名機RE-201の質感をコンパクトに凝縮したテープエコー
BOSS RE-2 Space Echo は、名機 Roland RE-201 のテープエコーサウンドを、BOSSコンパクトサイズに凝縮したディレイ/リバーブペダルです。3つのヘッド組み合わせとスプリング・リバーブを組み合わせたクラシックな空間系から、モダンなステレオセッティングまで幅広く対応し、テープ特有の揺らぎやサチュレーションを現場で扱いやすい形で再現します。
[BOSS] RE-2 Space Echo|ペダマニレビュー
どんなペダル?
RE-2 は、伝説的テープエコー RE-201 のキャラクターを、ボードに載せやすいコンパクトサイズで再現したモデルです。
3つの再生ヘッドの組み合わせによるリズミカルなディレイパターンと、スプリング・リバーブを組み合わせた空間処理が特徴で、「ギターを弾いただけで雰囲気が出る」タイプのペダルと言えます。
本家RE-201同様、エコー単独、リバーブ単独、そのブレンドまでカバーしつつ、現行機らしくステレオ対応やタップテンポ、外部コントロールにも対応。テープエコーの“面倒な部分”はデジタルでうまく肩代わりしつつ、良い意味での揺らぎやにじみを残したバランスに仕上がっています。
サウンドの特徴(テープエコーの揺らぎと厚みを現場サイズで再現)
RE-2 のサウンドは、一言でいうと「テープエコーらしい温かさと不安定さを、使いやすい範囲にうまくまとめた音」です。
ディレイ自体はデジタル処理ですが、リピートごとに少しずつハイが落ち、わずかなピッチの揺れやサチュレーションが加わることで、単なるクリーンディレイとは違う“ヴィンテージ感のある奥行き”が得られます。
- テープらしいローファイ感
リピートが重なるほど少しずつ丸くなり、コードを鳴らしても耳に刺さりにくい質感です。クランチ系アンプに足すと、古いロックやロカビリーのレコードを思わせる雰囲気が自然に出てきます。 - ヘッド組み合わせによるリズム感
3つの仮想ヘッドを個別/組み合わせで切り替えできるため、シンプルな4分ディレイから、ドット8分を含んだ複雑なリズムパターンまで作れます。アルペジオを弾くだけでフレーズが広がって聴こえるのは、テープエコー系ならではです。 - リバーブとのブレンド
モードによっては、スプリング・リバーブ風の残響を同時に加えることができ、ディレイとリバーブを別々に組むよりも“一体感のある空間”になります。古いコンボアンプのリバーブ付きエコーのようなまとまり方で、ヴィンテージ志向のサウンドメイクに向きます。
全体として、原音を極端に変えてしまうタイプではなく、「弾いているフレーズをそのまま古いテープマシンに通したように聴かせる」方向性のキャラクターです。クリーンでも歪みでも相性は良く、特にクランチ〜ローゲインのリードに足したときの雰囲気の出方は、RE-2ならではと言えます。
使い勝手・セッティングのイメージ
ノブ構成は、REPEAT RATE(ディレイタイム)、INTENSITY(フィードバック)、ECHO(エコーレベル)、TONE(音色)、REVERB(リバーブ量)、MODE(ヘッド/リバーブ組み合わせ)という構成が基本です。
直感的なレイアウトながら、モード内での効き方がよく練られているため、「少し触っただけでちょうどいいところに落ち着く」印象があります。
常時オンにできる軽めのテープエコー
- MODE:単ヘッド+リバーブ控えめのモード
- REPEAT RATE:9〜10時(ショート〜ミドル)
- INTENSITY:9時前後(1〜2回リピート)
- ECHO:9〜10時
- TONE:12時前後
- REVERB:9時前後
アンプのリバーブ代わりに、うっすらエコーがつく設定です。クリーンのカッティングやアルペジオに合わせると、音数を増やさなくても“鳴っている感じ”が出しやすくなります。
ブルース/ロックのリード用テープエコー
- MODE:2ヘッド組み合わせのモード
- REPEAT RATE:11〜12時(300〜400msイメージ)
- INTENSITY:10〜11時(3〜4回リピート)
- ECHO:11時前後
- TONE:やや明るめ(13時前後)
- REVERB:必要に応じて9〜11時
クランチ〜ローゲインリードの後ろで、テープエコーらしい“絡みつく残響”を演出する設定です。歪みの後段に置いておけば、単音フレーズが一歩前に出つつも、奥行きも加わるバランスになります。
アンビエント寄りの揺れる空間系
- MODE:3ヘッド+リバーブのリッチなモード
- REPEAT RATE:13〜MAX(ロング)
- INTENSITY:11〜13時(多めのリピート)
- ECHO:12時前後
- TONE:12時前後から耳に合わせて調整
- REVERB:11〜13時
クリーンギターでのロングトーンやアルペジオに合わせると、古いテープディレイにリバーブを足したような、にじんだ残響が空間を埋めてくれます。情報量が多くなるので、他の空間系と重ねる場合はどちらかを控えめにしておくとミックスしやすいです。
ペダマニ的「ここが魅力」
- コンパクトサイズで“ほぼRE-201”な世界観を持ち込める
大型のテープマシンを持ち込まなくても、あの独特の揺らぎと奥行きをボードの一角に収められるのは大きなメリットです。自宅でもスタジオでも、同じペダルであの空気感を再現できます。 - テープの面倒くささを排除しつつ、キャラクターはきちんと残している
実機のようなメンテナンスやテープ交換は不要で、常に安定した状態を保てる一方、リピートの滲み方やリズムの組み方はしっかりテープエコー寄り。良い意味で“おいしいところだけ持ってきた”バランスです。 - ディレイ+リバーブが一体化した空間処理
テープエコーとスプリング・リバーブを同時に扱えるため、「リバーブとディレイを別々に調整しすぎて音がバラける」問題が出にくく、一体感のある空間を作りやすいです。コンパクト数も節約できます。 - ステレオ対応と外部コントロールで拡張性も確保
ステレオ入出力や外部フットスイッチ/エクスプレッション対応により、1アンプのシンプルな構成から、本格的なステレオリグまで柔軟に対応できます。テープエコー系としては現場向きの拡張性です。
注意しておきたいポイント
- あえて“きれいすぎない”方向なので、超ハイファイなディレイが欲しい人には不向き
テープエコーのキャラクターを再現している以上、リピートが重なると多少のにじみや濁りは出ます。超クリアなデジタルディレイをメインにしたい場合は、DD系などとの使い分けが前提になります。 - モードが多いので、ライブ前に“自分の常用セット”を決めておきたい
どのモードも実用的な反面、その場で一からモードを探すと時間を食います。常用の1〜3モードを決めておき、残りは“遊び枠”として使うくらいが現場では扱いやすいです。 - テープエコーらしい低域の膨らみが環境次第で強く出ることもある
小さな箱や低域が出やすいアンプでは、低音が少しもたつくと感じるケースもあります。その場合はTONEを気持ち明るめに振るか、アンプ側でローを少し整理するとバンド内で抜けやすくなります。
機種の仕様
| メーカー | BOSS |
| 製品名 | RE-2 Space Echo |
| エフェクトタイプ | テープエコー・シミュレーション(デジタルディレイ+リバーブ) |
| コントロール | REPEAT RATE(ディレイタイム) INTENSITY(フィードバック量) ECHO(エコーレベル) TONE(ディレイ音の明るさ調整) REVERB(リバーブレベル) MODE セレクター(テープヘッド組み合わせ/リバーブ有無の切り替え) |
| 接続端子 | INPUT A(MONO):標準フォーン入力 INPUT B:標準フォーン入力(ステレオ運用時) OUTPUT A(MONO):標準フォーン出力 OUTPUT B:標準フォーン出力(ステレオ運用時) CTL/EXP 端子:外部フットスイッチ/エクスプレッションペダル用 DC IN:9V AC アダプター用ジャック(BOSS PSA シリーズ対応) |
| 電源 | 9V 角型電池 AC アダプター(PSA-100/PSAシリーズ) |
| 消費電流 | おおよそ 75 mA(DC 9V 時) |
| 入出力レベル/インピーダンス | 規定入力レベル:-20 dBu 入力インピーダンス:1 MΩ 規定出力レベル:-20 dBu 出力インピーダンス:1 kΩ |
| 外形寸法・重量(目安) | 幅:73 mm 前後 奥行:129 mm 前後 高さ:59 mm 前後 質量:約 450 g 前後(電池含む) |