い
TS系では調整しきれない「中域のどこをどれくらい上げるか」を細かく設計できるため、アンプやピックアップが変わっても柔軟に対応できます。 - ギターだけでなくベースにも流用しやすい帯域設計
100Hz からスタートするバンド配列は、ギタリストだけでなくベーシストにも使いやすいレンジです。リハスタ常備用としても汎用性が高いです。 - BOSSクオリティの堅牢さと安定性
バッファードバイパスにより長いケーブルでも音ヤセを抑えやすく、作りもタフなので、常時ボードに入れっぱなしの「保険ペダル」として安心して任せられます。
注意しておきたいポイント
- スライダー位置でノイズを拾いやすくなる場合がある
ハイゲイン環境で高域やレベルを大きくブーストすると、システム全体のノイズも一緒に持ち上がります。必要以上のブーストを避ける、電源や配線を見直すなどの対策が必要です。 - 設定次第で「やりすぎ感」が出やすい
±15dB まで触れる分、少しの動きでも音が大きく変わります。セッティングは フラットから少しずつ動かす のがセオリーです。 - 「キャラクター系ペダル」ではない
これ自体に強い味付けを求めると期待外れになりがちです。あくまで他のペダルやアンプのサウンドを「整える」用途で導入すると、真価を発揮します。
機種の仕様
| メーカー | BOSS |
| 製品名 | GE-7 Graphic Equalizer |
| エフェクトタイプ | アナログ・グラフィックイコライザー |
| コントロール | 100Hz バンドスライダー(±15dB) 200Hz バンドスライダー(±15dB) 400Hz バンドスライダー(±15dB) 800Hz バンドスライダー(±15dB) 1.6kHz バンドスライダー(±15dB) 3.2kHz バンドスライダー(±15dB) 6.4kHz バンドスライダー(±15dB) LEVEL スライダー(全体レベル調整) |
| 接続端子 | INPUT:標準フォーン(ギター/ベース入力) OUTPUT:標準フォーン(アンプ/次段エフェクターへ) DC IN:9V AC アダプター用ジャック(BOSS PSA シリーズ対応) |
| 電源 | 9V 角型電池 AC アダプター(PSA-100/PSAシリーズ) |
| 消費電流 | おおよそ 30 mA(DC 9V 時) |
| 入出力レベル/インピーダンス | 規定入力レベル:-20 dBu 入力インピーダンス:1 MΩ 規定出力レベル:-20 dBu 出力インピーダンス:1 kΩ |
| 外形寸法・重量(目安) | 幅:73 mm 前後 奥行:129 mm 前後 高さ:59 mm 前後 質量:約 400 g 前後(電池含む) |